見出し画像

AIの軌跡:初期のAIから『天才くん』まで



株式会社SHIFT、DAAE統括部のナです。

ノープロンプト生成AIツール「天才くん」のエンジニアをしています。

本日は、AI発展の軌跡を振り返りながら、未来への展開をイメージしてみたいと思います。

1. LLM以前のAI(〜2010年代)


(出典:OpenAI. (2024). ChatGPT-4oによる生成画像)

AIの歴史は1950年代にさかのぼります。人間の知能を模倣するという夢を追い求めた研究者たちは、時代ごとに異なるアプローチでAIを発展させてきました。その進化の足跡をたどりましょう。

1950年代:チューリングの夢がAIの原点

  • アラン・チューリングが「チューリングテスト」を提唱し、機械が人間と同様の行動を模倣できれば、それは「知能」とみなすという概念が生まれました。

  • 映画「イミテーションゲーム」の主人公です。

1970年代:AIの成長期

  • アーサー・サミュエルが「機械学習(Machine Learning)」の考えを導入し、チェスを自ら学習するプログラムを開発。

  • ジョン・マッカーシーが「AI (Artificial Intelligence)」という用語を初めて使用。

1980年代:AIの冬

  • AIは過度な期待に応えられず、政府の支援も大幅に削減されました。「AIは幻想だ」と揶揄され、AIの開発は停滞期に入ります。

2010年代:AIの復活

  • ビッグデータ時代の到来とともに、AIは復活します。大量のデータを解析し、新しい価値を見つけ出すAIの重要性が認識されました。

  • Siriの登場は、AIアシスタントの時代の幕開けを告げるもので、ユーザー体験の変革をもたらしました。

2. LLMの登場と生成AIの台頭(2010年代以降)


LLM(大規模言語モデル)の出現

(出典:Ashish Vaswani, Noam Shazeer, Niki Parmar, Jakob Uszkoreit, Llion Jones, Aidan N. Gomez, Lukasz Kaiser, Illia Polosukhin. (2017). Attention is All You Need. arXiv preprint arXiv:1706.03762, 1–15.)

2010年代後半になると、AIの進化の中心は「LLM(Large Language Model: 大規模言語モデル)」に移ります。

ちなみに、2012年の秋、ある有名な脳科学者が講演で「コンピューターは犬と猫を見分けられない」と話しているのを聞きましたが、2014年には深層学習の技術により、画像認識精度が大きく向上し、それが可能になりました。 このエピソードは、AIの進化がいかに急速だったかを物語る象徴的な出来事です。

  1. Word2Vec (2013) の登場

    • 単語を「ベクトル」に変換する技術が登場。

    • これにより、単語の意味が「数学的な距離」で表現できるようになり、文脈の意味がより正確に理解されるようになりました。

  2. Transformer(2017)の登場

    • 自然言語モデルのRNNやLSTMの代わりに、「自己注意機構(Self-Attention)」 を活用したTransformerが登場し、これが後のGPTシリーズの基盤となります。

    • 論文『Attention is All You Need』の発表により、自然言語処理 (NLP) の世界に大きな革命が起こりました。

    • Sakana AIのCTOを務めるライオン・ジョーンズ氏は『Attention is All You Need』の著者の1人です。

GPTシリーズの進化

(出典:OpenAI. (2024). ChatGPT-4oによる生成画像)

iPhone 3Gの前に初代iPhoneがあったことをご存知でしょうか? 実は、ChatGPTも”1”から始まっていたのです。

2018年 : GPT-1
LLMの初期モデルとして登場。これにより、自然言語の生成が可能となり、AIが人間のような文章を生成する時代の幕が開けました。

2019年 : GPT-2
前モデルと比較してモデルサイズが大幅に拡大され、文章生成能力が飛躍的に向上。当時の生成性能は世界中の研究者や企業に衝撃を与えました。

2020年 : GPT-3
ついに1750億のパラメータを搭載した巨大モデルが登場。これにより、AIの生成能力はさらに飛躍し、より自然な文章生成が可能になりました。「AIの常識を覆したモデル」とも言われています。

2022年 : ChatGPT (GPT-3.5-turbo)
ChatGPTの登場により、対話型AIが大衆に浸透。人々と自然な会話を行えるAIとして、全世界で話題を呼び、AIが身近な存在になりました。今では、業務の効率化から日常会話のアシスタントまで幅広く活用されています。

3. ノープロンプト生成AIツール「天才くん」の登場


ノープロンプト生成AIツール「天才くん」は、最新型の生成AIモデルを基盤とし、従来のAIのように「単に質問に答える」だけでなく、質問者の「意図を読み取る」ことができるAIです。

RAG (Retrieval-Augmented Generation) を活用
AIが事前に与えられた情報(ドキュメント、データベースなど)を活用し、より的確な回答を提供する仕組みです。

より深い意図理解
単なる質問応答ではなく、「質問の背景」を考慮した高度な応答を実現します。

4. 未来のAIとAGIへの道


(出典:OpenAI. (2024). ChatGPT-4oによる生成画像)

生成AIは、「AGI (Artificial General Intelligence:汎用人工知能)」の入り口に立っています。

  • 現在のAI (ChatGPTなど):文章生成や会話に特化したAIで、与えられた指示に従い、柔軟な判断はできない

  • 未来のAGI (汎用AI):すべての分野のタスクを自律的にこなすAIで、未知の問題にも自己学習と柔軟な適応が可能

まとめ:AIの進化の物語


  • 1950年代:アラン・チューリングが「AIの概念」を提唱

  • 1970年代:ジョン・マッカーシーが「AI」という用語を作成。機械学習が登場。

  • 1980年代:AIの冬が到来、資金調達の困難や技術的限界により、AIの研究開発が一時停滞。

  • 2010年代:ビッグデータの時代が到来し、Siriの登場でAIが復活。

  • 2017年:Transformer(自己注意機構)が登場、AIの精度が一気に向上。

  • 2022年:ChatGPTが登場、AIがついに「会話をする」時代が到来。

  • 未来:AGI(汎用AI)が登場し、AIが人間のように多様な仕事をこなす可能性が現実化する。

AIの未来は、まだまだ続く物語の途中です。

天才くんは、その物語の中で「意図を理解し、より深い応答を提供するAI」として、AIの進化を象徴する存在といえるでしょう。

未来のAIは、人間のパートナーとなり、業務の効率化だけでなく、人々の創造性や想像力を解放する存在になるかもしれません。

これからの進化の物語を、一緒に見届けましょう!✨


執筆者プロフィール:ナ
2024年8月から生成AIチームに参加し、「天才くん」のエンジニアとして開発を担当しています。生成AIの可能性が広がる中で、その使いやすさや実用性の向上をテーマに、日々試行錯誤を繰り返しています。

お問合せはお気軽に

SHIFTについて(コーポレートサイト)

SHIFTのサービスについて(サービスサイト)

SHIFTの導入事例

お役立ち資料はこちら

SHIFTの採用情報はこちら

PHOTO:UnsplashGoogle DeepMind