組織を幸せにする「組織アジャイル」とは?
はじめに
こんにちは。 SHIFTアジャイルコーチの谷川です。
私たちの所属しているアジャイルグループでは主に、お客様に正しくアジャイル、スクラムを理解していただき、お客様の業務改善を進めるコーチング業務を行っております。
アジャイルがここ最近盛り上がりを見せておりますが、実は、今、とても盛り上がっているのは、「アジャイル開発」 ではなく、「組織アジャイル」 なのです。
今回は、この、組織を幸せにすることができる、
「組織アジャイル」とは何か?
を解説したいと思います。
組織アジャイルの誕生
変革のスピードを劇劇に加速させる!
経営者のフラストレーションをなくす!
現場のモチベーションを高める!
顧客の満足度を高める!
これらが、「組織アジャイル」の効果と言われています。
「組織アジャイル」がなぜ、ここ数年で注目されるようになったのかは、日本におけるアジャイルの 苦難の道のりを知る必要があります。
#「アジャイルの苦難の道のり」の詳細については、過去のブログ記事を参照してください。
つまり、日本において何故、約20年間もアジャイルが普及しなかったのか?を分析した結果、この「組織アジャイル」が注目されるようになったということです。
アジャイルとは考え方、行動指針である
組織アジャイルが認識され出した今では、アジャイルとは、開発フレームワークではなく、顧客要望を重視する単なる「考え方」であると 解釈されることが多いです。
そのため、すべてのプロジェクトで適用可能であり、VUCAの時代と言われる何が正解かわからない、変化が激しい時代においては、このアジャイルマインド を理解した行動がすべてのビジネスマンに求められると言われています。
そして、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)も、かなり、この組織アジャイルに注目しており、 下記のような冊子を発刊しております。この冊子は本当にすばらしいものなので、アジャイルに関わる人には是非一度読んでもらい、これをお客様にも広めてもらいたいものです。
特に後者の文書はすごいですよね。「組織を幸せにする組織アジャイル」 と言っているのですから、皆さんもとても興味が沸いてきたのではないでしょうか。2022年頃から、企業経営や組織改革のためにアジャイルの考え方を取り入れた 「組織アジャイル」 を解説する多数の書籍が出版されるようになり、 さらに組織アジャイルのコミュニティ活動 も盛んになり、今日に至っています。
DX推進と組織アジャイル
また、DX推進においても、アジャイルマインドの理解は必須であると言われとり、アジャイルの本質を理解した行動が求められています。そして、現場で起きている様々な課題も組織アジャイルで解決できると言われています。
「アジャイル」が、自律マネジメント型のチームが高速回転しながらイノベーションを推進する
ビジネス手法、企業経営戦略の主流として認められるようになった
大企業の多くはイノベーションを起こすことは難しいと感じており、官僚主義的な組織やプロセスに押し潰されそうになっている
アジャイルはそうした抑圧から解き放ってくれる
今日、私たちは官僚主義の限界を感じているイノベーションと官僚主義は相性が悪い
官僚主義を全てアジャイルに置き換えればいいと言うのではなく、いかに両者のバランスを図っていくかが重要
正しいアジャイルと間違ったアジャイルの違いを明確に理解することが重要
間違ったアジャイルを展開し、失敗してしまうと徹底的にアジャイルが排除されてしまう
アジャイルはまた、従業員の働き方を改革し、その仕事のやりがいを高めることもできる
真のアジャイル・トランスフォーメーションに必要なのは、経営幹部の積極的な関与と支持
(*1)
「組織アジャイル」とは?
次に、この「組織アジャイル」の詳細について解説したいと思います。
「組織を芯からアジャイルにする」 の著者である市谷聡啓さんは、 組織アジャイルは、「探索」「適応」「最適化」を繰り返すこと であると言っています。そして、これに取り組むときの工夫として、下記の三点をあげています。
見える化
場作り
一緒にやる
(*2)
皆さんが、日ごろ進めている自分の業務の進め方を思い浮かべてください。
一週間、もしくは一ヵ月というようなある一定の決まった期間の頭で、その期間で対応する業務の予定を立てて、期間の終わりにその状況をチェックし、組織に結果を報告するというような形態で業務を遂行されているケースが多いのではないかと思います。
これを進める際に、
アジャイルマインドを理解して
スクラムのフレームワークを適用して
業務を進めていくのが、「組織アジャイル(業務スクラム)」 と言われるものになります。
組織アジャイル(業務スクラム)には下記の特徴があります。
開発以外の業務にも適用できる
営業、スタッフ業務などいろんな単位に適用可能
自分ひとりから始めることもでき、それをチーム、プロジェクト、組織、会社全体にまで広げることができる適用が容易
アジャイルマインドが理解できていることが前提ですが、ここまでできないと組織アジャイルではないという定義がある訳ではないので、できるところから気軽にチャレンジができる
何故、組織アジャイルは組織を幸せにできるのか?
では、なぜ、この「組織アジャイル」が組織を幸せにできるのか?を解説したいと思います。
組織アジャイルは、チーム作りを重視するため、業務遂行上の様々な課題解決のために、適切なプラクティスの適用することで、下記の効果が期待できます。
お客様要求事項の明確化
チームメンバーの幸福度(Well-being)のWatch
チームの心理的安全性の確保
「自主性」が生まれる
カイゼンサイクルが適切に回る
現場に称賛、感謝の文化が生まれる
組織文化が良い方向にカイゼンされる
従業員エンゲージメントの向上
幸福度上昇による効率化、業績向上
(*3)
その効果は絶大であり、個人もチームも組織も幸せにする可能性があることがわかると思います。
組織アジャイル(業務スクラム)適用のポイントとは?
「組織アジャイル(業務スクラム)」の適用のポイントは下記になります
正しいアジャイル(アジャイルマインド)の理解
小さい単位からの業務スクラムの適用
1.の正しいアジャイルの理解では、日本で約20年間アジャイルが普及しなかった理由をしっかりと抑えること、社員全員がアジャイルマインドを理解することが重要です。
ここは地道に啓発活動を計画的に進めていくしかありませんが、効果的な推進方法をSHIFTからご提案することが可能です。
2.の業務スクラムの適用は、まずは小さい単位から(自分一人から、自分が所属しているチームから)、無理せず、できるところから始めるのがポイントです。
そして、小さく始めて、徐々に社内展開を広めていくのがポイントです。
これを進めることで、社内におけるアジャイル理解者を大幅に増やすことができ、また、スクラム経験者も同時に大幅に増やすことが可能になります。
とても簡単である、具体的な適用手順を下記に説明します。
●個人(自分)への適用
皆さんが、日ごろ行っている業務遂行に、徐々にスクラムのプラクティスを適用していきます。
自分が持っている作業項目リスト、AI(アクションアイテム)リスト、WBS等の情報を元に、自分のバックログを作成
最初はExcelからでもスタートできますが、このとき、Notion、Miroなど無料である程度使える便利なツール活用がお勧めです一週間の作業のプランニング(スプリントプランニング)
例えば、一週間をスプリント期間と捉えてみて、週の頭に、そのスプリント内で実施するバックログアイテムをバックログの優先順位の高いものから抽出し、計画を立てる週の終わりにレビューとふりかえり会の開催
一週間の終わり、金曜日の夕方とかに、スプリントレビューとして成果を確認する
できれば、セルフふりかえり会も開催し、プロセスをふりかえるPJ(プロジェクト)見える化
上司への報告を簡略化するために、Notion等で作ったタスクボード(TDD(TodoDoingDone)ボードなど)を上司に公開する
こうすることで上司への報告作業も大幅に効率化することが可能です。
お気づきかと思いますが、業務スクラムへのトライは、こんなに簡単にできてしまうのです!
これができると、スクラムに関する知識を着実に習得することができ、また、自分自身でスクラムを回す経験を積むことができます。
●チームへの適用
次に、業務スクラムを自分が属するチーム、プロジェクトへの適用を進めます。これも個人への適用と同様に、できるところから徐々に適用していくところがポイントです。
チーム状況ヒアリング、アセスメント
バックログ化
スプリント実行
レビュー、ふりかえり会の開催
PJ(プロジェクト)見える化
チームへの業務スクラムの適用ができると、スクラム理解者、経験者をかなり増やすことができます。また、心理的安全性が確保され、活気のある、とても良い雰囲気のチームにできるため、「幸せな組織」 を実現することができます。
●スタッフチーム、管理者層への適用
次に、業務スクラムを全社のスタッフチーム、管理者層、経営層のプロジェクトへの適用を進めます。
これを進めることで、社内におけるアジャイル理解者を大幅に増やすことができるため、VUCAの時代に対応できる 「アジャイルな会社」、社員がいきいきと働ける 「幸せな会社」 への移行がスムーズに進んでいくことになる訳です。
チーム、スタッフ、管理層への適用を自前で進めていくのは大変なケースが多いので、我々はここで「組織アジャイル」の推進に熟練した 「アジャイルコーチ」 の活用を提案しております。
まとめ
今まで、私も 「アジャイル開発」 も推進して来ましたが、その時の目的は、開発効率化、課題解決、がメインだったと思います。
しかし、組織アジャイルの場合は、それが、
自分を幸せにして、 お客様も幸せにする!
というレベルの目的に変わる訳です。
もう次元が違ってしまっていますよね。
なので、私はこの 「組織アジャイル」 に本当に大きな可能性を感じており、
IT業界が抱える数多くの課題を解決し
本当にお客様を幸せにできる
と信じています。
皆さんも、企業文化を大きく変える可能性がある 「組織アジャイル」 に、私たちと一緒ににチャレンジして、
「幸せな会社」 を目指していきましょう。
◆参考文献
(*1)ダリル・リグビー 「AX戦略」 2021年9月 P.1
(*2)市谷 聡啓 「組織を芯からアジャイルにする」 2022年7月 P.92
(*3)ドゥエナ・ブロムストロム 「心理的安全性とアジャイル」 2022年6月 P.166
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