S/4HANA Cloud 社内向け学習環境構築記~4~CBCの初期設定
はじめに
こんにちは。株式会社SHIFT SAPグループの八木です。SAPグループの社内教育を担当しています。
この記事の想定読者
SHIFTの社内教育に興味がある方
SAP未経験者への教育に興味がある方
SAP S/4HANA Cloudの非商用ライセンス環境利用に興味がある方
SAP S/4HANA Cloudの初期設定に興味がある方
この記事のゴール
SAP S/4HANA Cloud”Cloud test, demo, and development for SAP S/4HANA Cloud, one-system landscape”の環境構築の経験談を知ることができます。
いよいよカスタマイズ開始!
前回の記事 では、SAP S/4HANAの購入手続き後に CBC Central Business Configurationへのアクセスを行うためのユーザ設定についてお伝えしました。 今回はCBCでの初期設定について説明します。
これまでに行ったプロビジョニングの手続きで、以下の4つの環境が有効化されました。
SAP Cloud ALM - Production
SAP Central Business Configuration - Test
SAP S/4HANA Cloud Partner Demo - Customizing
SAP S/4HANA Cloud Partner Demo - Development
次に、以下の手順でシステムの設定を進めていきます。
CBCへのアクセス
CBCの初期設定 <<今回のブログではこの手順について詳しく説明します
S/4HANAの初期設定
Cloud ALMの初期設定
購入後の手続は、Roadmap Viewer のS/4HANA Cloud, public edition 向け SAP Activate (3 システムランドスケープ)の記載を参考に行いました。
SAP Central Business Configuration(CBC)とは?
SAPヘルプポータル には、以下のように説明されています。
実際に利用した感想としては、「必要な初期設定を順序だてて行うための便利ツール」という印象。
CBCでは主に3つのことを行いました。
プロジェクト登録
スコープ選択
組織設定
CBCの設定は各テナントごとに行いました。そのため、Customizingテナント用、Developmentテナント用の2つのテナント用に同じ作業をする必要がありました。これについては、トランザクションコード「SCC1」を使った、クライアント間の移送により、「カスタマイズ用クライアント」と「開発用クライアント」の設定が完了したオンプレミス環境と比較して、手間がかかる印象を持ちました。
プロジェクト登録
CBCにアクセスし、Createボタン(Switch Project⇒Create New)からプロジェクトを登録しました。 プロジェクト登録の際には「Title」と「Project Type」を指定します。
S/4HANA環境に設定を反映するためには「Project Type」は「Evaluation」を選択する必要がありました。
最初に登録した際には「ProjectType」に「Implementation」を選択してしまったため、後続の設定でつまずいてしまいました。
Scope and Organizational Structure Phase
プロジェクトを登録すると、Scope and Organizational Structureフェーズが開始されました。 このフェーズは、3つのマイルストーンがあります。
Scope
Organizational Structure
Product-Specific Configuration
1. Scope
はじめに、Activity Listの画面が表示され、Scopeのマイルストーンの達成に必要なActivityが表示されました。 Activity は以下の3つがあり、上から順に設定していきます。
Define Scope
Assign Deployment Target
Confirm Scoping is Completed
1.1.Define Scope
対象とする国とソリューションスコープを選択しました。
Define ScopeのタイルのOpenをクリックすると、Sector(Private/Public)と、国の選択画面が表示されます。 ここでは、Sectorは「Private」、国は「JapanとUSA」を選択し、保存しました。 なお、SectorにPublicを指定すると、国は「USA」しか選択できません。(ブログ執筆時点において)
保存すると「Bundles」の選択画面に切り替わりました。 Baseline Acceleratorと、Enterprise Managementのタイルが表示されるので、どちらも「Add」を選択しました。 すると。「Scenarios」が選択可能になります。ベストプラクティスが一覧で表示されるため、利用する予定のシナリオを選択します。社内の検証環境なので、主要なものはすべて選択しました。 選択を完了するため「Complete Activity」にステータスを変更しました。
1.2.Assign Deployment Target
ここで、この設定をどのS/4HANA Cloudのテナントに反映するかを設定します。
プロジェクト登録の際に「Project Type」を「Evaluation」にした場合のみ、接続先のテナント設定が可能になります。
私は、最初の登録時にはこのプロジェクトタイプを間違えてしまったため、新たにプロジェクト登録からやり直しました。
接続先のテナントを選択してAssignボタンをクリックすれば接続先の設定が完了します。
1.3.Confirm Scoping is Completed
Deployment Targetの設定が完了したので、Scopoingを完了のステータスに設定しました。
2.Organizational Structure
次に組織の設定を行います。これは、トランザクションコード「SPRO」でアクセスするIMGアクティビティの組織カスタマイズに近い内容の設定でした。
Set Up Organizational Structureアプリを使って実施します。ツリー形式で表示されるため直感的に設定することができました。なお、設定する組織のコードや名称は、事前にリスト化しておきました。 組織の設定には、後から修正できないものもあるので注意が必要です。
設定の完了を確認すると、設定情報が、指定したテナントに反映されます。反映までに少し時間がかかりりました。 私が設定した際には、設定反映が完了しないまま1日以上経過したため、Incidentを起票しました。システム的な問題が発生していたという事で、SAP側に対応してもらいました。
3.Product-Specific Configuration
ここは後から設定可能なため、初期設定では行いませんでした。
終わりに
今回はSAP S/4HANA Cloud”Cloud test, demo, and development for SAP S/4HANA Cloud, one-system landscape”環境構築後のCBCの初期設定について書きました。
オンプレミス環境での組織設定とはかなり勝手が違っていましたが、CBCのアプリは、直感的で使いやすく、あまり迷うことなく設定を進めることができました。ブログを執筆するにあたり、再度機能を確認したところ、私が設定したタイミングではScope選択で表示されていなかったシナリオが選択できるようになっていたり、組織名称の言語毎の設定が可能になったりしていました。CBCのアプリも定期的にアップデートされており、進化の早さに驚くとともに、情報収集して知識をアップデートしていかなければならなことを痛感しました。
次回は、S/4HANA Cloud環境の初期設定について書きたいと思います。
なお、本ブログに記載内容は筆者本人の経験談となります。実際の設定手順はSAP社が提供する資料をご参照ください。
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