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《第2回》中堅ITコンサルタント奮闘記|本当に必要な品質保証を考える

はじめまして。株式会社SHIFT ITコンサルティング部の中西です。

SHIFTの中堅コンサルタントのお悩みを通して、PMOサービスで起こりがちな課題について考える当シリーズ。計3回でお送りするなかの、今回は第2回となります。

前回は”30年選手の先輩さん”久野(きゅうの)さんがポイントをご紹介しましたが、今回は”10年選手の中堅くん”の中西が、本当に必要な品質保証とはなんぞや?を考えていきます。

<第1回のおさらい>

第1回 大規模プロジェクトの立ち上げに挑戦

第1回では、プロジェクトの立ち上げにあたってお悩みに直面した「中堅くん」に、「先輩さん」が立ち上げ時の3つのポイントを指南する、というお話でした。

第1回の3つのポイント
ポイント1:スピードと品質の両方の要求に応える
ポイント2:お客様のビジネス視点で意思決定を促す
ポイント3:ビジネスの目標と一致したプロジェクトの目標を設定する

(登場人物)
中堅くん・・・小中規模のプロジェクトをいくつか経験して、プロジェクト管理に自信をつけてきたSHIFTの若手コンサルタント。

先輩さん・・・七難八苦を経て、海千山千のPM業務をこなしてきたSHIFTのベテランコンサルタント。

(プロジェクトの概要)
■お客様:自動車メーカー
■対象業務範囲:需要予測、生産計画、生産計画に対する実際に生産された車両の割り当て、出荷納品
■予算:約10億円
■期間:1年半

先輩さんの指南を受け、DAAEの概念(※)を活用しつつ、ビジネス視点での立ち上げ支援ができた中堅くんですが、どうやら次の段階である、プロジェクト計画でまたお悩みに直面しているようです。

DAAE(ダーエ):SHIFTの提唱するシステム開発の概念。
Design(デザイン)、 Agility(迅速性) 、Assembly(組み合わせ) 、Economic Quality(経済品質)の略。


第2回 本当に必要な品質保証を考える

先輩さん: 中堅くん、この間のプロジェクトは順調に走り出しているかい?

中堅くん:おかげ様で、紆余曲折ありながらも、プロジェクトの立ち上げは乗り切りました。今はプロジェクトの計画フェーズに差し掛かっているところです。

先輩さん:現時点で中堅くんから見て、なにか気になるところはあるかい?

中堅くん:今回のプロジェクトのなかで、自動車製造ラインに関する基幹システム開発に加えて、お客様へのサービス向上を目的とした、コンシューマアプリ開発がスコープに入ったんです。

前者はQCDを意識したウォーターフォール開発、後者はDAAEを意識したアジャイル開発で進めていく想定ですが、性質の異なる開発が混在している状況で、どこかで品質上の問題が出ないかが気になりますね。

先輩さん:そういう直感は大事だ。では一緒に、プロジェクトの品質保証について、掘り下げて考えてみようか。

【品質保証アプローチはテストだけ?】

 中堅くん:品質保証ということであれば、当然、どのようなテストをするかにすべてがかかっていますよね。テスト計画を練るのはこれからですが、いかに効率よくバグを検出し、リリース後のエラーを低減させるかを工夫しようと思っています。

先輩さん:品質保証において、テストは重要な部分だね。でもそのアプローチだけでビジネス目的は達成できるのかい?

中堅くん:品質を上げたいなら、テストが重要なのではないのですか?

先輩さん:開発したプロダクトに対してテストやレビューを行うアプローチは、プロダクト品質の保証だね。でも保証すべき品質の種類はそれだけではなくて、サービス品質、プロダクト品質、プロセス品質の三種類があるんだ。それぞれ、次のような意味をもつ。

サービス品質・・・ユーザーの要求、満足度を満たしていること
プロダクト品質・・・プロダクトが要件・仕様通りに動作すること
プロセス品質・・・プロダクト品質、サービス品質確保のために必要なプロセスを構築し、実行していること

サービス品質やプロダクト品質を、テストやレビューといったアプローチで保証することは重要だね。 しかしそれだけでは、できあがった「後」のサービスやプロダクトの品質しか保証できないから、作ってみた結果、ビジネス目的とずれてしまった、といった状況での軌道修正が難しくなってしまうんだ。

そこで、サービスやプロダクトの作りこみを行う、プロセスそのものの品質を保証することで、作りこまれたサービスやプロダクトの品質を上げるアプローチがある。これを「プロセスから品質を作りこむ」というんだ。 さらに、プロセス品質の保証、プロダクト品質の保証、サービス品質の保証といった、各品質を保証するための活動全般に対する計画を「品質保証計画」というよ。

中堅くん:テストやレビューによるエラー検出以外で品質を保証しようという発想はありませんでした。プロセスそのものというと、開発プロジェクトで発生する作業全般ということですか?であれば、要件定義のような上流工程にも関わりますね。

先輩さん:その通り。上流工程を含む、全行程に対して品質保証計画を策定・適用することで、テストだけじゃなく、要件定義、設計、開発といった作業の品質も向上させることができるんだ。後工程のテストでエラーを検出するだけより、上流工程のうちから高い品質を担保したほうが、ビジネス目的を達成する可能性は格段に上がる。 特に大規模なウォーターフォール開発においては、プロセス品質を含む各品質を保証するための品質保証計画を立てて、上流工程から下流工程まで、トータルで品質保証をすることの効果は絶大だよ。

中堅くん:わかりました。品質保証計画、やってみます!

★ポイント1:全行程を通じた品質保証計画を策定する
SHIFTはプロジェクトの上流工程から参画するにあたり、品質保証計画を策定します。全行程を通じたプロセス品質を担保することで、要件定義や設計といった上流工程からの作業品質を担保します。その上で、プロダクト品質・サービス品質の保証活動を計画することで、より堅確な品質保証が可能です。品質保証計画によって、プロジェクトの上流から下流まで、トータルで品質を保証することができます。

【お客様に求められる品質とは?】

中堅くん:では、要件定義からしっかり品質を保証できるように、プロジェクト全体の品質保証計画を作ってみます。

先輩さん:そうだね。ちなみに、サービス品質にフォーカスした品質保証のアプローチは考えているかな?

中堅くん:プロセス品質を保証したうえで、テストやレビューでプロダクト品質・サービス品質を保証しようというアプローチ以外に、なにか品質保証のアプローチがあるんですか?

先輩さん:その説明にあたっては、CX・UXといった概念が重要になる。中堅くんはこの概念を知っているかい?

中堅くん:CXはカスタマー・エクスペリエンス、UXはユーザー・エクスペリエンスですよね。お客様(顧客)・利用者の体験価値に着目した概念だったかと思いますが、それが品質保証にどう関係してくるんですか?

先輩さん:それらはサービス品質と切り離せない概念だよ。価値ある体験を提供し、利用者の満足を生み出すサービスは品質が良いと言えるよね。つまり、CX、UX観点での価値向上は、そのままサービス品質向上に繋がるんだ。

中堅くん:でも体験価値なんて、不具合による価値の阻害を除けば、基本的には要件次第ですよね。

先輩さん:その通り。だからこそ、UX・CXを意識したサービス品質の作り込みは、ユーザーの協力が不可欠だ。プロトタイピングを活用するなどしてユーザーからフィードバックを得ることによる改善が有効だね。それにはユーザーの協力を得る必要がある。

中堅くん:基幹業務システムの要件ブラッシュアップはユーザーである業務部門の方々と協業するつもりですが、コンシューマ向けアプリ開発におけるユーザーはお客様になりますよね?不特定多数のお客様に訴求するかどうかは、どれだけ時間をかけて作りこんでも実際リリースしてみるまでは分からないのではないでしょうか。

先輩さん:サービス提供対象が顧客だと、そうなるね。そこで、短期的な開発サイクルを回すアジャイル開発のアプローチが有効になる。サービスをデザインしたら素早く試作し、顧客の反応をフィードバックした上で、デザインのブラッシュアップと次の試作に入る。このサイクルを短期的に回すことで、スピーディなサービス品質の向上が可能になるんだ。

中堅くん:それならサービス品質を保証できそうですね。でもスピード重視でどれだけのプロダクトが作れるのか、プロダクト品質はどこまで保証できるのかが不安になりますね。

先輩さん:そうだね、ゼロベースで作ろうとすると難易度が高いだろう。だから既存のパーツやクラウドサービスを組み合わせて活用することでスピーディに開発することが可能だ。ただ、利用するパーツの状況管理や組み合わせた状態での品質保証には気を付ける必要はあるからね。 組み合わせによるモノ作り・ユーザーフィードバックを含めた短期的な開発サイクルで、迅速且つ経済品質をもって顧客に訴求するサービス品質を保証する。そして競争優位性を得る。まさしくDAAEを意識した開発になるね。

中堅くん:なるほど。その考え方は、今回のコンシューマ向けアプリ開発領域での品質保証のアプローチに適合しそうです。

先輩さん: 保証すべき品質は何になるのか、サービス提供する相手を意識して、それに応じた品質保証活動を考えるといいよ。

ポイント2:サービス提供対象に応じたサービス品質を作りこむ
競争領域のシステム開発においては、UX・CXといった体験価値を含むサービス品質を顧客に訴求するレベルまで引き上げることが必要になります。それをスピード感をもって行うためには、DAAEを意識した開発手法を用いるのがよいでしょう。

サービス提供対象を認識し、必要な品質を、有効なアプローチで作りこむことが重要です。


これで中堅くんは、適切な品質保証を考えることができそうですね。

前回はプロジェクトのビジネス目的を達成するための、開発手法の検討・目標設定を行いましたが、今回はビジネス目的を達成するために必要な品質保証のアプローチをご紹介しました。

ポイント1:全行程を通じた品質保証計画を策定する
品質保証計画によって、プロジェクト全体を通じてトータルで品質を保証することができます。

ポイント2:サービス提供対象に応じたサービス品質を作りこむ
サービス提供対象に応じたアプローチをとることで、必要なサービス品質を作りこんでいくことができます。




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お客様のビジネスニーズに応え、ビジネスの目標を達成するため、品質保証を強みとするSHIFTでは、あらゆるアプローチでの品質保証のサービスを提供しております。今回のテーマに関わるところでは、以下のようなサービスを提供しており、お客様のお悩みにお応えすることが可能です。

<ご参考>
上流工程からの品質保証:プロジェクト運営(PMO)支援 サービス
UX品質保証:UXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン) 顧客視点の品質保証


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執筆者プロフィール:中西 亨
大手SIerにて10年以上、業務アプリケーション開発・保守運用に従事。金融業のお客様業務アプリケーション領域のエンハンス開発と保守運用を担うチームにて、開発作業、プロジェクトマネジメント、チームマネジメントを経験。 ITコンサルタントを目指し、SHIFTに入社。現在はPMOコンサルタントとしてプロジェクトに参画し、お客様を支援している。 シアタールーム付き一戸建てを建てることが当面の夢。

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