標準化に重きを置いたQAの進め方~標準化とは~
こんにちは。株式会社SHIFTのエンターテインメントサービス部において、主にゲーム開発のテスト(QA)のプロジェクトマネージャーのオオワダです。
堅苦しいタイトルから入りましたが、今回は昨今よく耳にする「標準化」について、テスト(QA)ではどんなことを念頭に置いて業務を行っているのか、ということを説明していきたいと思います。
で・す・が
「テスト(QA)自体もピンとこないよぉ…」
なんて方のために、身近な例としてラーメン屋さんを舞台に標準化の必要性について説明していきます。
まず「標準化って何だろう? 」
言葉の意味については辞書から拝借。
ますます難しくなりそうな用語の羅列で頭が痛いですね…。
それではさっそく身近な例として、ラーメン屋さんを舞台に話を展開していきます。
課題→導入→解決の流れで説明しますので、みなさんも馴染みのラーメン屋さんを想像しながら読んでみてください!
標準化の導入に向けて~課題編~
ここはとあるラーメン店「らーめん標準家」。
「らーめん標準家」は創業者の大将と3人の弟子で切り盛りしている。
大将はそろそろ隠居して弟子に店を任せようと思っていたが、一つの不安が…。
弟子3人の作るラーメンが(当然美味しいのだが)どうにも味が三者三様で、たびたびお客さんから不満の声をもらっていることが課題だったのだ。
大将は3人に対して、とても丁寧にラーメン作りを教えてきた。
だがしかし!!
味はそれぞれにバラつきがあり個性的だったのだ!
そう、大将のラーメン作りは標準化されていなかったのだ!!(なんてっこったぁぁ
そこで大将はラーメン作りの標準化をするべく、常連のオオワダへ相談をもちかけた。
かくしてオオワダは、ラーメン作りの標準化を引き受けたのだった!!
標準化の導入に向けて~導入編~
まずは、大将が3人にどのようにラーメン作りを教えたのかをヒアリング。
大将の教え方は以下の通り
● 身振り手振り
● 懇切丁寧な口頭説明
● マンツーマン指導
大将の教え方は丁寧ではあるが、ストロングスタイルだ。
ラーメン作りにかなりの自信があり、レシピとして見える化はしていない。
もちろん、弟子たちもメモを取ることはしていなかった。
これでは三者三様にバラつきが出てしまうのも当然だ。
さてさて、では何からはじめたらよいものか…。
まずは標準化に必要な材料(情報)から集めることにしましょう!
1. 全体を把握しよう!(作業の見える化)
まずは、ラーメン作りの作業工程の全体を把握する必要があります。
大将はレシピを残していなかったがために弟子たちに標準化されたラーメンの作り方を教えられない状態になってしまっている。
まずは大将からラーメン作りを聞き出し、作業工程に落とし込もう!
大将はオオワダへラーメン作りを説明した。
オオワダは聞き漏れや見逃しがないようにスマホで動画撮影しつつ、メモを取ることも忘れない。(これ重要です)
2. マニュアルを作成しよう!(手順の統一、期待値の統一)
次は、作業工程を基にマニュアルを作っていく。
マニュアルには手順や完成時のイメージなどを盛り込み、作業者ごとのバラつきが起きないよう具体的に指示を書き込む。
これで作り方と完成するラーメンも味も一定の品質に統一されるはずだ。
ここで重要なのはこのマニュアルを使う人を想定して作ること!
使う人にわかりやすく、伝わりやすいことをイメージしよう!
3. マニュアルをブラッシュアップしよう!(実行からのFBを反映)
ここまでくれば標準化もあと一息だ。
よく、マニュアル作りまでで標準化したと思われがちであるが、それは間違いだと私は思っている。
マニュアル作りからさらに定期的なブラッシュアップを行っていく一連のサイクルを回していけるようになるまで行ってこそ標準化だ。
大将と弟子とで意見をすり合わせ、マニュアルへの落とし込みを重ねてブラッシュアップしていくのだ。
汗と涙の師弟関係に感涙。涙は隠し味(メモ)。
標準化の導入に向けて~解決編~
こうして「らーめん標準家」は初代の大将から弟子たちへと代替わりし、創業からの変わらぬ味を守りつつも品質を落とさぬよう日々精進している。
弟子たちのその後については、それはまたラーメンの美味しい季節になったらお話しすることとしましょう。
まとめ
長々と妄想ラーメン店について語らせてもらいましたが、
「じゃ、結局テスト(QA)ではどうなっているの?」ということで
標準化についての要点をゲームのテスト(QA)の観点も交えてまとめていきましょう!
1.全体像を把握しよう!
何においても、まずは全体像を見渡して、作業のボリューム感や作業内容を把握することが大切です。
ゲームのテスト(QA)においてはテスト対象の仕様全体を見て、
・目指すゲームの内容は?(ジャンルやユーザーに提供したいサービスなど)
・どんな機能があるのか?(キャラがジャンプする、銃を撃つなど)
・遷移する画面はいくつあるのか?(ホーム画面からバトル画面へなど)
・画面にある表示パーツは?(メニューボタン、設定ボタン、ヘルプボタンなど)
・開始~終了までのフロー(起動→サーバー通信処理→ローディング…など)
個々の詳細まで全部熟知するのではなく、まずは全体を捉えてください。
これらを把握し、機能ごと、画面ごと、動作ごとに分類していくことで
全体把握と分類分けをすることができます。
もちろんこの時点で、仕様の不明点などはどんどん開発者と相談していくことも重要です!!
またこの全体像をプロジェクトメンバーと共有しておくことも大切なことです。
2. マニュアルを作成しよう!(手順の統一、期待値の統一)
全体を把握するなかで、機能/画面/動作など分類しておくことで、どの部分をマニュアル化して標準化すべきなのかがわかりやすくなります。
どこを標準化すべきなのかという点については、以下を意識するとよいです。
・反復作業(繰り返し行う必要があり、作業内容を均一化したほうが良い)
・同じ作業を複数人で行う作業(属人化、作業者のスキルレベルのバラつき防止)
・複数機能/画面で共通した作業(同じ作業があるのであれば統一すべき)
上記ポイントを意識しながら標準化を進めていきましょう。
手順や期待値を統一したマニュアルを作ることで、成果物の品質が高まります。
使う場面、使う人のことを考えてしっかりしたマニュアルを作りましょう!
テスト(QA)においてはテストケースの手順と期待値が標準化されていることで、テスト結果も均一化、作業者によってのバラつきが減らせます。
3. マニュアルをブラッシュアップしよう!(実行からのFBを反映)
マニュアルは一回作ったらそれでおしまいではありません。
使用者からのFBや仕様追加/変更にも合わせて定期的にブラッシュアップしましょう。
ここまでのサイクルを絶やさなければ、いつ担当者が代わっても、作業者が交代しても、残された資料を基に品質を落とすことなく業務が進められることでしょう。
「じゃあ、標準化はいつからはじめるのが最適なの?」
私の経験上、プロジェクト開始から標準化を念頭に置いて業務把握、仕様把握を進めていき、テストケースや各種マニュアルを作りはじめる時には標準化できるような体制にしておくのが理想的かと思います。
後から必要な情報やフォーマットを整えなおす手間が省けます。
ですが、「標準化したい!」と思ったその時からはじめれば大丈夫です!
安定した品質を目指したいという気持ちが芽生えたときから動き出せばできます!
さぁ、みなさんもこれでラーメンでもゲームのテストでもドンと来い!ですね。楽しく快適な標準化ライフを送りましょう!
※画像はすべてフリー写真素材ぱくたそ
――――――――――――――――――――――――――――――――――
お問合せはお気軽に
https://service.shiftinc.jp/contact/
SHIFTについて(コーポレートサイト)
https://www.shiftinc.jp/
SHIFTのサービスについて(サービスサイト)
https://service.shiftinc.jp/
SHIFTの導入事例
https://service.shiftinc.jp/case/
お役立ち資料はこちら
https://service.shiftinc.jp/resources/
SHIFTの採用情報はこちら
https://recruit.shiftinc.jp/career/