経験の中で学んだ「人に伝える」を意識したコミュニケーション力5つのポイント
■はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社SHIFT産業流通サービス部の直江です。 日々業務での情報共有やコミュニケーションは非常に重要ですね。
これまではシステム開発のテスト設計や実行を担当していましたが、2年前から参加したプロジェクトでは、上流工程に携わることになりました。
新しい役割に挑戦する中で、プロジェクトの進捗やリスクを関係者にわかりやすく伝えることが特に難しいと感じました。 そこで今回は、これまでの経験から得た知識をもとに、効果的なコミュニケーションの方法についてご紹介します。
このブログでは、チャット形式を想定して、システム開発からテストの現場での事例を交えて、相手にわかりやすく「説明」し「伝える」ポイントを解説します。最後までお付き合いいただければ幸いです。
■言葉の力や伝達の重要性を痛感した結果
これまでの業務では、具体的な結果や問題点を報告することが主でしたが、プロジェクト全体の状況を端的に説明することが求められました。
この新たなコミュニケーションのスタイルに適応するのに苦労しましたが、効果的な文章の構成や伝えるポイントを見つける過程で、多くのことを学びました。
ここからは、事例と共に改善したポイントを5つ解説します。
1.「箇条書き」と「期待すること」を意識する
悪い例:
「テスト実行注意」 2月20日 (月)10:00~12:00は、テスト環境へのソフトウェアインストール作業のため、 この時間帯はテスト実行できませんので、あらかじめご了承ください。 ご協力のほど、よろしくお願いします。
良い例:
「UATテストにおける重要事項の注意喚起」 2月20日はUATテスト環境に対して新機能を実装するため、テスト実行が出来ません。
ご協力をよろしくお願いいたします。
テスト実行停止日時:2月20日 (月)10:00~12:00
対象機能:A機能とB機能
この時間帯はテスト実行できませんので、あらかじめご了承ください。
該当機能の実行担当者は上記の時間帯に以下の作業を進めるようご協力のほど、よろしくお願いします。
A機能とB機能のテスト実行手順の作成
A機能とB機能の画面テストケースの見直し
ポイント:番号を振ることで読み手の注意を引く
外的な要因により、テスト実行が停止してしまうために注意喚起の文章を記載した例です。悪い例は、伝えるべき担当者に対して、注意するべき理由が十分に記載されていません。
良い例では、テスト実行停止の理由を新機能実装するためと記入し、番号を振ることで重要な 1.テスト実行停止日時と 2.対象機能に関して読み手の注意を引いています。
箇条書きで記載している部分は、考えられる準備すべきタスクを想定して記述しています。こうすると、読み手は文書から必要な情報がスムーズに得られ、発信者が期待する事柄にすんなり対応できるようになります。
2.見出しと本文の内容の一致
悪い例:
課題:度重なる仕様変更が、発生しており当該要件変更後の成果物に対しての顧客承認に時間を要している。
現状:仕様変更の発生により、変更による影響調査に時間がかかっているため、当該要件のテスト設計が遅れている。
今後:仕様変更による影響がないことが確認出来た業務からテストを開始する。
良い例(変更箇所太字):
遅延:度重なる仕様変更が、発生しており当該要件変更後の成果物に対しての顧客承認に時間を要している。
現在のテスト設計状況:仕様変更の発生により、変更による影響調査に時間がかかっているため、当該要件のテスト設計が遅れている。
今後のテスト実行計画:仕様変更による影響がないことが確認出来た業務からテストを開始する。
ポイント: 見出し表現を具体化
見出しで流れが分かるようにするには、まず個々の見出し表現を具体化することがポイントです。 見出しのみを変更して、伝えたいポイントを明確にしました。
見出しは、順を追っていけば全体の流れとおおよその内容がつかめるよう付けることがポイントです。 その結果、読み手が展開の流れを読み取ることが出来ます。見出しに伝えたい内容を一工夫して入れることで、より伝わります。
3.主語を省略しない
例文1
悪い例:
テストケースを実施する際、対象のソフトウェアにはテスト対象のモジュールが必要です。モジュールがシステムに登録されていない場合は、テストを実施することができません。したがって、事前に対象モジュールが正しく登録されているか確認し、登録されていない場合は速やかに連絡してください。
良い例(変更箇所太字):
テストケースを実施する際、対象のソフトウェアにはテスト対象のモジュールが必要です。モジュールがシステムに登録されていない場合は、テストを実施することができません。したがって、事前に対象モジュールが正しく登録されているかご自身で画面を確認し、登録されていない場合は可能であれば本日16時まで にPMOまで連絡してください。
ポイント:主語を示す
主語を示すことにより、読み手に文章の内容を素早く伝えます。 "ご自身で画面を確認し"で担当者に責任を持たせています。 "本日16時までにPMOまで連絡"で対処の具体的な行動を指示しています。
例文2
悪い例:
セキュリティ対策の一環として、商用環境アクセスエリアには「当社ではセキュリティ強化のため、アクセス制限を実施しています」旨の掲示を行います。お客様に対して、セキュリティ対策について適宜説明をお願いします。
良い例(変更箇所太字):
セキュリティ対策の一環として、商用環境アクセスエリアには「当社ではセキュリティ強化のため、アクセス制限を実施しています」旨の掲示を行います。来客の対応をするテスト実行リーダーはお客様に対して、セキュリティ対策について適宜説明をお願いします。
ポイント:担当者を記載
誰が対応するのかを担当者をはっきりさせます。 テスト実行リーダーとして具体的な担当者(役職)を示しています。
4.相手から素早く回答をもらうテクニック
悪い例:
これまで顧客承認のためのステップについて議論はしましたか? 承認までの段取りは画面設計の修正完了、画面設計書の翻訳、画面ローカライゼーションに対するレビュー対応の完了、顧客で再確認して承認をもらう(1&2と3&4は並行タスク)と思っていますが、認識合いますか? 情報あれば返信ください。
良い例(変更箇所太字):
これまで顧客承認のためのステップについて以下に記載した内容で認識あいますか?明日午前中までに返信ください。
画面設計変更による顧客承認完了までの段取り(1&2と3&4は並行タスク)
1. 画面設計の修正完了
2. 画面設計書の翻訳
3. 画面ローカライゼーションに対するレビュー対応の完了
4. 顧客で再確認して承認
ポイント:読み手に配慮
忙しい相手に対して素早く「はい」又は「いいえ」の返答を得ることを期待値としています。
そのために、質問内容が明確であることが大切です。冗長な表現は省くように心がけましょう。 質問の最後には行動を促すフレーズを加えましょう。今回の例では「明日午前中までに返信ください」という具体的な期限が設定されています。 質問の内容を項目別に整理することで相手が理解しやすくなります。 番号を振って順序や時系列、流れを整理して伝えることが効果的です。
5.記号を使用してさらにわかりやい文章にする
■自分らしさを加える
自分の独自性を表現するために、模範文例をただ変更するだけの連絡や発信では望ましくありません。 顧客との関係や、やり取りの背景は通常それぞれ異なり、単に言葉を変えるだけの表面的な文面では積極的なコミュニケーションが感じられず、表面的な印象になります。 これは、アルバイト店員がマニュアル通りの言葉で接客するのと同様で、マニュアルに縛られずに顧客のニーズや状況に合わせて自分なりに工夫することで、より良い印象を与えることができます。 文書の場合も自分らしさや工夫によって読み手の共感を得ることが可能です。
■終わりに
PMOに挑戦してから、新たな経験と苦労が詰まった日々でした。これまでの業務とは異なり、たくさんのステークホルダに伝える難しさや文章構成の重要性に直面しました。 しかし、その中で学んだことは大きいです。今回のBlogでは、人に伝わる文章の書き方についてシェアしました。
情報をわかりやすく伝える力に繋がることを願っています。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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