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いいテストエンジニアになるには ーテストエンジニアの五者論ー

こんにちは。SHIFTにて社内メンバーの能力開発をしている、タカハシです。日頃、テストエンジニアの育成をしていて大事だなぁ、と思っていることを今日はまとめてみました。

ちなみに前職ではいわゆるSE(システムエンジニア)をしていたのですが、SHIFTにジョインしてからは、能力開発、人材育成を担当しています。

その中で、社内研修の講師もしているわけですが、「いい先生ってなんだろうなぁ」と考えた時にたどり着いたのが、『教師は五者(学者・役者・医者・易者・芸者)たれ』、というものでした。

私自身、教師(講師)として五者でありたいと思っているわけですが、エンジニアも一緒ということで、今日はテストエンジニアの五者を論じてみたいと思います。

いいテストエンジニアになるには、どうあるべきか。今振り返ってみれば、SE時代に大事にしていたことと、同じです。

学者

言わずもがなですが、ITの世界は進化をし続けています。この先も恐らくそうでしょう。ということは、日々勉強です。

長い間変わらないベーシックな技術もありますが、変わっていくもの、すぐ陳腐化してしまうものも多いです。その中で、今の知識・スキル・経験に満足せず、常に新しいものを追求し続けることが、いいエンジニアの第一条件です。何歳になっても、どんなポジションになっても、学ぶことを止めてはいけません。

私の好きな言葉で、以下のようなものがあります。心に留めておきたい言葉です。

人は学習を辞めたとき老いる。
20歳の老人もいれば、80歳の若者もいる。学び続ける者は若さを失わない。人生で何より素晴らしいのは、自分の心の若さを保つことだ。
ヘンリー・フォード

そして、それを実践・普及できることがもっと大事です。学者という言葉を辞書で引くと、研究だけでなく「教授する人」とも書かれています。技術を実践に移せるように、顧客や周りのメンバに教え授けることまでできて、意味があります。学ぶことと同じくらい、表現する力も必要になります。

また、業務システムを扱うエンジニアであれば特に、IT技術のみではなく顧客の業界・業務知識も興味をもって学ばなければいけません。これも同じことで、仙人みたいに技術のみを追求するのではなく、顧客に有効に適用するためには、その相手のことを知らなければ、うまくいきませんよね。

ちなみに、「学者の取った天下なし」という、だいぶ皮肉ったことわざもありますが、理屈だけではなく実践・行動に移すことが大事、ということだと私は理解しています。


役者

エンジニアは顧客を魅了する必要があります。
どんなに優れた技術力があっても、「この人の話は聞きたくないな。信頼できないな。」と思われてしまうようでは、技術者としては半人前です。
「あなたが言うなら信じてもいいな。任せてみよう。また頼むよ。」と思わせたら、一流です。向こうからどんどん仕事がやってきます。まるで、人気俳優に仕事やファンが集まってくるように。

そのためにはその時々で適切な役を演じて、顧客(やファン)にあなたの世界に入ってもらう必要があります。演技力を磨いて、魅了しましょう。

また、よく言われる顧客目線やユーザー視点なども、相手になり切るという意味で役者と通じるものがありますね。優れた俳優さんは役を演じるのではなく、役になり切るといいますが、相手になり切って考えることによって、本当に顧客に価値のあることが理解できるはずです。様々な立場で考えられることは、エンジニアとしての必須要件です。


医者

医者は身体の悪いところを見つけます。
テストエンジニアも同じく、システムの悪いところ(不具合)を見つけます。ですので、悪いところを確実かつ効果的に見つけられることが良い医者の条件となります。見つけなければ治療はできませんよね。そのための目を養いましょう。

そして、治療で重要なのは「対処療法ではいけない」ということです。
血が出ているから止血する、咳が出ているから咳止め出す、では一時的には回復しても、すぐに再発や別の症状が現れることでしょう。それを防ぐためには、根本原因を突き止め、適切な治療をしなければいけません。そのため、「不具合を見つけて終わり」や「出たとこ勝負のモグラたたき」をするのではなく、見える症状(不具合)を分析し、想定される原因を見極め、根本原因を診断できるのが良い医者です。さらには、それを生み出す要因から取り除く手立てを考え、患者(顧客)と向き合い、完治に向けて努力していく必要があります。

また、近年では予防医学の重要性も高まっています。「上医は未病を治す」とも言いますが、システムの世界でも同様で、病気にならないように健康増進(例えば標準化)、体質改善(例えば上流からの品質強化)等の生活指導をしてあげられることが、エンジニアとして求められてきています。


易者

占い師のことですね。占い師には二つのことが必要です。
一つは未来を見通すことです。多くの人や情報に触れ、先を読む力が必要となります。よいエンジニアは、人より一歩も二歩も先を見据え、準備しておくものです。学者にも通じるところがありますが、常に情報を集め、考え、想像し、未来予測をしていきましょう。仮に今は読みが当たらなくとも、情報収集と想像力を高めることを続けることで、精度上がっていくはずです。未来を予測することと答え合わせをすることを心がけましょう。

もう一つは占って、その人の「いいところ」を引き出すことです。特に本人が気づいていない「いいところ」です。そのうえで、「あなたに向いているものは?」「よりよく生きるためには?」といった前向きなアドバイスを、占ってもらう人は求めています。(悪いところや聞きたくないものです笑)
予測される未来とその人の「いいところ」を組み合わせて顧客に対してアドバイスをしてあげられるようになると、一段上のエンジニアとなれるでしょう。


芸者

楽しくないとプロジェクトはうまくいきません。
自社メンバー、顧客ともに仕事が楽しく取り組めるよう、その場の雰囲気を盛り上げたり、楽しくなる仕組みを作ったりすることができると、さらに良いでしょう。そういったことができるエンジニアは、プラスのスパイラルに乗り、周りも自分も楽しく仕事ができ、どんどん成長できることでしょう。

残念ながら時としてプロジェクトは、つらく厳しいものとなることがあります。ですが、その時にメンバ一丸となって乗り切るためには、やはり「楽しさ」は重要です。「つらいなぁ」と思いながら生産性が上がる人は(ほぼ)いません。つらいときこそ場を盛り上げ、楽しくなる仕組みを作り、みんなで前を向いてプロジェクトを推進できるように笑顔を大切にしましょう。
まさに、SHIFTの行動指針の一つである「つらいときこそ、笑顔」ですね。


まとめ

五者というキーワードにまとめて述べましたが、一言で言えば「人間力」、ということでしょうか。人によって強弱はあってよいものの、この五者はいずれも必要な要素です。これらを身につけ、行動に移すことで、魅力的なエンジニアとなるはずです。

また、いいテストエンジニア、と題しましたが、プロマネでもコンサルでも営業でも、どんな職種にも当てはめられることかと思います。リーダーにもーダーなりの五者があるはずです。それぞれの職種・立場での五者を考えてみてください。

私自身も磨きつつ、五者に長けた人材育成をしていきたいと思う、今日この頃です。

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執筆者プロフィール:髙橋 朋裕
SIerにてSEとして、主に民間企業向けのシステム開発やパッケージソフト開発を経験した後、2019年にSHIFTに入社。
SHIFTでは、SHIFTグループ社員の人材育成を担う能力開発部門に従事している。主に社員の受入教育を担当しており、年間1000人の新卒・中途社員研修を一手に引き受けている。

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