新卒が感動した、アジャイルコーチによるスクラムマスターの成長のエピソード
はじめに
はじめまして!SHIFTアジャイルコーチ補佐の木全です。
私は、SHIFTに新卒で入社し、現在約7か月が経過しました。
入社し3か月間の新卒研修を終えた後アジャイル推進グループに配属され、最初にアサインされたプロジェクト内容が スクラムマスター育成支援・アジャイルコーチ支援プロジェクトで、役割としてはアジャイルコーチ補佐 でした。
学生時代に情報系を専攻していた頃からアジャイル・スクラムには興味があり、新卒研修中もキャリアプランとしてスクラムマスターを考えていた私からすると非常に楽しみな案件内容でした。
新卒がアジャイルコーチの案件で何をしているのか?
まずは、
・そもそもアジャイルコーチって何をやってるの?
・新卒がアジャイル・スクラムの経験が浅い中でどのような業務をしている?
という疑問に答えていきたいと思います。
そもそもアジャイルコーチってなに?
まずはアジャイルコーチについて簡単に説明させていただきます。
アジャイルの入門書である『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』などを出版している、アジャイル界隈で有名な市谷 聡啓さんによるとアジャイルコーチとは
と言われています。
まとめるとアジャイルコーチは、組織やチームがアジャイルな文化やプラクティスを取り入れる過程を支援する役割を担っています。
じゃあそこで新卒が何をやってるの?
次に、そんなアジャイルコーチの補佐として、私が当プロジェクトで具体的にどのような業務を行っているのか紹介します。
①コーチング業務内でのドキュメントの作成
こちらはアジャイルコーチとスクラムマスターとのコーチングの場や、スクラムチームのスプリントイベントでのスクラムマスターとスクラムの振る舞いの様子を記録しています。
②スクラムのメトリクスデータの収集
スクラムチームのスプリント内での活動を定量的なデータを取得し可視化していきます。定量的なデータを残しておくことで過去のデータと現在のデータの比較ができスクラムチームの成長度合いを客観的にみることが可能になります。
③集計したデータを基にスクラムを分析しカイゼン提案
収集した定量的なデータを基に、スクラムチームを分析していきます。そして、スクラムチームのプロセスの中でカイゼンできるポイントを提案しスクラムチームの生産性の向上を目指します。
以上が私がアジャイルコーチ補佐としての当プロジェクトでの業務内容になっております。
そこで今回は本案件での、スクラムマスター育成支援での印象に残っているエピソードを紹介させていただきます。
コーチング始動初期のSMは"スクラムマスター"が抽象的だった
我々SHIFTアジャイルコーチチームがコーチング支援をスタートしてまだ間もないとき、コーチング対象スクラムマスター(以下:SM)とSHIFTアジャイルコーチ(以下:コーチ)が1on1を実施している中で気になるやり取りがありました。
1on1での会話の様子
SM:「来週についてなのですが、夏季休暇でお休みをいただきます」
コーチ:「おやすみ承知しました。SMさんが不在中のスクラムチームの運用のフォロー体制は考えていますか?」
SM:「はい。スクラムイベントや、デイリースクラムのファシリは開発者の方に、代わりにやっていただくので問題ないです。」
この会話から私はSMは、スクラムマスターとしてチーム内での自身の存在価値を見いだせてなく、スクラムマスターは単なるチーム内でのファシリテーション役だと思ってしまっているのではと感じました。
このSMの現状をコーチはどう思っているのか気になり、SMの現状についてコーチの見解を聞いてみました。
スクラムマスターのスキルをつければ、どの現場でも活躍できる
SMの発言に違和感を覚えた私は、SMの現状を見たコーチの意見を聞いてみたところ
SMの現状を見たコーチの意見
①自分がいなくても問題なくスクラムが回ると自分が思ってしまっている。
②SM自身が自分の価値を認識できていない。
①と②から現状のSMは、スクラムマスターとして基本的な業務であるチーム全体を元気付けることの重要さと大変さを理解できておらず、自分がチームの雰囲気を変えるんだという意気込みがない状態でした。
このような状態になってしまっているSMを見たコーチからは、
③SMとしての今後のキャリアプランが描けていないことが原因である。
④そしてスクラムマスターのスキルを身に付ければ、どの現場でも活躍できることをわかってもらうことが重要
という意見が出ました。
このような意見から、現時点でのSMはチームにおけるSMの役割、価値をSM自身が十分に認識できておらず、また、そういう行動ができていないということがわかりました。また、スクラムマスターへの理解が足りないため、スクラムマスターのスキルは開発以外の様々なチームに入っても活用できることを知らず、自分がスクラムマスターとしてやっていくことでどんなメリットがあるのかを納得できていない状況であることがわかりました。
私はこれを聞いて、
SMがスクラムマスターとしての将来性や必要なスキル、キャリアプランを理解できていないため、現在のスクラムチーム内での業務に充実感を感じられていなかったのだと思いました。
コーチングを受けてのSMの変化
現状を理解したコーチからSMに、スクラムマスターとしての業務依頼を提案しました。具体的には
SMへ依頼した主な作業
①スクラムチームの活動を、定量的なデータを基に分析を行う
スクラムチームのタスク消化率や、タスク消化に費やした時間などのスプリント中の定量的なデータを取得し、分析した結果をデイリースクラムで共有します。そうすることでスクラム全体として今のスクラムの状況の認識を揃えることができました。また分析の結果をスプリントの終わりの振り返り会でスクラムチームに共有することで、プロセスのカイゼンに繋げることができます。
②開発者との1on1の実施
各スプリント中にSMと開発者で1on1を実施してもらい、開発者にスクラムでの自身の活動におけるヒアリングを行っていただきました。開発者と2人きりのクローズな空間で話をすることで、普段は話せないような深い部分まで開発者から聞けるので開発者の心理的安全性の確保につながります。
作業を実施したSMの変化
上記のスクラムマスター業務を実施した結果、SMに大きな変化がありました。
①スクラムマスターのスキルをつければどのような現場でも活躍できることが理解できた
スクラムマスターのスキルである、タスクをバックログ化し、チーム活動の状況をデータを基に分析し、短期周期で振り返り会を実施するスキルがあればどのような現場でも活躍できることを理解してもらえました。
②スクラムチームの状況を一番把握している自信がついた
スクラムチームの分析と開発者との1on1を実施したことで、スクラムチーム全体と開発者ひとりひとりの状況を把握することができ現在のスクラムチームを一番理解しているという自信に結び付きました。
③日々の業務にやりがいと達成感が生まれた
スクラムマスターとしての業務を実施したことで、仕事を終える度にやりがいと達成感を感じることできました。自分がいなくてもスクラムが回ると思っていたコーチング初期と比較して大きな変化が見られました。
おわりに
以上が私がアジャイルコーチ補佐として、スクラムマスター育成支援で印象的だったエピソードになります。
今回の出来事を通しては私は、スクラムマスターのスキルを持っていればどのような現場でも活躍することができることがわかりました。バックログ化し、チームの状態を定量的なデータから分析して、反省会ではない感謝と称賛の生まれる振り返り会を短期周期で実施しチームのプロセスカイゼンに繋げていく。このスキルがとても重要であることを今回のエピソードで体感することができました。
今後は私がスクラムマスター、アジャイルコーチとしてのスキルを上げれるよう精進していきたいと思います
最後までお読みいただきありがとうございました!
〇参考文献
・今さら聞けない!アジャイルコーチってなに? 〜チーム・組織を強くする心強い味方〜 https://redjourney.jp/reading/2021/12/09/agilecoach-taidan/
・トヨタ式「カイゼン」とは?5S活動、3M削減など企業の成長を促す取り組み事例 https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/learning/le210719/
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