未経験駆け出しQAエンジニアがITパスポートとJSTQB Foundationを受験してみたら、習熟度アップ+業務の解像度が上がった話!
はじめに
皆さんこんにちは!(株)SHIFTのQAエンジニア野口です。 私は2024年1月にSHIFTにIT未経験で入社、その後3か月の研修期間を経て、4月からQAエンジニアとして、ソフトウェアのテスト実行業務に参画しています。
さて、表題の「JSTQB Foundation」とは、ソフトウェアのテスト技術を計る民間の試験のことです。
私としては、QAエンジニアとして踏み出した以上、まずは取っておきたいな、と考えていた資格でした。
7月上旬に受験し、合格することができましたが、IT未経験からまず受けたSHIFT社内での研修、そしてITパスポートの受験と、段階を踏んできたからこその結果だと思います。
そこでこの記事では、入社後半年の節目を機に、これまでの学習を振り返ってみたいと思います。
受験を迷っている方、勉強に苦戦している方など、参考になりましたら幸いです!
そもそもJSTQBって・・・?
正式には「JSTQB認定テスト技術者資格」という名称の資格で、前述のとおり、ソフトウェアのテスト技術を測る民間の資格です。
内訳としては、大きく分けて
Foundation Level
Advanced Level
という2つのレベルがあります。
運営組織のJSTQBは、各国のテスト技術者認定組織が加盟する「ISTQB」の認定組織なので、取得すれば、国際的にもテスト技術を証明することができます。
今回私が受験したのは、Foundation Levelです。
Foundation Levelについては、
“国際的に通用するソフトウェアテストの手法や技法の基礎知識を身につけたい方を対象としており、Foundation Level試験に合格することにより、システムやソフトウェアの評価・検証・テストに関する基礎的なレベルの技術を持っていることが証明されます”
HP)出典:pearsonvue_JSTQB認定テスト技術者資格試験 https://www.pearsonvue.co.jp/Clients/JSTQB.aspx
とのことで、駆け出しQAエンジニアにはうってつけの資格と言えるのではないでしょうか。
試験時間は60分、選択式の問題が40題出題されます。 コンピュータ上で試験を行うCBT方式で実施されている試験で、「JSTQB Foundation」を実施しているテストセンターに空きがあれば、好きな日時で予約し、受験することができます。
※野口は好きな日時で受験できるのをいいことに、勉強不足を理由に何度も受験予定を延期しました。資格の勉強は計画的に・・・
これまでに取り組んできたこと
ここからは、JSTQB合格までに取り組んだことを振り返っていきたいと思います。
入社後の研修
IT未経験者枠で入社した私は、まず入社時研修を3か月弱受講しました。 研修の主な内容としては、
基本のITスキルの習得
ExcelやPowerPointといった、ITエンジニアに限らず、PCを使って仕事をする上で必要不可欠なスキルを学びました。日々の業務において避けては通れないツールであり、今現在、困ることなく日々の業務をこなせているのは、この研修のおかげだ!と日々感謝に堪えません! 加えて、ITの基礎知識についても学習しました。IPアドレス、CPUなど…これまでなんとなく使っていたIT用語を、正しく理解することができました。
QAエンジニアとしての基本スキルの習得
ソフトウェアテストの実行者として、現場で必要になるスキルを学びました。 具体的には、QAエンジニアとしての心構えや、練習環境でのテスト実行のグループワーク、テスト設計の技法など、実践的な内容が盛りだくさんで「QAエンジニアになったんだな・・・」という実感が湧いてきたのもこのころでした。
そのほか、私の所属部署であるアジャイルサービス部独自の研修では、アジャイル開発の基礎知識を学び、グループワークを通してアジャイル開発のフレームワークを繰り返し実践しました。
3か月の研修で、社会人としてのITスキルの基礎固めをできたことは間違いありません。 加えて、今後QAエンジニアとして成長していくための第一歩となるスキル・知識を習得することができました。
ITパスポートに挑戦
初めての案件配属が近づいてきたこのタイミングで、並行してITパスポートの学習に取り組むことにしました。
ビジネスマン全般に求められるIT知識の習得を目指す資格なので、合格することで少しでも自信をつけ、初案件に臨みたい!という思いがありました。
具体的な学習方法としては、
教科書的な参考書を繰り返し読み込む
過去問集で繰り返し演習 という2つの柱で取り組みました。
この後のJSTQBの学習にも共通する内容ですが、あまり馴染みのない、初めて学ぶ分野というのは、最初から100%の理解を目指すのはかなりハードルが高く、学習の進捗も遅くなりがちです。
まずはなんとなくでいいので、一度学ぶ内容に一通り目を通してみる。そして2周目以降、繰り返し読む中で、理解度を少しずつ上げていく。並行して、問題集で知識の定着を図る。このような進め方が、私は一番の近道だ!と思うようになりました。
実はSHIFT入社前の取得を考えてもいたのですが、結局勉強することもなく入社することとなり「なぜ入社前の時間があるときに勉強しておかなかったんだ!」と後悔してもいました。
しかし、SHIFTで研修を受けてからITパスポートの勉強をしたことで「この言葉、研修でも学んだぞ!」と、自分の中でより理解を深めることができました。結果としてよい順番で学習できたな、と思っています。
JSTQBの学習
さて、ITパスポートに無事合格し、初めての案件配属で、QAエンジニアとしての第一歩を踏み出した私ですが、毎日目先の作業に精一杯で、周囲の会話についていけない、聞きなれない用語が沢山飛び交っている、という状況でした。
毎日の業務の中で学ぶことも勿論重要ですが、自主学習でもスキルアップを図らなくては!という思いから、今度はJSTQB Foundationに挑戦することにしました。
正直、毎日業務をこなしつつ、空いた時間で勉強をするのは、慣れるまで少し大変で、もっと早く勉強しておくんだった…と考えることもありました。
ですが、案件に参画しているからこそ、参考書の中で抽象的に説明されている定義、テスト手法について、案件内で実例を見ることができ、具体的なイメージをもって学習を進めることができました。
また、ITパスポートの学習時と同様に「一度学んだ知識を再度学びなおし、より理解を深める」ということも多くできました。
エンジニアとしての経験がすでにある方であれば、これまでのエンジニアとしての経験を下地に、具体的な理解、イメージをもって、ソフトウェアテストの学習を進めることができるのではないかと思います。
一方、今回の私のような、IT経験のない方がいきなり学習するには、用語が難しかったり、ソフトウェアテストの現場の様子を想像するしかなかったり…、と、JSTQB Foundationの学習は、なかなかハードルが高いと思います。
そこで、
IT知識の下地を作る(ITパスポートの取得など)
(機会があれば)テスト実行の実際の現場について知る
JSTQB Foundationに挑戦する
というように、段階を踏んで学習を進めていくのが、個人的にはおすすめです!
使用した教材
ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス日本語版 Version 2018.J01
徹底攻略 JSTQB FOUNDATION教科書&問題集 シラバス2018対応 徹底攻略シリーズ
テス友(スマホアプリ)
2の参考書は、シラバスの内容を順を追って解説しており、章末ごとに練習問題もついています。こちらを教科書にして、一通りの学習を行いました。
その上で、細かい用語の確認では1のシラバスを並行して読み込み、説明への理解を深めるようにしていました。
3は無料で使えるスマホアプリで、PCからもアクセスできます。章別で問題が多数収録されており、正答率を見ることができるので、知識の定着度合いの確認に役立ちました!
※2024年11月の試験からは、新しいシラバスが適用されるとのことです。学習教材を探す際は、受験時期、どのシラバスが適用されるかの確認をお忘れなく~
学習スケジュール
学習期間は2ヶ月弱ほどでした。 2のテキストを練習問題を含め2周し、並行して3のテス友でたくさん問題をこなし、知識の定着を図りました。
実は、最初テキストを1周したあと、テス友だけでひたすら暗記に取り組んでいたのですが、苦手分野の理解がどうにも進まなくなってしまいました。
そこでテキストを再度読み返してみたところ、2周目ではより深く理解しながら読み進めることができ、結果として全体の学習をスピードアップすることができました。
ITパスポート同様、まずはさらっと、最初はわからなくてもいいので、テキストを2〜3周してみるのが学習の早道だと思います。
また、馴染みのない用語に詰まってしまうことがよくありましたが、インターネットで調べてみると、わかりやすい情報が思いのほかするっと出てくることが多かったです。 自分が躓いているポイントって、世間の多くの人も同様に躓いている場合が多いのだな、と感じます。
SHIFTの技術ブログを参考にすることもよくありました!
歴戦の猛者揃いの先輩エンジニアの、経験に基づく解説記事を参考にすることもあれば、私同様、未経験から入社したエンジニアの、未経験入社組ならではのわかりやすい視点での解説記事を参考にしてみたり…
※例えば「探索的テスト」のことなら
「探索的テスト初心者集合〜!QAエンジニアのたまごが送る たまごの、たまごによる、たまごのための探索的テスト」
https://note.shiftinc.jp/n/n7247512558bd
ブログ)出典:三谷瞳_SHIFT技術ブログ
「ポイント解説|探索的テストには、セッションベースド探索的テストを使おう」 https://note.shiftinc.jp/n/nc09a0349569b
ブログ)出典:阿部誠_SHIFT技術ブログ
とにかく、検索して、色々な記事を読んでみることを繰り返していました。 SHIFTの技術ブログは情報の宝庫です!
JSTQBは過去問が公表されていない!
JSTQB Foundationは、過去問が公表されていません。
そのため、参考書やテス友に収録されている問題は過去問ではありません。
実際の試験のレベルに果たして到達できているのかがわからず、勉強中は不安でした。 (なお後述しますが、実際の試験を受けてみて、参考書等に掲載の問題はかなり簡単だと感じました)
テキストやテス友に掲載の問題は、本番を想定して、という使い方をするよりかは、あくまでも!知識の定着を図る意味で使用するのが良いのではないかと思います・・・!
試験当日
事前に予約していた会場にて、用意されたPC端末で受験しました。 まず問題を見て感じたのは、これまで触れてきた練習問題よりも、問題文・選択肢の内容が複雑だ、ということです。
実際、シラバスの内容を体系的に理解していないと答えられない問題ばかりで、解答を即決できる問題はほとんどありませんでした。
結局時間いっぱいまで悩み続け、あまり手応えのない状態で、会場を後にしたのでした...
結局合格していた!
JSTQBはCBT形式での受験ですが、試験終了直後の合否判定はありません。 試験終了後、1週間ほどで結果反映の連絡があり、WEBから合格を確認しました。
自分なりに考え、回答を絞り込むことはできていたので、まったくもって自信がない、というほどではありませんでした。 しかし、JSTQBは点数が公表されないので、充分な学習・理解の上で試験に臨めたのか、余裕を持って合格できていたのかは正直わかりません。
詰め込み式の資格取得のための暗記の勉強、ではなく、テストエンジニアとして活動するための知識として身に着けた上で、実践的に考えることができるか?までを求められていると感じました。
そのためには、参考書やシラバスを読み込み、知識を自分の物にした上で、どんな問いかけにも答えられるようにすることが重要なのではないかと思います!
JSTQBに合格して
ここからは、合格して感じたことについてです。
入社後の研修や、ITパスポートでの学習内容の習熟度アップ!
前述のとおり、入社後、社内研修ではIT業界で働くうえでの基礎的なIT知識や、ソフトウェアテストの現場でのQAエンジニアとしてのふるまい方など、現場で即戦力となるために必要なスキルを身に着けてきました。
加えて私は、同時期にITパスポートの資格を取得したことで「とりあえず聞いたことある、意味は知っている!」IT用語が増えてきたな、という感覚をつかみ始めていました。
これまでに培ってきたIT知識の土台と、JSTQBのソフトウェアテストという分野の知識には重なる部分、つながる部分がとても多く、段階を踏んで学習を進めたことで、一度学んだ内容に対する習熟度をアップすることができました!
業務に対する解像度UP!
私は入社後、初めての案件に参画して数か月になります。テスト実行者として、ソフトウェアの動作が、仕様書に書かれた内容と一致しているかを確認する業務を担当しています。
「テストを実行、結果を記録し報告すること」が私の主な仕事ではありますが、今やっているテストはプロジェクト全体のどの部分なのか?といった現在の位置づけや、このテストの設計の狙いは?など、JSTQBでテストの体系を学んだことで、周囲のチームメンバーが話している内容についての理解の解像度が上がり、以前よりもついていけるようになったかも・・・?!と感じています。
テスト手法やテストの体系を学ぶことで、以前より自分の業務だけでなく、チームがどのように動いているのか、以前よりも少し視野が広くなったのではないか、と思います!
今後の展望
JSTQB Foundationは、ソフトウェアテストの基礎知識を身に着けられる資格として位置づけられています。
合格することはできましたが、学んだ知識をしっかりと定着させるためには、実際の現場でどのように用語や手法が取り入れられているのかを理解することが不可欠だと思います。
また、あくまでもJSTQBは入門的資格です。
ここからは、私自身が関心・興味を持てる分野は何なのか?食わず嫌いはせずに、資格取得も含め、QAエンジニアとしての自分なりの専門性を高められるよう、今後も学習を続けていきたいと思います!
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