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畑大好き人間が語る、農業×IT LTレポート

はじめに

こんにちは。エンタープライズ部所属の市川です。「SHIFT EVOLVE」が開催するLTトークイベント「実りの秋!農業×IT LT会」に参加しました!

「SHIFT EVOLVE」では、エンジニアをEVOLVEして技術を盛り上げていくべく、毎月技術イベントを開催しております。

今回参加したイベントはこちら。

2021/10/28
SHIFT EVOLVE LT会 Vol.6 実りの秋!農業×IT

まずは簡単に私の自己紹介から。

2021/10/1にSHIFTに転職してきました。

大学・大学院で農業経済学を専攻し、週末や長期休みは農家さんで農作業のアルバイト三昧。仕事も農業関係にと思っていましたが、今の私では農業で新しいことできないなと就活目前に気づき、農業×ITを理解すべくエンジニアとなりました。新卒でALHに入社、2回の転職を経て今に至ります。

実は今回特別ゲストとして登壇された徳本さんの畑にも、実はALHの新人研修時代にお世話になりました。当時は有機野菜栽培がメインだったので、研修内容は小松菜の収穫。農作業が大好きな私には至福の時間でした(笑)!

そんなわけで「農業×IT」なんて興味のど真ん中!
各LTの内容を個人的感想多めでご紹介します。

当日の登壇テーブルはこちらです。

《登壇テーブル》

■村山征央さん:株式会社SHIFT
『農林水産省共通申請サービス(eMAFF) IDを用いた次世代農業×ITビジネスの展望』

■神崎健輔さん:南島原市IoT推進コンソーシアム会長
『畑違いの人間がアスパラ選別AIを作ってみて感じた』

■持田宏平さん:株式会社セラク みどりクラウド事業部事業部長
『スマホゲームアプリやIoT洗面台を作っていたら、スマート農業のプロダクトを開発して事業化した話』

■徳本修一さん:トゥリーアンドノーフ株式会社 代表取締役
『農業事業者の視点から見たスマート農業や農業と技術について』


LTトーク内容あらすじ

■ 村山さん
『農林水産省共通申請サービス(eMAFF) IDを用いた次世代農業×ITビジネスの展望』

超ざっくり要約すると、「eMAFF ID」を基盤に、日本の農業従事者のデータ収集・分析・活用がリアルタイムにできるようにしていきましょう、というお話。「eMAFF」って何?って感じだと思うので解説すると、

「所管する法令に基づく申請(約3000)や補助金・交付金(約450)の申請をオンラインで行うことができる農林水産省共通申請サービスの通称。2021年から本格稼働、2025年度にはオンライン利用率60%を目指す。」

参照:農林水産省HP

とのこと。オンライン申請にどのくらいメリットがあるかというと、これを見れば一目瞭然。

作るのも見るのも嫌ですよね・・・。オンライン上でどの程度の入力量があるかはわかりませんが、これだけの情報がデータとして蓄積されれば、申請がだんだん容易になっていくのは明らかでしょう。

個人的に農水省すごいなと思ったのは、このeMAFF ID発行手順。

最初はgBizIDエントリーが必要だけど、eMAFFプライムだけなら、法人の印鑑がなくても職員による身元確認でよいそうです。このへん、さすがアナログ・・・。法人化していない農業経営体が多いからですね。

村山さんの考察によると、このeMAFFをプラットフォームにして農家と行政・関連事業者がリアルタイムに連携することができるのではないかと・・・!

まだスタートしたばかりの事業なのでこの先未知数ですが、逆に言えば可能性は無限大ということ。各ステークホルダーが意見を出してよりよいプラットフォームになるよう、私も注目してみていきたいと思いました。

■ 神崎さん@洗濯ハカセ
『洗濯関連の識者の人間なのに農業IoTに首を突っ込んで撃沈したオイラの話』

お名前の通り、神崎さんの本業はクリーニング。染み抜きが大好きとのこと(笑)。農業系機械で、なんとハカセが自作したものを2つ、紹介してくださいました。

1つ目はアスパラ選別機。
みなさん、野菜にランクがあるのをご存じでしたか?

農産物にも規格がありまして、規格の内容は出荷団体ごとや農家ごとにやや違いますが、ほとんどサイズや見た目・糖度で決まっています。みかんの箱買い(今はしないですかね…)するときに、箱の側面に「秀M」とかって書いてあります。「秀」が、見た目がきれい、「M」がミカンの大きさです。

やっぱり「秀」品のほうが、高く売れます。
で、アスパラの違いなんですが、

「??」って感じですよね(笑)。

依頼を受けた神崎さんは、ディープラーニングの勉強をスタート。

3クラスのAIを提供することができ、農家さんはAIを使って「秀」「優」を区別することができるようになりました。めでたしめでたし。

と言いたいところですが、「目が慣れたのでAIを使わなくても判断できるようになりました」と6か月でお役御免に。AIが先生となって指導してくれたという結果になりました(笑)これは自慢ですが、私もしばらくアルバイトすれば、選別できるようになる自信あります。人間の認知機能ってすごいです。

2つ目はアスパラ用の「しゃべる秤機」

こちらはアスパラ農家のお父さんから依頼されてつくったら、結局利用者になる息子さんには不要のものとなってしまったそうです…ラズパイのGUIの反応速度が、自分で読む速度に比べてコンマ何秒で遅いとのこと。農産物の出荷準備って大量にさばくので、一つをコンマ何秒で早くできるか、って勝負なんですよね。

作成した農業機械は2つとも結局使われなくなってしまったけれど、この時の勉強を応用してクリーニング屋さんの無人化を始められるそうです(2022/2~3予定)!

独学でIoT機器つくってしまう神崎さんすごすぎる!という圧倒感と、独学でも農業で使える機械が作れるのか!というワクワク感でいっぱいになりました。全部解決しようと思わずに、小さいところから少しずつ進めていくというのが学びです。ラズパイで自動水やり装置が作れるらしい!今度ベランダ菜園で設置してみよう。

■ 持田さん
『スマホゲームアプリやIoT洗面台を作っていたら、スマート農業のプロダクトを開発して事業化した話』

持田さんは、農学部出身、農業土木専攻で、研究で触れたWEBの技術に魅了され、セラクにエンジニアとして入社されたそう。しばらくは「天ぷら侍」等のゲームアプリや「スマート洗面台」をつくっていたところ、スマート野菜工場の開発案件が持ち上がり、現在2,500か所以上で導入されている植物工場の遠隔環境モニタリング機械をつくってしまったとのこと。さらっとおっしゃっていたけどすごいですよね。

農業が抱える様々な課題がある中、農業先進国オランダ(金額ベースで世界2番目の農業輸出国)で行われている「生産性の高い農業」を実現すべく、持田さんが取り組まれているのは主に下記の3つ。

1. みどりボックスで圃場環境の計測と記録

2. みどりボックスによるスマホアプリでの遠隔環境制御

3. みどりノートによる生産計画・作業記録

事例として紹介されていたトマト農家の片岡さん、私アルバイトでお世話になっていました!

片岡さんのおいしい中玉トマトは、みどりクラウドによる環境制御で支えられていたんだな、と今頃しみじみ思いました。

これまでは生産支援に注力していたので、今後の展開としては、流通支援、畜産への応用、連携機能の開発によりみどりクラウドのプラットフォー化をしていくこと、とのことです。

みどりクラウドがより便利になって、損失を防いだり、高品質の農産物を育てたりする農家さんが増えていきますように。

■ 徳本さん『特別講義』

農業×ITは表層的な話が多くてお断りすることが多いそうです(笑)今日はSHIFT 社からの依頼ということで参加!

徳本さんが農業を始めたきっかけは、東京で暮らしていた当時、東雲のイオンで購入した野菜がおいしくなく子どもが食べてくれない⇒自分でおいしい野菜を作ろう!と出身の鳥取に飛んで農業法人を設立。初期は有機栽培×大規模生産を目指していましたが、今は大規模水田農業に転換されたそう。ブログYoutubeで詳しく発信されているので、ぜひ見てみてください♪

最近の投稿で、徳本さんが、自作したI AM A FARMERを歌っています!めちゃくちゃかっこいいです!

経営も栽培もデータに基づいて管理するという徳本さん、農業×ITの問題点も、農業センサスを用いて説明してくださいました。

なんと売上100万円未満が50%、3,000万円以上が4%。

規模の小さい農家はIoTを導入するインセンティブが少ないので、そもそもIoTの顧客が少なく、スマート農業が進んでいないそうです。IoTやAI等の技術進歩も大切ですが、農業構造から変わっていく必要があることが、この表だけでよくわかります。

スマート農業を進めるには、

① プレイヤーではなく農業経営者という自覚をもつ農業従事者を増やすこと

② 新しい技術(ITやバイオテクノロジーなど)を理解し、消費者とのリスクコミュニケーションをとっていくこと

が必要ではないか、ということでした。

農業は生物・化学・物理・経済・IT…いろいろな学問の総体性。各方面にアンテナの高い農業経営者のお話はやっぱりとても楽しいです♪

最後にミニパネルディスカッションがありましたが、内容は割愛。
みなさん、「I AM A FARMER」を歌いましょう!(笑)

イベントの内容は以上です!

もっとあるよね「農業×IT」

農業×ITって今回ご紹介いただいた以外にも、たくさんあります。カオスマップをご覧いただくのがわかりやすいかと。

Agritech(アグリテック)カオスマップ【2021年版】

アグリテックのカオスマップ(2020年6月版)  https://hermit.directory/dg-xtech/chaosmap/agritech-map-dl/


https://smart-farmers-lab.com/blog/1090/

IoTやロボット、AIの活用したスマート農業として注目されているのは、主に生産支援サービスに関するところですね。ほかにも私たち消費者の身近なところでは、ECを利用した販売支援サービスがいくつもあります。例えば、私が今も活用しているのはRakuten Ragri(現楽天ファーム)とシェア畑、利用したことがあるものはAgrionやOisix、旬八やマイファームです。


おわりに

農業IT普及に向けて、私からみなさまへのご提案。まずは実感してみてはいかがでしょう。

① 農産物ECサイトを消費者として使ってみましょう!
上記の「販売支援サービス」は誰でも利用できます。各ECサイトのHPを見るとサービスの思いがそれぞれ書いてありますので、ぜひ読み比べてみて。共感できるところを始めてみてください♪

②いちご狩りに行きましょう!
持田さんのお話でもあったように、技術化が進んでいるいちご。みんな大好きないちごは。繊細かつ高単価なので各県でもブランド化の研究も盛んなのです。

いちごのハウスの周りには、暖房器具、二酸化炭素発生装置、水やりポンプ…いろんな機械があるはず。ひょっとしたらみどりクラウドで環境制御されているところに出会えるかも。

ぜひハウスを観察して、あれかな、と思ったら農家さんに聞いてみてください。きっといつものいちごが、もっとおいしくなりますよ!

(寒い時期のほうが糖度が高いので、1~2月、さらに余裕があれば午前中がおすすめです♪)


★次回のイベント情報★
SHIFT EVOLVEは、LT大会をはじめ、様々なイベントを今後も開催予定です!次回のイベントはこちら。

『ブラックフライデー!トラブルシューティング LT会』

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 執筆者プロフィール:市川 紗矢香
Slerとベンチャーでの自社開発を経て2021/10/01にSHIFTに入社。SAPの品質保証に奮闘しつつ、テストを通して開発者も利用者もHAPPYになる社会を目指す。
畑作業が大好きで今年からシェア畑を借りて、今は冬野菜やいちごなどを栽培中。特技はトウモロコシの定植と大根の間引き。

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