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軽い気持ちで1on1を支援するツールを作ったら、奥が深くていっぱい考えた話

こちらは、公式アドベントカレンダー2024_A IT技術関連トピック Day.20 の記事です。
公式アドベントカレンダー2024_B 仕事術・キャリア・体験記も毎日記事を公開していますので、ぜひあわせてご覧下さい。

★Day19のアドベントカレンダー記事
shadcn/uiとDuckDB Wasmで軽量で直感的なデータ可視化を実践(Kenta Koshiishi)


皆さんこんにちは、SHIFTでプロダクト開発部門のマネージャーをしている森川です。

「マネージャーも手を動かし続けるべき」を信条にする私が、GPTに頼りまくって作ったアプリのプチ自慢エントリーをお送りします。

1on1のログどうしてますか?


さて皆さん

唐突ですが、メンバーとの1on1のログってどうしてますか?

テキストのログが積もって、特に見返すこともないデジタル肥やしになっていませんか?(余計なお世話)

はい、私はそうです。

最近は特に組織が大きくなってきたので、1on1が追いつかずログの管理すら危ぶまれてきました。

1on1はエンジニア組織の活力の源泉ですから、一大事。

なんとかせねばということで、LLMでログを解析して整理&アドバイスをしてくれるアプリを作ることに。

1on1サポートアプリ、「1on1支援くん」


できました。

名前を入れて1on1ログをアップロードすると…

カテゴリ毎のログとAIによるアドバイスが表示されます。
※ データはダミーです。

加えて弊社で運用しているHR管理ツールの情報も取り込みます。(現在は手動で連携しています)
※ データはダミーです

アシスタントとのチャットではこれらのコンテキストを踏まえた上でAI-Chatに相談できます。

これで過去の情報をもらさず、1on1を最適化できそう。

やってみて見えたこと


少しだけ運用してみたところ、いくつかの気づきがでてきました。

  • 1on1の質が可視化される

  • 正しい1on1のあり方

  • 1on1の品質が可視化された組織の未来

まず、見えてきたのは私の1on1品質でした。メンバー育成の前に1on1の質が高くないと、効果が得られません。

次にでてきたのは、正しい1on1ってなんなんだろう?という疑問。

1on1の至らなさを指摘してくれるコーチングガイドラインに沿ったプロンプトが欲しくなりました。

メンターの品質向上をAIに支援してもらう世界。未来っぽい。

そしてこのアプリが普及した世界では、数値化された1on1品質が組織のスループット向上に使われるようになる?

そんな妄想を巡らせていました。

順に説明していきましょう。

可視化することで問われる1on1の質

ときおりAIが面白いアドバイスをすることがありました。

気づかなかったメンバーの適性を指摘したり、会話に足りないところをアドバイスしたり。

一方で考察が浅いときもありました。

これは1on1ログの分量(≒実施期間)と内容に依存するようでした。

とくに、多面的な会話ができているメンバーとのログが、面白い結果になる傾向のようです。

信頼関係の上に多面的な会話をすることで1on1品質は上がりやすい、ということなのかもしれません。

私の場合はできていないことが多く、反省点がてんこ盛りでした。

見事なブーメラン(泣)

おかげで、メンバーの成長を促す1on1を実践できているか、メンターの1on1を評価するソリューションにもなり得るという新たな未来が見えました。

正しい1on1ってなんだろう?

1on1を評価するには、あるべき姿が言語化されていなければなりません。

幸いにも当社には管理者向けの充実した1on1研修があり、詳細な資料が用意されています。

これをガイドラインとして評価プロンプトを組めば、評価ができそうです。

簡易的にやってみました。

ガイドラインにそった評価結果をJsonで返してくれています。

1on1評価が数値化される世界

評価が可視化できるなら数値化も可能でしょう。

HR領域に新たな分析指標として、コーチング能力の評価が加えられることになるかもしれません。

「コーチング有効指数」と勝手に命名して妄想してみました。

マネージャーの能力とメンバー育成との相関、メンバーとの相性判断がより正確になり、組織運営が改善されそうです。

今まで見極められなかった、メンバーの成長起因がラッキーパンチなのかマネージャーの手腕なのか、ブラックボックス問題を解決できるかもしれません。

技術スタックと開発メモ


技術スタック

とにかくチャッチャッと作りたかったので最短ルートを採用。

グラフ生成やテーブル出力など、利用ライブラリすら把握してない箇所もあります。

  • Vue.js / vite / fastapi / Azure OpenAI / ECS / Cloudformation

  • コードとIaCは8~9割を社内GPT + GitHub copilotで作成

開発メモ

メイン処理はLLMでログ情報を整理してもらった後にJsonを返してもらい、フロントエンドではビューしているだけです。

同時にコーチングのルールで評価して、アドバイスもJsonに入れ込んでます。

風変わりなポイントとしては、データベースを持たせずLocalStorageのみで捌いています。

理由は個人開発段階なので、開発者が他人の1on1ログを見れないようにするため。

まとめと今後の展開


まとめ

  • 1on1ログを整理するAI支援アプリ作りました

  • 使ってみたら自分の1on1品質に凹みました

  • 1on1の評価を可視化できそう

  • 新たなHR分析指標を活用する未来が見えました

プロンプトの課題や、UIの課題はたくさん見えてきました。

今回は、業務の合間の個人開発として挑戦しましたが、社内で共同開発してくれる人を見つけて進められれば、ちゃんとしたアプリケーション開発ができそうです。

今後作りたい、やりたい

アイディアは尽きません。

  • 1on1評価の数値化 「コーチング有効指数」

  • 1on1サマリを管理職が上長に報告するStep Boss Report機能

  • トランスクリプトからログ生成

  • 1on1専用ボットに代役おねがい

  • リアルタイムに会話を評価・誘う機能

そんじゃーね☆彡

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執筆者プロフィール:森川 知雄
中堅SIerでテスト管理と業務ツール、テスト自動化ツール開発を10数年経験。
SHIFTでは、GUIテストの自動化ツールRacine(ラシーヌ)の開発を担当。
GUIテストに限らず、なんでも自動化することを好む。趣味は音楽とオルタナティブと、同社社員の「ろくろをまわす」写真を収集すること。 さまざま案件で自動化、効率化によるお客様への価値創出を日々模索している。2021年からは技術イベントSHIFT EVOLVEを始動。

SHIFTグループ公式アドベントカレンダー2024【A】 IT技術関連トピック Day21は「Sqlite3のデータベース更新通知をリアルタイムで受信する方法【Unity編】【C#】」(髙橋 一生)

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PHOTO:UnsplashDebora Pilati