Salesforceが使いにくい…にならないように管理者が気を付けるべきこと
SHIFT コーポレートプラットフォーム部のはるです。
さて、Salesforceの管理者であれば、「○○という項目がほしい」「××という機能がほしい」という要望を頻繁に受けていると思います。
大抵は要望通りに機能改修を行っていると思いますが、時には立ち止まってみたほうがいいかもしれません。
ユーザにとって使いやすい、ユーザに使われるSalesforceを維持するために、SHIFT社内向け環境の管理者である私が普段どのように要望を受けているか、実体験を交えて紹介したいと思います。
以下のようなSalesforce管理者は必見です!
ユーザからシステム改修/開発要望を頻繁に受けている
使われていない機能が多い
SHIFTのSalesforceはどんなもの?
SHIFTのSalesforceではApexなどの開発を行わず、原則カスタマイズだけを行っています。
ただし、外部システムとの連携は頻繁に行っており、最近では承認プロセスなどの標準機能を外部の機能に置き換えたりもしています(よりよい製品があればそれを組み合わせよう、という「ベスト・オブ・ブリード」の考え方を持っています)
⇒「Salesforceを中心としたベスト・オブ・ブリードの推進 」
管理者は私、上司、サポートメンバーとして外販エンジニア。8割くらいは私がユーザから要望を受け、そのまま機能追加まで行っています。
カスタマイズの要望については…かなり多いと思います。組織や施策が頻繁に変わり、都度それに合わせた機能が求められます。
限られた時間でSalesforceを最適化していくには、効率よくカスタマイズすることや、ユーザ自身でできることは自身でやってもらうことも必要になります。
私がSalesforceを管理するときに考えていること
新機能の要望を受けた際、私の場合は以下の点を考えてみます。
その機能が必要な5W1H
もっといい方法はないか(より使いやすい機能/より短時間で実装できる機能)
やりたいことの逆・やりたいことに含まれない範囲
これを以下の要望例で考えてみたいと思います。
「ある商談配下のオブジェクト『見積情報』のステータスが承認済になったとき、承認者を項目に表示したい」
※微妙に中身を変えていますが、実際にあった要望とほぼ同じです
その機能が必要な5W1H
誰がいつなんのために…を5W1Hで考えてみます(分からなければ依頼者に聞きます)
「マネージャが、承認業務を行った人を週単位でレポート集計するのに必要」という理由でした。
⇒ということは"承認者"だけではなく"承認日"という項目も必要そうです(承認日がなければ集計できません)
もっといい方法はないか(より使いやすい機能/より短時間で実装できる機能)
項目履歴管理レポートで「ステータスが承認済になったとき」を集計すれば、項目を作らずともよさそうですね。
⇒不要な項目やフローを作らずに要望を満たせるかもしれません。
ところが、ステータスは「管理者アカウント」がAPIで更新しているので、履歴管理レポートでは分かりません。そのため、実際の承認者を記録する新しい項目が必要です(さらに「承認者」もAPIで更新するように改修)
⇒ここまで考えて「項目を追加する必要がある」となるわけです。
やりたいことの逆・やりたいことに含まれない範囲
やりたいこと「承認したら承認者を記録したい」の逆も考えます。
要望内容の逆は「承認者を記録するときは『承認』のときである」です。これは正しいでしょうか?
⇒「承認業務を集計したい」という目的であれば、"承認"だけではなく"却下"のときも記録する必要があるのでは…?
(私の場合は以下のように全パターン洗っています)
また、「承認後再申請して再承認されたらどうするのか」などイレギュラーなパターンも考える必要があります。
要望についてよく考えないことのデメリット
機能を追加するときに以上のことを深く考えないと、以下の問題が発生することがあります。
使われない無駄な機能が生まれる
Salesforceのリソースがなくなる
本当に重要なことが進まない
使われない無駄な機能が生まれる
ほとんど入力されることのない項目がレイアウトに存在している
必須入力や入力規則を設定したが、入力が不可能なため必須解除した
当てはまる選択リスト値が存在せず、「その他」が多数存在
などなど…最初にしっかり決めておかないと、のちに発生した無駄な機能にも対処しないといけません。
私の場合は、画面を全体的に見直したいということで項目を追加してレイアウトの表示・非表示項目を棚卸ししたところ、「やっぱり表示させたい」などで2週間に3回くらい修正したことがあります…(レイアウトの修正は地味に面倒)
入力規則を作ったものの、「やっぱり入力規則は不要」となることも多く…入力規則の要否は特に注意しないといけません。
Salesforceのリソースがなくなる
「積み上げ集計項目」など、リソースが限られている設定が多数あります。
SHIFTの「商談」では、項目を増やしすぎた結果、積み上げ集計項目上限の25に達してしまいました…!
その後上限を40に拡張したあと、現在は36項目とまた上限に近づいています/(^0^)\ナンテコッタイ(もうこれ以上増やせません)
積み上げ集計項目がほしいという要望が来たら、「なんのために必要か」「レポートやフローで代替できないか」は真っ先に考えないといけないポイントです。
本当に重要なことが進まない
かの有名な「緊急度と重要度のマトリックス」です(緊急ではないが重要である「第2象限」に時間を取れるようにしましょう、というやつ)
Salesforceシステムの「緊急でないけど重要である箇所」は管理者以外には気づきにくいので、「第2象限」をユーザからの依頼で行うことはあまりなく、管理者自身の課題解決として行うことが多いです。
ところが、実際には1や3(4も)がどんどん積み重なってしまい、2の時間があまりとれません…
※このnoteを書くことも「2」でしたがなかなか筆が進みませんでした😇
2の時間を確保するには2以外の時間を減らすしかありません。
要望内容についてよく考えることは、これだけ見れば時間がかかってしまいますが、長い目で見ると将来発生するであろう3や4の数が減るハズだと思って、引き続きこの方法でやっていきます。
まとめ
Salesforceが使いやすくなるかどうかは、管理者の技術力ももちろんですが、管理者の考える力も大きくかかわってきます。
管理者が「どれだけ考えたか」によって、システムの使いやすさやその後のメンテナンスにかかる時間も変わります。
管理者の考える時間を発揮していけば、不要な作業を減らせる⇒重要なことに時間を取れる⇒システムがさらに良くなる の好循環になっていくハズです。
これまでの施策(関連記事)
Salesforceを中心としたベスト・オブ・ブリードの推進
⇒SHIFTのSalesforceの考え方のベース
Salesforce承認プロセスをkickflowに置き換えてみた
⇒「ベスト・オブ・ブリード」の考えのもと実際に作ったもの
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