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人財育成に最適なメンターをDXで見つけてみる【第1回】


令和の時代にふさわしいメンターの見つけ方は?


◆「メンターの先輩、ホントに私にあってる?」

こんにちは。株式会社SHIFT ヒンシツ大学 講師の柳澤です。

いきなり質問ですが、みなさんにメンターがついたことありますか?
Z世代ではもはや当たり前のように、新人で配属されると「はい、あなたのメンターは先輩の〇〇さんだから」みたいな感じでついた(つけられた!?)経験はあると思います。

「まさにいまの自分にベストな先輩がついてくれた!嬉しいっ!」
って思っていた方もいれば
「なんかね・・・そりが合わないんだよね。。でも上司には言いづらいし・・」
なんていうご経験をしてしまった方もいるかもしれません。

ではメンターを割り当てたご経験のある方はどうでしょう?
若手育成の責任者になられた方は、もはや当たり前のように毎年度の恒例行事でやられているんではないかと思います。

「ん~、新人の□□さんのメンターどうしよう・・・悩むわ~」
なんて食事も喉を通らないほど(!)真剣に考えている方もいれば、

「□□さんには3年目の〇〇さん、△△さんには2年目の☆☆さんでいいや」
なんて、勘と経験(?)でやられてる方も中にはいらっしゃるかもしれません。

で、こうやってマッチングされたメンターとメンティーは果たして最適なのか?というわけですが、
「そもそも誰と誰が合うかなんて、双方をよく知らないとわからないでしょ!」
「結婚相談所じゃないんだから・・・(そこまで気にしないよ)」
なんていう声も聞こえてきそうです。

さてメンターをつける目的は大きく2つがあると思います。

1.早く戦力になってもらうための効率的な育成
2.日々のお悩み相談とかメンタル面フォロー

それなのに、アンマッチな二人になってしまっては双方にとって良くないですし、育成責任者としても悩みが深くなりそうです(「俺の人事評価が・・」なんて)。

でも
「各人のテストの得点や評価データをもとに最適なメンター候補を見つけられますよ」
となったらどうでしょう? しかも今どきの若者に刺さりそうな
「あなたの得意分野で頑張って伸びていってくれればいいのよ」
っていう流れでメンターを見つけられたら!?

「おっ!AI 使うの!?」 と思われた方、ちょっとお待ちください。AI を使わなくてもデータサイエンスのパワーでこういうことができるんですよ! というのが本コラムのテーマです。

◆ヒンシツ大学なので検定データを使ってみます

ヒンシツ大学では「素養・知識・スキル検定」というサービスを提供しております。おかげ様で今年で4年目を迎え、この間に66企業のべ8,000名以上の方に受験いただいております(2024/12月末時点)
この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。

企業様の中には3つ以上の検定サービスをご利用頂いている企業様もおられるのですが、そのような企業様にまさにぴったりなのが今回のデータ分析手法です(最多の企業様はなんと6検定!)。

とはいえ、お客様のデータを何のご了解もなく使うことはできませんので、ここからはダミーのデータで話を進めます。

◆2つの検定結果で考えてみる

「なんや、2つだけかい。いちいちDXなんかで小賢しい分析なんかせんでも見りゃわかるわ!」
という声が聞こえてきそうですが、紙面(画面)での説明の都合上、分かり易く図やグラフを使って説明しようとすると、どうしても2次元(2つのデータ)になってしまうのです。悲しいかな人類の眼と頭脳は3次元までしか視認できません。。。

しかも画面上で3次元で表しても「ごちゃごちゃしてよく判らん!」となりがちなので、今回は2次元でご説明します (今回のデータ分析手法は何次元でも何十次元でもいけます!)。

さて、やっと本題にはいっていきます(長い前振りですみません)。

とある企業様で2つの部署の計12名の社員の方に2つの検定、プロジェクトマネジメント検定(以下、PM検定)とソフトウェアテスト検定(以下、テスト検定)を受験いただいたとします。 以下のような結果となったとしましょう(各検定10点満点)。

ちょっとテスト検定結果の得点を縦軸に、PM検定結果の得点を横軸にしたグラフで表してみます。結構バラついていそうに見えます。

ここから各社員に最適なメンターを見つけていきたいのですが、全員に対してやっていくと、図上もごちゃごちゃしていくので
[部員a-3]、[部員b-3]、[部員b-1]、[部員a-2]
の4名に絞ります。

でもこれまでの育成のイメージって以下のような感じじゃなかったですか?

人それぞれ得手不得手があるのに、
「とにかく全てできるようになって!よろしく!」
「おまえ、〇〇がまるでアカンな・・」
というスパルタ系(昭和な感じ)。。。泣かされた方々も多かったんでは?と思います。

◆今の時代にふさわしいメンターの見つけ方はこれ!

今回の方法では、「それぞれ得意な面を伸ばしていく」方向で考えます。
まず受講者全員を囲むようなラインを引きます。

[部員b-2][部員b-5][部員a-5][部員a-1]がこの企業のトップに位置することになり、この緑のラインがこの企業の結果から 「現状超えることのできないベストライン」 となります。

次に[部員a-3][部員b-3][部員b-1][部員a-2]の4名が「得意な面を伸ばす」イメージで線を引いてみます。こんな感じになります。

「ホントにこの点線が得意な面を伸ばす方向なのか・・?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、上の図の考えでいいんです!

例えばグラフの下中央にいる[部員b-1]の場合、PM系は中レベルまできてるけどテスト系はいまひとつですね。このままのPM系を伸ばしてあげたほうが本人も自信をもってスキルアップを図っていけそうです。

でもいくらテスト系が苦手だとしても少しは頑張ってスキルをつけてもらいたい、と考えると上の図の点線がよいんでは?と思えませんか?

このように線を引いてみると、各人を伸ばしていった先には「現時点で自分よりデキる人」がいます。

[部員a-3]にとっては[部員b-2][部員b-3]にとっては[部員b-2][部員a-6]にとっては[部員b-5][部員b-1]にとっては[部員a-1] となります。

「でも[部員a-3]と[部員b-2]はちょっと離れてない?」と思われるかもしれませんが、「トップを走る人の中で一番近い人は誰?」となると[部員b-2]しかいません(しゃーない)。

このようにしていくと「誰をメンターにするのが最適なのか?」が判りますね。

実はこの方法、数理最適化の手法のひとつである 「包絡(ほうらく)分析(Data Envelopment Analysis)」 という方法を応用しています。

「別に上の図見ればいいんだったら、わざわざ小難しい分析せんでもいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、最初にお断りした通り、今回は分かり易くするために2次元にしたのです(更にはグラフの各線分もちょっと特殊な計算で算出するのです。こちらは第2回でちょっとご説明します)。

社員の評価軸が2つしかないなんてことは普通ありませんよね?

テストの得点だけでなく上司の評価や人物評、性格なども数値化してしまえば、今回の方法に組み入れることはもちろん可能です。評価軸はいくつあっても包絡分析なら最適なメンター候補を見つけられます。

次回は、包絡分析の少しだけ小難しい話と、最適なメンターを見つけるだけではない「適切な人財配置への応用例」についてもお話します。


執筆者プロフィール:柳澤 洋
2024年4月より株式会社SHIFTに参画。
大手SIerに33年間在籍。
前職では金融系・公共系で数多くのシステム開発において、PG・PL・PM・システムアーキテクトなどを担う。2017年ごろからはデータサイエンティストとして金融機関向けAIモデル開発・事業会社向けDX推進支援などの業務にも従事。
また人材育成部門において新入社員向けにIT技術や品質保証についての教育を実施。

■保有資格:
データベーススペシャリスト、JDLA DeepLearning for GENERAL(G検定)、JDLA DeepLearning for ENGINEER(E資格) ほか AWS・GCP・Azureなどクラウド系の資格も保有。
■趣味:
ゴルフとお酒。お酒については以前「アルコール感受性遺伝子検査」を受けた際に、「ロシア人並み」の強さであることが判明している。

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