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《第2回》リモートワーク推進で他社との競争優位を作る

第1章:はじめに

こんにちは。SHIFTでPMO支援をしているRONDメガネです。

「リモートワーク推進で他社との競争優位を作る」というテーマでお届けするブログ、本稿は第2回です。

第1回ではリモート推進企業の特徴として、

●「リモートワークは事業者側、従業員側双方にとってWin-Win」という考え方で本気で推進体制を立ち上げていること
●「これまでの慣習や思い込みを排除しリモートワーク対応可能な業務の特定」を徹底的に行うこと
●リモートワーク推進のロードマップを鮮明に描き、継続的に施策を打つこと
の3点が共通点であることをお伝えしました。

第2回では、営業活動、採用活動、プロジェクトマネジメントの事例から、リモート推進企業の創意工夫をみていきたいと思います。


第2章:リモート推進企業の取り組み事例から学ぶ

リモート推進企業の取り組み事例について、コロナ禍で仕方なくリモートワークを取り入れたものの積極的に活用できていない企業*との違いを、会話例を通して比べてみましょう。
(*以降、「仕方なくリモート企業」と呼ぶ)

■『営業活動編』営業活動の思い込みを排除する

人との接触を避けなければならない状況で、どうすれば営業活動がうまくいくのでしょうか。ポイントを見てみましょう。


~ある「仕方なくリモート企業」での営業担当との会話例~

IT担当:オンライン商談ツールを導入してみましたが、使い心地はいかがですか?

営業担当:
まだ慣れないよ。ずっと足で稼ぐ営業スタイルだったからね。

IT担当:
しかし、感染予防のためにオンライン商談ツールを利用するというのは、お客様にも安心していただけるのではないですか?

営業担当:
そう思ってオンライン商談をしてみたけど、口が重いというのか、あまり打ち解けた話ができなくてね。やっぱりどこかで情報流出なんかの不安があるみたいだし、会って話した方が上手くいきそうだな。


~ある「リモート推進企業」での営業担当との会話例~

営業担当:オンラインでの商談もずいぶん慣れてきたよ。
SHIFT担当:それは良いですね。

営業担当:始めた当初は、特に見積りや機密情報についてオンライン商談でお話しするのを躊躇されていたお客様も、セキュリティ面での不安が解消されたことで気兼ねなく商談を進められるようになったよ。

SHIFT担当:オンライン商談は効率的な反面、情報漏洩などのセキュリティリスクには細心の注意を払わなければいけませんからね。あらかじめセキュリティ面での対策をしっかり取っておいたことが功を奏したということでしょうか。

営業担当:そうだね。オンラインだと移動時間がかからない分、1日の商談件数も増えたんだ。ただ、既存のお客様とはうまくコミュニケーションできているけど、もっと多くの人にうちの会社を知ってもらいたいんだよね。

SHIFT担当:確かに、色々なイベントが中止になって、新しいお客様に出会う機会が減ってしまいましたね。それなら、オンラインでイベントを開催してみてはどうでしょう。実際に足を運ぶよりも気軽に参加してもらえるのではないでしょうか。そこで興味を持ってもらえた人と新しいビジネスが生み出せるかもしれませんよ。

営業担当:オンラインで話すコツも掴めてきたし、やってみる価値はありそうだな!

ここでのポイントはまず「『営業活動は対面でなければいけない』という思い込みを排除し、オンラインで営業活動をするために安全な環境を整える」という点です。

IPAの調査によると、テレワークの実施に不安があると回答した人は6割以上です。その内、約3割の人が物理的な端末の盗難・紛失に不安を感じており、2割前後の人が業務で使用する端末から気付かないうちに情報漏洩することや、ツールやネットワークといったシステム面のセキュリティに不安を感じているようです。


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引用元:独立行政法人情報処理推進機構
「テレワークにおける実施およびルール策定の 状況、実施に伴う業務委託に関する不安に関する調査結果 ~ニューノーマルにおけるテレワークと ITサプライチェーンのセキュリティ実態調査 個人編 中間報告~」
※赤線の囲み部分は執筆者が引用元の図に上書きしたものです

まずは、安全に営業活動ができる環境が整っているかどうか、自社のネットワーク・端末・WEB会議ツールなどのセキュリティリスクを見直してみてはいかがでしょうか。

SHIFTでは、お客様に求められるセキュリティレベルに合わせて3段階のリモートワーク環境を構築しています。自社の業務に必要なセキュリティレベルを把握し、適切な環境を構築することが重要です。

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環境が整えば、オンラインのメリットを活かして「対面以上に新規顧客との出会いの場を増やす」という点にも活用できます。

オンラインを活用して顧客接点の拡大につながった事例として、SHIFTの「89(バグ)祭」をご紹介します。

SHIFTでは「一度見つけられた不具合(バグ)が再発しないように、不具合のない世界が現実となるように」という想いを込めて、毎年「89祭」と題したお客様感謝祭を開催しています。お客様にご講演いただいたり、ワークショップなどを通して、さまざまな視点で解決策や情報共有をできる機会となっています。

2020年は初のオンライン開催となりましたが、時間と場所の制約を超えて例年よりもコンテンツ数を大幅に増やしたり、取引のあるお客様だけでなく潜在的なお客様にも参加いただける形式にするなど、「オンラインだからこそできるイベント」を目指しました。

その結果、過去最大規模(総視聴者数は1,000名超)の大イベントとなり、多くの方にSHIFTを知っていただくきっかけになりました。

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▲ 株式会社SHIFT FY2020 第4四半期決算発表資料より抜粋


■『採用活動編』全国から優秀なエンジニアを採用

コロナ禍でも優秀な人材を採用するためには何が必要なのでしょうか。
ポイントを見てみましょう。


~ある「仕方なくリモート企業」での人事担当との会話例~

人事担当:コロナ禍で採用活動が思うように進まなくて困るよ。
IT担当:
どういうところが課題なのでしょうか?

人事担当:なかなか応募数が増えないんだ。採用面接をオンラインに切り替えたから、自宅で面接ができるようになったのは応募してくれる人にもメリットだと思うんだけど。

IT担当:オンライン面接は他社でも実施していますから、それだけでは差別化が足りないということでしょうね。

人事担当:うーん、採用ホームページのコンテンツを工夫してみるか・・・。


~ある「リモート推進企業」での人事担当との会話例~

人事担当:オンライン面接の活用でなんとかコロナ禍でも変わらず採用活動が進められています。

SHIFT担当:それは何よりです。今やオンライン面接はどの企業でも当たり前に取り組むようになってきましたね。

人事担当:そうですね。昨年の緊急事態宣言前からいち早くオンライン面接を取り入れたので、昨年の採用活動は他社に先駆けて優秀な人材を獲得することができたと思っています。でも、これからはただオンライン面接をやるだけでは他社と差が付かないだろうと感じています。

SHIFT担当:確かに『オンライン面接だけ』では差別化は難しくなるでしょうね。御社はリモートワークで進められる開発業務の範囲も明確ですし、業務フローも整備されているという強みがありますから、『リモート専業のエンジニア』にターゲットを絞って募集してみるというのはいかがでしょう。

人事担当:なるほど。採用面接だけでなく、業務も全てリモートということなら、住んでいる場所に関係なく日本全国、いや世界中をターゲットに採用活動ができますね。特に、コロナ禍で働き方や働く場所への考え方が変わった人材にも魅力を感じてもらえそうで良いですね!

ここでのポイントは、採用活動だけではなく、その後の働き方も含めてリモート化を進めているということです。コロナ禍における一時的な施策にとどまらず、新しい働き方を提案することで、採用できる人材の幅が広がるでしょう。

SHIFTでは、すでに日本全国から在宅勤務エンジニアの採用を始めています。従業員の完全在宅勤務を認める企業も出てきており、「どれだけ在宅勤務ができるのか」がこれからの就職・転職における企業選びの重要なポイントになるのではないでしょうか。


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       ▲ 株式会社SHIFT 在宅勤務エンジニア募集要項


■『プロジェクトマネジメント編』会議は「進捗会議」ではなく「井戸端会議」にすべし

プロジェクトメンバーが今何をしているのか、どんな状況なのか、的確に把握するにはどうすればどうすればよいでしょうか。
ポイントを見てみましょう。

~ある「仕方なくリモート企業」で行われているWEB会議例~

(会議が始まるまで無言状態)
リーダー:会議を始めるよ。今日の作業報告をよろしく。
メンバーA:はい、今日はAを〇件実施、進捗率は〇〇%で課題は〇〇です。
リーダー:課題の対応策は考えている?
メンバーA:はい、〇〇を実行しようと思います。
リーダー:わかった。何かあったら連絡するように。
(同じやりとりをメンバー全員と繰り返す)


~ある「リモート推進企業」で行われているWEB会議例~

メンバーA:今日は電車のダイヤが乱れていたみたいだから、出社だったら遅刻していたよ!

メンバーB:
リモートだとそういう心配がなくて良いよね。

リーダー:そうだね、おかげで定刻で始められるよ。さあ、会議を始めよう。(進捗管理ツールに登録された情報を見ながら)今日の作業は、Aを〇〇件実施、進捗率は〇〇%で、課題は〇〇か。課題の対応策は?

メンバーC:〇〇を実行する準備を進めています。
リーダー:それなら解決できそうだ。順調だね。その割に浮かない顔をしているけど何かあったのか?

メンバーC:実は、お客様へのプレゼン資料を作っているのですが、行き詰ってしまっています。もう少し考えてもダメだったらご相談しようと思っていたのですが・・・。

リーダー:そうか、一人で悩んでいてもなかなか新しいアイデアは出てこないからな。ちょっと一緒に見てみようか。
メンバーA:そういえばこの前、資料作成に使えそうなWEBサイトを見つけたから、参考にしてみたらどう?
メンバーB:そのサイト、私にも教えてほしい!

ここでは、形式的な報告だけで終わるのではなく、会話を広げることがポイントです。会話をすることでメンバーが抱えている悩み事を引き出すことができています。

リモートワークでは、相手が見えづらいなかで、まずは適切に業務を遂行しているか管理しなければならないという思いが先行してしまい、従来以上に「管理」に重きを置いた会議になりがちです。

先の会議の会話でも、決められた会議で、決められた報告様式通りに報告をしているのですから、そのこと自体が悪ということではありません。

ただ、一口に進捗会議と言っても会議で得られている情報は、管理に必要な数字だけではないですよね。

表情や声の調子、態度から相手のコンディションを把握するなど、語られる言葉以外にもたくさんの情報を得ていると思います。

メンバーの稼働状況を集計することに忙殺されて、実際にコミュニケーションを取る時間を失ってしまうのはもったいないので、定量的な集計や分析はツールに任せてしまいましょう。

その結果を見て次のアクションを考えたり、メンバーの意見や悩み事を聞いてみたりといった時間の使い方ができると、チームの生産性も向上するのではないでしょうか。

SHIFTが提唱するソリューション「TaskRecorder」の活用例

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▲ 2021/1/15開催「SHIFTゼミナール」内『企業インフラDX ~これからの生産性管理手法~』より抜粋

また、同僚と雑談を交わすことで、新たなひらめきが生まれたり気分がリフレッシュされた経験はないでしょうか。

リモートワーク中に雑談をする人は、雑談をしない人に比べてリモートワーク中のストレスが解消できている割合が高いという調査結果もありますから、会議の場でのちょっとした会話も有効でしょう。

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引用元:株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」

最低限の「管理」は仕組み(IT)でカバーし、会議(オンラインでの会話)の場は、メンバー間でのコミュニケーションを取ることに重点を置いた「雑談が生まれる場」にすることが重要です。

数字だけを追いかける進捗会議ではなく、雑談が生まれる井戸端会議を運営するつもりで臨むと、リモートワークで従来以上の生産性を出すことも可能になるでしょう。


第3章:企業文化を変えるのはトップのコミットメント

第2章では営業活動、採用活動、プロジェクトマネジメントの事例から、リモートワークでも成果を上げるためのポイントをご紹介しました。

ただ、そんなに簡単に働き方は変えられないし、コロナ禍が落ち着いたら今までどおりの働き方をするという企業もあるでしょう。長年培われてきた企業文化(固定観念)とは強固なものです。

しかし、リモートワークを競争優位に変えていくうえで、この企業文化がとても重要です。

昨年末に出された経済産業省のDXレポートでも、「ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革する」ことの重要性が説かれています。


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引用元:経済産業省 DXレポート2(中間取りまとめ)(概要)

SHIFTは、昨年4月の緊急事態宣言発出を機に、従業員の働き方を大きく変えました。

これまでは、お客様の情報をお預かりして検証するという仕事の性質上、その情報を自宅に持ち帰ることなどあり得ないと考えていました。また、お客様のオフィスに常駐している従業員も多く、お客様の許可がないとリモートワークに切り替えられないという事情もありました。

そのような状況でも、新型コロナウイルスの感染リスクから従業員の安全を確保するため、社長をはじめとした経営陣は、リモートワークへの切り替えを決断しました。そして、オフィスと同等以上にセキュアな環境を担保することでお客様からリモートワークの許可をいただくなど、リモートワークへの切り替えを強力に推進した結果、全社で70%以上のリモートワークを実現しました。

このように、トップのコミットメントで企業文化は変革できるのです。

リモートワーク推進の主体を現場任せにするのではなく、まずはトップがリモートワークのメリットを理解し推進活動にコミットすることから始めてみてはいかがでしょうか。

第4章:まとめ

第1回では、リモート推進企業に共通しているリモートワークに対する考え方を、第2回では、現場レベルではどのような工夫が行われているのかを、具体的な事例でご紹介してきました。

これからのリモートワークは「オフィスワークの現状維持のため」や「コロナ禍での一時的な働き方」ではありません。高い生産性を実現し、競争優位に変える手段として活用できるよう、改めてリモートワークの在り方を見直してみる、というのも良いのではないでしょうか。

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
社会全体が大きな転換期を迎えていますが、本稿が一社でも多くのリモートワーク推進の一助となれば幸いです。

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執筆者プロフィール:メガネ
大手シンクタンクのシステム部門にて金融機関の業務アプリケーション開発や基幹システムの運用保守に約10年間従事し、2020年にSHIFTへ入社。
現在は大手企業のDX関連プロジェクトにPMO支援として参画中。
趣味は野球観戦、音楽フェスなど。

執筆者プロフィール:ROND
大手コンサルティング会社で業務改善(BPR)組織開発/教育トレーニングプロジェクトマネジメント支援を経て、事業会社の事業企画/マーケティング企画責任者を経験。
SHIFT入社後はITコンサルとして大規模開発業務のPMO支援に従事。
趣味は、ソーシャルゲーム(特にRPG)、ウェイトトレーニングなど

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