Salesforceを中心としたベスト・オブ・ブリードの推進
自己紹介
はじめまして!SHIFTの社内IT部門であるコーポレートプラットフォーム部の大網 康志です。 2015年9月にSHIFTに入社以来、あらゆる社内システムの企画、導入・構築・保守を手掛けています。
SHIFT社内のシステムアーキテクチャは「ベスト・オブ・ブリード」の考え方を持っており、様々なシステムが連携することで全体として提供する価値を高める取り組みを推進しています。その1例として、Salesforceの承認プロセスをkickflow *1 に置き換えた話をさせていただきます。
*1 kickflow:SaaS型クラウドワークフロー https://kickflow.com/
これまで多くのシステム導入を手掛けてきましたが、Salesforceは思い入れの深いシステムです。営業部門の要望を実現すべく、Salesforce未経験の状態から、公式サポートやマニュアル、Web上にある先人たちの記事などを参考にしながらSalesforce管理者としてスタートを切りました。認定資格を取得したり、新たな課題や要望に対応するなかでSalesforce管理者としての経験を積んできました。
はじめに
Salesforceは、SaaS形式で提供されるビジネスアプリケーションを提供し、最初に成功した企業であるとされています。 主力サービスであるSales Cloudは世界No.1のSFA/CRMサービスであると言えるでしょう。
Salesforceが全世界の企業で活用される要因のひとつに、そのカスタマイズ性の高さが挙げられます。 SFAやCRMとして完成されたアプリケーションの構成要素となる汎用的な基本機能がプラットフォームとして提供されています。それらを活用することにより、導入企業は独自のビジネスモデルや業務要件に合わせたカスタマイズをローコード・ノーコードで実現できるようになっています。
この記事では、SHIFTにおいてSales Cloudの標準機能である「承認プロセス」をどのように活用したのか、またそれをなぜ置き換える必要があったのかをお話させていただきます。
SHIFTにおけるSalesforceの活用状況
SHIFTは2016年からSalesCloudを使い始め、Pardot、Herokuと利用サービスを増やしていきました。特徴的な部分としては、販売管理業務をSalesforce上で一気通貫に実現していることです。自社のビジネスモデルに合わせて、多くのカスタムオブジェクトを使い、承認プロセスやフローなど多くの標準機能をフル活用しています。
全ての顧客情報、商談情報は一元管理されており、営業パイプライン、営業KPI、原価など営業販売に関するあらゆる情報がSalesforce上で管理されています。 また、SHIFTは成長企業であるため、人員増加や組織改編、ビジネスの拡張などに対応し、業務やシステムのタイムリーな変更がもとめられます。それらに追従し続けるためにもSalesforceの管理業務、カスタマイズ開発業務を内製化しています。
SHIFTは、営業を中心とした利用ユーザにSalesforce活用が定着しただけではなく、カスタマイズ開発やシステム管理も含めてプラットフォームとしてのSalesforce活用に成功した企業であると自負しています。
承認プロセスの限界
SHIFTでは、Salesforce承認プロセスの限界を感じ、汎用ワークフローサービスのkickflowへ置き換えを行いました。これは、SHIFTの業務要件とSHIFT自体の成長や変化に対応するための判断でした。
■SHIFTの業務要件
SHIFTではSalesforce上で販売管理を行っている
見積/受注/売上計上などの各業務において様々な承認行為が必要となっている
承認経路は、金額や主管部署、契約形態などの様々な条件に応じて規定されている
■SHIFTの成長と変化
毎月の従業員の増加:FY23上期にグループ全体で1,000人以上の入社(単体100人/月)
頻繁な組織変更:過去1年で6回の組織変更/異動は毎月100人以上
売上拡大=案件数増加:売上高1.5倍連続成長/月次受注2,000件以上
業務ルールの変更:販売管理だけで平均1回/年ほど実施するペース
当初はSalesforceの承認プロセスを活用して、業務要件を実現することができていました。 ですが、SHIFTの事業が成長すると共にその対処に工夫が必要になり、変化への対応において設定のメンテナンスを高頻度に行うなかで限界が来てリスクや問題を抱えるようになってきました。
kickflow置き換え後のイメージ
Salesforceの承認プロセスに限界を感じていた我々は、別途リプレイスを進めていた稟議ワークフローシステムの選定において、Salesforce承認プロセスの代替ができることも要件に入れて検討し、kickflowという国産のSaaS型ワークフロー専用サービスを導入しました。
kickflowの特徴
■ワークフロー専用サービスとして豊富な機能を持ち、簡単に設定・利用できる
汎用マスタによる入力支援、データチェックなどが可能
フォームと経路が独立設定となっており、経路の条件分岐も可能
並列承認、代理申請、代理承認、自己承認の許可・不許可などが可能
承認ステップ・承認者の上限値は事実上ない(チーム指定などで対応)
■組織変更に伴う、マスタ管理や経路設定変更のメンテナンスが簡単
組織/所属/役職マスタによる、兼務や権限委譲などを柔軟に表現可能となっている
組織バージョン管理と適用開始日予約により、事前設定&即時反映が可能となっている
■豊富なAPIを持ち、他システムとの連携が可能
webhookによるイベントベースのシステム連携が可能
REST APIを用いて、外部システムからチケットの作成・承認などが可能
新たに導入したkickflowとSalesforceを連携して承認プロセスのリスクと問題点を解決した際の実現イメージは下図の通りとなります。
Salesforce側から承認に必要な情報を連携する部分では、メモや添付ファイルの連携部分など細かい考慮をしたり、kickflowの承認画面のレイアウト制約に合わせた工夫が盛り込まれています。また、kickflow側から承認状況を連携する部分では、承認時コメントを関係者に通知する部分で苦労しました。トータルでは申請者、承認者共にユーザー体験を向上させることができたのではないかと思います。
まとめ
ベスト・オブ・ブリードの考え方に基づく取組みの一端として、今回はSalesforceとkickflowの連携事例をご紹介しました。 Salesforceは汎用的な機能が豊富に用意されており、各社要件に合わせたビジネスシステムとしてカスマイズできる余地が大きいです。とはいえ、SaaSシステムとしてある一定の制限が課されている部分を超えて利用するには工夫が必要です。その解決策の1つとしては他製品と組み合わせるという選択肢もあります。 Salesforce管理者の方、ベスト・オブ・ブリードの考え方を取り入れている方にとって本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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