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SHIFT PLUSのメンバーと一緒に1ヶ月でCATサポートチームを立ち上げ、窓口対応のキャパシティを約200%にした話


こんにちは。株式会社SHIFT CATエヴァンジェリスト・石井優でございます。

(情報)統合型ソフトウェアテスト管理ツール「CAT」について
現在SHIFTが提供するCATとは、テストの実行管理に主眼を置いた正式名称「CAT TCM(Test Cycle Management)」という製品を指します。ケースと実行結果・エビデンスの管理、及びプロジェクトの進捗管理や品質分析を担うツールです。詳しいご紹介はぜひ製品HPをご確認ください。

今回は、テスト管理ツール「CAT」サポートチーム立ち上げについてのお話です。

サポートチームとしては、一般的な他のプロダクトに比べればまだ小さいかもしれませんが、同じような局面の方にプロセスや考え方について参考になればと思います。

私達が提供しているテスト管理ツール「CAT」では、日々、社内外のユーザー様よりさまざまなお問い合わせをいただいております。

特に2024年は問い合わせの量が劇的に増加してきました。

(画像)月ごとのサポート量イメージ (質問・要望・不具合指摘・商談など) 24年1月と比較し24年7月では225%の増加

そんな中で対応速度と質を保つべく、2024年8月よりCATサポートチームの立ち上げを弊社のグループ会社のSHIFT PLUSと一緒に行いました。

(画像)株式会社SHIFT PLUSのコーポレートページより、サービス提供領域イメージ

SHIFT PLUSの会社紹介

株式会社SHIFT PLUSは、 高知県(本社)、北海道、群馬、東京に拠点を置き、カスタマーサポート&IT業務支援、地域活性化の2軸で事業を展開しています。カスタマーサポート&IT業務支援事業では、お問い合わせ業務を中心に課題解決から応対業務まで包括的なサポートにより最適なCS環境の構築・運営を支援しています。地域活性化事業では、自治体からの委託事業運営を中心に、人材紹介や生成AI活用支援などのサービスも展開し、地域と連携した課題解決による社会経済の活性化を目指しています。

その声の先にある未来へ | SHIFT PLUS

当初の参画要員は3名。2名は主にユーザー様とやり取りをするオペレーター、1名はオペレーション確立と要員管理を行うマネージャーです。(SHIFT側は私と田畑の2名で対応しました)

SHIFT PLUSのメンバーにお願いしたかったのはL1、L2と定義した次のレベルの問合せ対応です。

  • L1の問合せ:簡単なお問い合わせ

  • L2の問合せ:ユーザーの環境や操作を調査しマニュアルなどの情報を組み合わせて回答するお問い合わせ

ただ、増員したからといってすぐにサポートができるというものではありません。特に次のような背景があり難易度が高いと感じていました。

  • この取り組みはCATチームでは初めてであること

  • テスト管理ツールという専門的なプロダクトの問い合わせで一般的なプロダクトより難易度が高い

(画像)CATが取り扱う問い合わせのイメージ

ECサイトなどの一般的な商材であれば、業務フロー(入退会、注文確認やキャンセルなど)は想像がつきやすく、マニュアルがあれば問い合わせ対応も覚えやすいでしょう。

しかしテスト管理ツールはシステム開発という分野のものであり、特にオペレーターの2人には開発現場の経験がありませんでした。

過去の問い合わせ履歴やマニュアル、FAQといった参考情報はあっても、それだけでは行間の情報が多すぎてうまくいかないはず。

さて、このような状況から、CATの問い合わせを捌けるようになるにはどうしたらよいか。

次の体系で進めていこうと考えていました。CATやシステム開発に対する基礎知識から回答できるようになるところまで1ヶ月間、SHIFT PLUSとみっちり取り組みました。

カテゴリごとに実施した内容をざっとリストアップしていきます。

取り組みの内容


  • インプット

    • そもそもテストや開発とは何か?

    • CATってどんなツール?どんな人が使っている?

    • 私たちのシステム開発や修正のプロセス

    • CATの基礎的なレクチャー動画(6時間)

    • CATを使い始めるまでに考えること(動画1時間)

  • インプットだけでは足りない情報(体系化されていない業務フローや判断)についてフォローする

    • 1日1時間の質問解決会

    • 細かいことは随時通話(補足事項や質問がある場合に対応)

  • チェックする

    • CATの知識マップの作成

  • 実践とレビュー

    • 実際にSHIFT PLUSに回答できそうなものを依頼

    • マニュアルやFAQ、過去の履歴をベースに回答を作成してもらう

    • 作れない場合はこちらで回答を作成し、それがどういう経緯で作られたかを解説

それぞれ解説していきます。

インプット


CATの基礎的なレクチャー動画(合計6時間)やマニュアルなどがあるにしても、参画されたメンバーにとっては「システム開発って何?テストって何?」という状態でした。

ですので、業務の社会的な立ち位置や基本的な業務フロー、業務上での一般的な登場人物など、次のような基礎的な概念や知識をお伝えしました。

  • SHIFTという会社とは?

  • そもそもテストや開発って何?

  • CATってどんなツール?どんな人が使っている?

  • CAT自体のシステム開発や修正のプロセス

その上で、過去に実施したレクチャーを録画した動画をそれぞれのメンバーにお渡ししました。

  • CATの基礎的なレクチャー動画(6時間)

  • CATを使い始めるまでに考えること(動画1時間)

(画像) 石井が説明した社内向けレクチャー動画

各メンバーが操作しながら視聴することで理解度を上げることを意識しました。1日で全部を見切るのではなく、1日2時間程度を目安に1週間かけるぐらいのペースに設定しました。

社内でもCATの操作について伝える機会は多々あります。こういった際に動画でまとめておくと、教える側が介在しなくても知識伝達が可能となりとても有用です。

インプットだけでは足りない情報(体系化されていない業務フローや判断)についてフォローする


マニュアルやテンプレートだけを整備しても、背景にある原理原則を知らない限り効果的で素早いサポートはできないと考えていました。

そのため単純なテンプレートをベースにした問合せ対応ではなく、それぞれのメンバーがCATが使われる背景も含めて概ね習得した状態、いわば「CATマスター」になる必要があると考え、その目標を達成するためには何をどう一緒に取り組むべきかをSHIFT PLUSと議論しながら進めました。

しかし動画やマニュアルなど、一方的に情報をお渡しするだけでCATマスターになれるかというと、それは難しいです。 知識を習得していく過程で「これってどういうこと?」「どういう背景でこう言われている?」「まったくわからないのですが……」といった疑問が出てきます。

(画像)動画はみたけどどゆこと?

こうした課題を解決するためには、上位者との対話による解決が必要です。特に立ち上げ時には重要となります。

そのため、次のようなコミュニケーションチャネルを設けてご協力いただきました。

  • 1日1時間の質問解決会(知識レベルが見えてくる)

  • 細かいことは随時通話(補足事項や質問がある場合に対応)

(画像)参画初期のタイムスケジュールイメージ

毎日コミュニケーションをとることで私たちもそれぞれの知識レベルを把握できるようになりました。「ここに穴がある」「ここは伝えておく必要がある」と気づいて先手でフォローしていくことができました。

また、参画いただいたメンバーの急激な知識習得スピードや過去の情報を調べて回答を組み立てる力に触れ、その吸収力や興味、情報収集力にとても心強さを感じておりました。SHIFT PLUSはサポート業務に関してプロフェッショナルだなと感じました。

チェックする


そうして日々伝達を続けていても、もしかしたら一部の知識に穴が残った部分があるかもしれません。

立ち上げの投入工数に対する評価にもつなげる必要があったこともあり、CATの知識マップの作成を作成して習得度を定量化しました。

CATのすべての機能と習得すべき事項を書き出し、それぞれの習得度合いについて次のレベル分けをして、自己申告制で表に記入していただきました。

  • 初級 知っている

    • 見たことがある・簡単に触れたことがある

    • 大まかに目的と機能を説明できる

  • 中級 概要を説明できる

    • 問い合わせなどを受けて回答したことがある

    • 問い合わせなどをベースに機能の検証をしたことがある(例:カスタムフィールドの登録方法について)

    • 細かい機能と挙動についてマニュアルベースで操作できる(例:課題管理の書式設定を使うには?)

  • 上級 詳細を説明できる

    • 機能内の各項目について目的と機能をマニュアルなしでだいたい説明できる(例:監査モードとは?)

    • 細かい挙動まで把握して自信をもって説明できる(例:上書きアップロード時のセルの反映の挙動など)

このレベル分けと運用についてSHIFT PLUSに提案いただき実現しました。
自己申告制ではありますが、日々の会話などから感覚値と著しく乖離していれば各メンバーの自己認識との差を察することができると考え、複雑なテスト形式までは不要と判断しました。

幸い、申告いただいた数値や内容から大きく乖離していると感じたケースはありませんでした。

逆に、まだ知らないポイントが明確になったため、不足している部分について補足説明する機会が得られました。

それにより1ヶ月後にはチーム全体(※)で次のような習得状態に到達しました。 (Aさんが機能aのみ、Bさんが機能bのみ知っている場合、チームで2機能について知っているとみなす)

  • 知っている:100%

  • 説明できる:82%

  • 応用的な説明ができる:26%

これにより、全機能についてマニュアルを調べれば回答を作れる状態が整いました。

実践とレビュー


上記の話はどちらかというと学習面の話です。

しかし実際に必要なのはCATのサポートという業務です。そのため、業務も少しずつ移譲していく必要がありました。

実務に移行するプロセスとしては、次の手順を取り、トライアンドエラーを繰り返しながら進めました。

  • SHIFTメンバーがそれぞれの知識習得状況を加味して回答できるかもと判断したものを依頼

  • SHIFT PLUSにてマニュアルやFAQ、過去の履歴をベースに回答を作成する

  • SHIFTメンバーにてレビューと意図や経緯を解説

(画像)実践を通してCATの知識を伝達していくサイクル

最初からCATという特殊なプロダクトのサポートを難なくこなすのは難しいため、とにかく来た問い合わせを受けていただき、可能な限り一旦答えを出す。それに対してレビューと解説をSHIFT側が惜しみなく行う、という方針を徹底しました。

その過程で、SHIFT側で多くの文章を作成することもよくありました。これに対して「手をかけすぎではないか?」という声も社内から上がっていたみたいです。

しかし、伝書鳩のように単純に回答を届けてもらうだけではなく、サポートの文体や回答に至る背景をしっかり身につけていただくには、圧倒的な会話量が必要と考え文章を作成するだけではなくその説明もしっかり行いました。

普段行っているサポート業務を追体験していただき、補助輪をつけた状態でも自転車を漕ぐ感覚を掴んでいただければ、少しずつ理解が深まるという考え方です。

(画像)実務においての補助輪とは?

ですから、わからないことがあれば対話する、返答が難しければ回答をこちらで作成して渡す、さらにその回答をどのように作成したかを説明する、というスタンスでCATやそのサポートスタンスをお伝えすることを最優先に進めました。

取り組みの結果


そんな取り組みを続けた結果、SHIFT PLUSが本格的にサポートを開始した24年9月の担当率は約50%になりました。
SHIFT PLUSに依頼する範囲のチケットは24年12月時点でも50%ですので参画1ヶ月後にはCATの習得を行い対応できるまでになったということです。
50%ということはサポート窓口が対応できる量が200%にアップしたということです。

(画像)24年9月のサポートチケット内訳 (問い合わせ内で商談などのチケットを除く)

レビューの頻度も減少し、よりテスト業務に踏み込んだ問い合わせについても的確に対応していただけております。 1ヶ月あたり160件程度の問い合わせを受けるこの業務において、非常に強力な支援をいただいています。

最初の1ヶ月、未知の世界に飛び込んで1ヶ月間のヘビーな教育プログラムにしっかりと対応していただいたメンバーに心から感謝しています!

現在ではSHIFT PLUSのメンバー2名および、弊社のサポート対応メンバー3名でのチーム構成となり今後もっとサポートの提供を拡大できるように対応の仕組みや体制自体を強化していきます。

今後、次の様な点にフォーカスを行いSHIFT PLUSのメンバーと運用について日々ディスカッションしながら進めていく予定です。

  • これから対応率をさらに高めるにはどうすれば良いか

  • テンプレートを増やすにはどうするべきか

  • ユーザー自身での自己解決率を向上させるにはどうすべきか

SHIFT PLUSでは、サポート業務やAIを活用した問い合わせ分析(VoiceMill®)など、さまざまなサービスを提供しています。
興味のある方は、ぜひホームページをご覧ください。

サービスサイトはこちらから

(画像) SHIFT PLUS社のコーポレートよりサービス紹介

ではでは!


執筆者プロフィール:石井 優
倉庫事業企業のシステム部門にて、基幹システムの開発・保守・導入及び大規模基幹システム移行への参画を経験し、2015年SHIFTへ入社。 CATエヴァンジェリストとして、ツールだけでなくプロジェクト管理プロセスに関する紹介や提案など幅広く活動中。CATやTDのことに興味があればいつでもご連絡ください!

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PHOTO:UnsplashMichael Soledad