ベスト・オブ・ブリードで実現したSHIFTにおける契約書管理DX
はじめに
こんにちは!SHIFTの社内IT部門であるコーポレートプラットフォーム部の大網 康志です。 2015年9月にSHIFTに入社以来、あらゆる社内システムの企画、導入・構築・保守を手掛けています。
SHIFTの社内システムは「ベスト・オブ・ブリード」の考え方を取り入れており、様々なシステムサービスが連携することで全体として提供する価値を高める取り組みを推進しています。
本記事では、SHIFTにおける「ベスト・オブ・ブリード」シリーズの第2弾として、契約書管理DXの実現イメージをご紹介いたします。
※第1弾はこちら→「Salesforceを中心としたベスト・オブ・ブリードの推進」
背景と課題
SHIFTでは、年々拡大するビジネス規模に伴い契約締結は必然的に増加しており、特に法務部門の業務負荷は無視できないレベルになっています。また、営業や採用、M&Aなどの業務スピード向上においても各種契約手続きの工数削減やリードタイム短縮が求められています。さらには、ガバナンス強化という点でも契約書管理は重要な位置づけとして考えられています。
そこで、契約書管理サービスの導入および既存サービスとの連携により、契約書ライフサイクル管理における「業務負荷の低減」と「ユーザー体験の向上」を目指し、以下の3つの課題を掲げて契約書管理DXの実現に取り組みました。
法務チェック完了や契約稟議の承認をトリガーに、自動で後続手続きが開始される
契約業務の進行に応じて、自動で契約情報や契約ステータス、契約書ファイルなどが記録・保管される
許可された関係者自らが契約書情報を検索し、閲覧可能にする
これまでの契約書管理の問題点
SHIFTでも電子契約サービスは利用していますが、紙で締結するというケースもあり、紙から電子へと契約書が移り変わっていくなかで、従来通りの契約書管理業務を継続していました。具体的には、メールで契約内容の確認や交渉を行い、法務部門への審査依頼は依頼フォームから行い、締結は電子契約サービスや郵送での対応となっていました。その結果、複数のシステムを利用しながら各所で入力された情報を、法務担当がExcelの契約書台帳に転記する作業が必要となっていました。
そのため、以下のような問題が発生していました。
情報の重複入力に手間が掛かり、誤入力や誤送信などが発生する
関係者が契約情報を直接検索・確認できないため、業務スピードが遅くなる
契約情報の問合せが法務担当に集中し、業務負荷が大きい
契約書管理DXの実現イメージ
契約書管理システムに契約情報を一元管理しつつも、各種申請手続きや検索閲覧を行う窓口となるシステムはよりユーザーに親和性が高いものを選択しました。そして、各システムを連携することで業務プロセス全体をシームレスに統合しました。
業務部門による審査依頼や契約稟議などの社内手続きはkickflowに一本化
ContractS CLMで契約書ライフサイクル管理全般を法務部門を中心に実施
契約書情報はSalesforceに連携され、関係者自らが検索しContractS CLM上の契約を閲覧可能
各システムのAPIを活用しWorkatoのレシピとして業務プロセス全体を連携
実現した契約書管理業務は、タスク自体はこれまでと大きく変わりませんが、必要なタイミングで必要な情報を適切なシステムに入力すると、それをトリガーに次の業務が自動で進んで行くようになっています。 また、関係者が必要なタイミングで契約書情報を検索・確認できるため、法務に問い合わせて回答を待つことが不要になりました。 SHIFT側としては電子契約をベーシックな手続きとして推進していますが、紙の契約書も残ります。紙の場合も、ひとつの契約書管理システムにて一元管理できるようになっています。 この事により、「業務負荷の低減」と「ユーザー体験の向上」が実現されています。
契約書管理DXのポイント
今回の契約書管理DXを成功させたポイントを整理すると、下記の5点に集約されると考えています。
契約書ライフサイクル管理ができるサービスを選定できた
契約書管理の運用に活用できる周辺サービスが定着していた
データやプロセスを統合するシステム基盤が整備されていた
徹底したPoCを経てソリューションを導入した
業務プロセスを標準化し、トライアルと改善を繰り返した
既存ソリューションが定着していないと連携による相乗効果は生まれません。 さらに、連携を実現する基盤があり、それに適合したサービスを選定しないと連携・自動化することができません。 また、DXの目的は連携・自動化することではないので、業務プロセスに着目し標準化やPoCを経て付加価値を高めることを意識する必要があります。
まとめ
今回はSHIFTで実現した「契約書管理DX」についてご紹介しました。 事業会社の基幹業務におけるDXは新しいソリューションを導入することだけでは実現できないことが多いのではないでしょうか? その1つの解決手段として「ベスト・オブ・ブリード」の考え方で既存システムと連携することが有効ではないかと考えています。 新しいシステムを導入することやシステム連携で自動化することをゴールとせず、これからも社内業務のDXを推進していきたいと思います。
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