DAAE流、インバウンド/アウトバンドのトレンド・ビジネスチャンスについて分析したみたPart3
はじめに
こんにちは、株式会社SHIFT DAAE(ダーエ)の清水です。
DAAEとはデザイン(Design)、迅速性(Agility)、組み合わせ (Assembly)、経済品質(Economic quality)の頭文字をとったSHIFTオリジナルのプロダクト開発フレームワークです。業界職種問わず様々な分野についてDAAE流に発信しています。
ウクライナ戦争が始まってから一年を迎え、コロナの再流行、円安から円高への急激なトレンド変化など世界情勢は日々変化してます。旅行という観点では、日本でのコロナの扱いが指定感染症から5類感染症への見直しといった大きな変化が訪れようとしてます。このシリーズでは、旅行の観点から様々な分析をしてきましたが、日本への旅行動機・条件が様々整いつつあるということが分かりました。世界情勢や分析してきたことを踏まえると、2023~2024年は旅行業における飛躍の年になるのではないでしょうか。
今回は、このシリーズ最後として今までの分析を踏まえた上でのインバウンドにおけるビジネスチャンスについてみていきたいと思います。
日本におけるインバウンド・アウトバウンドの推移や日本へのインバウンドが飛躍的に伸びているベトナムについての分析は、以下のブログをご一読ください。
この記事はこんな方におすすめ
新規事業を立ち上げている人
海外の情勢が気になる人
事業で海外エンジニアに開発の委託を検討されている人
1.インバウンド旅行の多様化
まずは、インバウンドにおける旅行ニーズやニーズの変化について見ていきます。 海外からの旅行客に向けたパッケージにおいてやはり王道なのは、東京、名古屋、大阪といった都市部や京都、富士山や箱根などの有名観光地のゴールデンルートでの旅行です。特に、初めて日本に訪れる観光客は日本の世界遺産や景勝地など、日本の文化を堪能できるスポットを中心に旅先を選ぶのではないでしょうか。
ニーズ別の団体旅行で言うと、地域ローカルツアーや渋谷ウォーキングといった幅広い世代に人気を狙える都市部や地方を融合したツアーは当然として、人間ドックツアーやミシュランツアーなど、1つの体験に特化したパッケージツアーも人気があります。例えば人間ドックツアーでいうと、中国の富裕層向けに売り出しており、信用できて安心感がある日本ブランドの医療サービスを受けたいと来日する人が多いそうです。このようにニーズに特化したコアなサービスプランも出始めています。
また、最近では個人旅行の人気も増加してます。個人旅行での行き先としては、アニメ聖地巡礼や伝統職業体験、海外インフルエンサー発信訪問地など日本固有の体験が人気です。日本政府としてもクールジャパン戦略を打ち出しており、日本の魅力(例えば、食、アニメやポップカルチャーなど)を対象に世界からのファンを増やす活動をしています。このように、自分の趣味や興味あわせたカスタマイズ旅行も増えてきています。
つまり、なにか明確な目的をもって来日していることが考えられます。
外国人が日本へ旅行に期待すること
では次に訪日前に旅行者たちが何を楽しみしているのかを調査してみました。
訪日前に期待していたこと
JNTOの調査によると、50%以上の人が期待していたことは日本食を食べることとショッピングです。前回の分析からも見えてきたように、初めての訪日の方が増加傾向にあるために、日本固有の文化体験を期待している人が多いことが読み取れます。旅行客が増えてくることを想定すると、事前に複数言語対応などの施策をより強化していく必要があるかもしれません。
次回の訪日に期待すること
日本に1度訪れた方が、次回日本へ来る際に、何を期待するのか。1位は日本食を食べることと変わらずですが、次に多いのが温泉入浴となっています。すなわち、四季の体感や旅館に宿泊といった日本の文化を体験ニーズが増えていることが分かります。一方で、繁華街の街歩きなどは、初めて日本に来た時に期待することに比べると、大きく後退しています。
以上のことから、日本へのインバウンドでは初回は都会を巡るツアーが人気でありますが、複数回日本へ訪れる場合やクールジャパン戦略で日本へ訪れた目的のある観光客はニーズ別の団体ツアーや個人ツアーにシフトしていくことが読み取れました。
ここまでの分析から、日本への旅行需要の増加・期待することなどが分かりました。では、ここから観光客をサポートしていくためのインバウンド事業者について調査してみることにしました。
2.インバウンド事業者について
まずは、どのようなインバウンド事業者が想定されるか把握するために、訪日観光客のジャーニーマップについて考えてみました。
行動ステージは旅行前、旅行中、旅行後の3つに分けることができ、ユーザーのタッチポイントもそれぞれ洗い出しました。それらをもとにどのような事業者があるのか調べました。
インバウンド事業者カオスマップ
こちらはインバウンド事業者のカオスマップになります。2021年に訪日ラボが出しているものです。縦軸では旅マエ、旅ナカ、旅アト。横軸ではプロモーション、分析・マーケティング、受け入れ環境整備と分かれてるものの小規模事業者が乱立しており、勝者不在や逆にユーザーペインといった見方もできると考えました。 海外の旅行客へのより良い体験提供のため・個人にパーソナライズされた体験構築のために、根本的な言語対応や簡易な導線設計が求めらえるのではないでしょうか。
そんな中、インバウンドは増加し続けているので各都道府県も補助金を出して、環境お整備に取り組んでいます。
インバウンド事業への補助金
このように各地域でもインバウンドにの受け入れに受けた環境整備を進めるために補助金を出していることが分かります。1施設(=1店舗)あたり200-1,000万の補助金を観光事業促進として補填しています。
(例)※2/1現在募集中
では次に実際にインバウンド事業者にはどのようなものがあるか調べてみました。
インバウンド事業者例
今回ピックアップしたのはソースネクストとWovn TechnologiesとLIVE JAPANの3社です。では1つずつ見ていきましょう。
ソースネクスト
一つ目はAI翻訳機ポケトークを主軸販売しているソースネクスト社です。言葉の壁を超えるをミッションに、インバウンド需要に備えた事業展開を今年度以降行っています。インバウンド需要を見越した新サービスのローンチを控え、株価も上昇傾向になっています。インバウンド需要が今後増加してくることを考えると、飲食店やホテルなどの接客業やツアーにおいて盛り上がってくるのではないでしょうか。
Wovn Technologies
2つ目はWovn Technologies社です。これからインバウンドが増えると様々な国・地域から人が来るため、多言語対応も今以上に増えてくることが見込まれます。Web サイトをシンプルに多言語化し、大規模な EC サイトや、強固なセキュリティが求められるイントラサイト、翻訳精度が重要なブランディングサイトなど、あらゆる Web サイトに導入可能なサービスです。増々需要が高まると思われます。
LIVE JAPAN
3つ目はLIVE JAPAN社です。複数の事業者によるプロジェクト(大手グルメサイトを運営してるぐるなびも参加しています)で、訪日外国人が日本観光を快適に楽しむための情報をまとめたメディアです。旅行前に知っておきたい文化・歴史・マナーなどといった情報を発信しており日本旅行に必要な情報を旅行者の視点に立ち、提供しています。
上記のように、インバウンドにおける事業者から見ると、翻訳やメディアといった旅行者が快適な経験をできるように、環境を作りあげています。では、最後にここまでを踏まえて、どこにビジネスチャンスがあるのかどうかを、見ていきます。
3.SHIFTが考えるビジネスチャンス
ここまで、インバウンド旅行の多様化とインバウンド事業者についてみてきました。
インバウンドが増えていく中で、どのようなビジネスチャンスがあるのが考えてみました。
アドベンチャーツーリズム
ますは、どのような施策があるのかどうかを、アドベンチャーツーリズムという実例で見ていきます。アドベンチャーツーリズムとは、アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行のことです。地産地消であり、雇用を新たに生み出すといったプラスの循環を創り出します。 日本固有の文化や自然をアクティビティを通じ体験することができます。日本での市場規模は1兆円とも言われています。
ではこの、アドベンチャーツーリズムのフレームを基にして、DAAE流に考えてみましょう。
DAAE流に考えると
ここまでの分析を踏まえて、以下のような構想を描くことができるのではないでしょうか。
ベトナム対応力の強化
インバウンド需要の中でも、前回の分析からベトナム人のインバウンド需要が増えていることが把握できたことから、ベトナム旅行客への対応を強化することが1つのチャンスであると捉えることができます。SHIFTもベトナムに、SHIFT ASIAとして拠点を構えています。
複合的なツアー設計サービス
日本での旅行で期待することや需給の変化を考慮した時に、どの角度からの需要にも対応できるようにコンシェルジュとタッグを組むことによって、より広範なサービスラインナップを提供することができるのではないでしょうか。
繁華街のリテンション向上企画
インバウンドが今後、すさまじい勢いで増えていくこと・日本に初めて訪れる旅行客が増えることを想定したときに、繁華街へ来る動機付けを事前に埋め込んでおくことによって、2回目の訪問の際にも、訪れたくなるような環境を作ることできるのではないでしょうか。
コロナ・ウクライナ情勢の問題で、旅行へのハードルが高くなっていたが、今後緩和されることを考えると、事前に上記のような対応をしておくことが求められるのではないでしょうか。また、そこに新規でのサービス立ち上げや開発などのチャンスが眠っているかもしれません。
※このシリーズは、Part1-3までとなっております。インバウンド・アウトバウンドの歴史から直近の傾向、ビジネスチャンスまで落とし込んでいるので、ご一読ください!
インバウンドにおける調査ソース
主に以下のような参考文献を元に、調査を進めていきました
日本に期待することデータ
観光庁 訪日外国人消費動向調査インバウンド事業者カオスマップ
訪日ラボインバウンド補助金
東京都 インバウンド対応力強化支援補助金
大阪府 大阪府宿泊施設等の環境整備促進事
広島県 観光誘客環境整備事業(サミット対策緊急整備)補助金インバウンド事業者例
ポケトーク
Wovn Technologies株式会社
LIVE JAPANアドベンチャーツーリズム
日本アドベンチャーツーリズム協議会
※本稿内の図表は上記ソースよりSHIFTにて作成
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