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生成AIにおけるGPUの役割と今後の期待


はじめに

こんにちは、株式会SHIFT インフラサービスグループの安藤です。
私自身について少しご紹介させてください。

筆者について
前職はユーザー系SIerへ就業し、オンプレミス構成におけるインフラ基盤のリプレース提案から構築、そして運用などに従事してきました。
実機を見るのが好きで、ハードウェアの設置・撤去のに立ち会いや支援などを行っていましたが、2020年からのコロナ禍や資源不足でオンプレミス構成の案件が縮小化。これまでのレガシーな環境では先行きが厳しいと思い、今年の春、成長を続け勢いのあるSHIFTへ参画して現在に至ります。

GPUメーカーのNVIDIAが時価総額世界1位に

まだまだ生成AIについて試行錯誤を繰り返している中で、 少し前の話題となりましたが、生成AI向けの半導体に対応しているNVIDIAが時価総額世界1位になったというニュースがありました。
 参照先:NVIDIAの時価総額、Apple超え世界首位

私はシステムのインフラ基盤に携わることが多かったため、 あまりNVIDIAについて聞いたことがありませんでした。

GPU(Graphics Processing Unit)を搭載しているサーバーはほとんど見たことがなく、 生成AIの進化と普及が進む中ではサービスを提供するOpenAIやGoogle、 そしてAWSなどのプラットフォームが大きく上昇していると思っていたのですが、 GPUメーカーのNVIDIAが時価総額世界1位となったことに驚きました。

かつては、コンピュータの性能を語る上で最も重要視されていたのは CPU(Central Processing Unit)で、コンピュータの「頭脳」として あらゆる計算処理を行う中心的な役割を果たしていました。

GPUの重要性が高まる背景

GPUはもともとグラフィック処理に特化したハードウェアであり、 ゲームや映像処理においてその性能が重視されていたと思っていたのですが、 GPUの持つ並列処理能力の高さがAIの計算処理に非常に適していることが分かり、 AI研究の分野で急速にその重要性が高まってきたようです。

そして、新製品のCPUよりも新製品のGPUに注目が集まっており、 その背景として生成AIやディープラーニングといった新しい技術の台頭があります。
生成AIのような大規模なデータを扱う技術では、GPUの性能が結果の品質や 処理速度に直結するようになってきました。

なお、CPUも依然として重要な役割を果たしていますが、 その注目度は相対的に低下しています。 CPUは直列的な計算処理に優れており、 システム全体の制御や基本的な計算処理を担当します。 しかし、生成AIのような並列処理が求められる分野ではGPUの方が圧倒的に有利で、 生成AIの発展とともにGPUの重要性が高くなったことで収益拡大への期待も高まったようです。

 参照先:サーバーの「常識」が激変中、NVIDIAのGPUがIntelのCPUを圧倒

CPUより優れるGPUの処理性能


並列処理能力が高いとされているGPUですが、CPUと比較した場合の性能差は どのくらいになるのか気になり、少しWebで調べてみました。

グラフィックカードが得意とする複雑なシーンをどれだけうまくレンダリングできるかを テストする、Cinebench24というベンチマークを参照すると、 約10倍の性能差が出ていました。

 参照先:Cinebenchベンチマークスコア

1個のGPUでCPUの10個分に相当するならば、GPUの需要が多くなることも分かるような気がします。

生成AIとGPUの関係性


生成AIにおける動作の概要ですが、大量に学習したデータに基づいて 新しいコンテンツを生成しており、この学習プロセスは「トレーニング」と呼ばれます。

テキスト生成AIでは次に来る単語を予測するため、 並列した非常に多くの計算を必要としています。 GPUは画像処理を高速に行うために開発されたハードウェアですが、 以下の理由から生成AIでの利用に適しているようです。

  1. 膨大な計算量の処理
    生成AI数百万から数十億のパラメータを持つことがあり、その学習や推論には大量の計算資源が必要です。 文章を生成する場合では、次に来る単語を予測するために大量のデータを処理しなければなりません。 この計算を高速に行うためには、並列処理が得意なGPUが適しています。 GPUは一度に多くの計算を並行して行うことができるため、生成AIのような大規模な計算処理に非常に向いています。

  2. 高速な処理能力
    生成AIはリアルタイムでの処理が求められることが多く、 チャットボットがユーザーの質問に即座に答えるためには、非常に高速な処理が必要です。 CPUも計算処理を行いますが直列的なシリアルでの処理が得意であり、 並列処理には向いていません。 一方のGPUは並列処理が得意であり、リアルタイムでの高速な処理が可能となっています。

  3. 大量データの学習
    生成AIのモデルは非常に大規模であり、その学習には大量のデータが必要です。画像生成AIでは数百万枚の画像を学習データとして使用します。 このような大規模なデータを効率的に処理するためには、高性能なGPUが不可欠です。 GPUは大量のデータを高速に処理する能力を持っており、生成AIの学習プロセスを大幅に短縮することができます。

  4. エネルギー効率
    生成AIで主要となる機能について 同じ計算量を処理する場合はCPUよりもエネルギー効率が高いため 大規模なデータセンターでの運用コストを削減する観点からも重要視されています。

あとがき


生成AIとGPUの関係は、今後ますます重要性を増していくと予想されます。
発展する生成AIは膨大なデータを高速に処理する必要があり、 そのためにGPUの並列処理能力が不可欠となっています。

生成AIの応用範囲も広がっていくと考えられ、医療、金融、エンターテインメントなど 様々な分野で生成AIが活用されるようになるでしょう。

生成AIの需要はますます高まると思われますが、NVIDIA以外のGPUメーカーによる 新製品の投入も見受けられるため、当分の間は目が離せない状況が続きそうです。


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