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上司・部下それぞれの目線で知るビジネスライクな価値観

こんにちは。 株式会社SHIFTの能力開発部で検定や教育制度を開発をしている林 稔明(りんりん)です!
日々、社員のみなさんの能力・スキルをどう伸ばせば現場で活躍できる人材になるのか、業務や作業を分解したり、人の行動について考えたりしています。

今回は、ビジネスにおいてスキルが重要視されることがほとんどですが、実はスキルよりも重要な価値観について具体例を混ぜながらお伝えします。


はじめに


この記事は「スキルが全てじゃない! 仕事の円滑さに影響を与える考え方の重要性」の続編です。 まだお読みになっていない方は是非読んでから、こちらの記事を読んでみてください。

前回のあらすじ


「人の行動はスキルだけでなく、その人の価値観や考え方が大きく影響しているのではないか」という疑問を投げかけました。

そして、上司と部下間で価値観や考え方が異なると、仕事上でどのような問題が起こるのか、また上司と部下が互いに何を考え、何を期待しているのかを考えることが大切だと述べてました。

その上で、現代の若者であるZ世代の特性や消費行動について触れ、さらに人間の行動のプロセスやビジネスにおける価値観の重要性について説明しました。

上司と部下の価値観の違いがコミュニケーションエラーを引き起こすと指摘し、それぞれがお互いの価値観を理解し、共通の価値観を持つことが重要だとお伝えしました。

この記事では、実際の業務の中での上司と部下の会話を通じて、それぞれが何を考えているのかをお伝えしたいと思います。

例題を通じて、部下の考えや価値観を知る


1つの例をベースに上司と部下の価値観を考え、どのように共通の価値観を作り上げるかをお伝えしてきました。 ここでは、更にいくつかの例を参考に、上司と部下の価値観のすれ違いによりどのような問題が発生するか具体的に見ていきたいと思います。

自己研鑽における上司と部下の価値観
上司:Bさん、最近、自己研鑽に励んでいますか?

部下(Bさん):えっと、そんなに時間は取れていないですね。

上司:今参画しているプロジェクトで使うフレームワークはBさん使うの初めてでしたよね?業務内だけでは理解が足りなくないですか?

部下:確かにその通りなんですが、自己研鑽のための時間を捻出するのは難しいですし、何をどう学べばいいのかもよくわからないんです。

上司:外部の研修を受けたり参考書を読むとかがいいよね。
   社会人として仕事以外で勉強するのは重要だよ。

部下:そうですか。でも、それには時間とお金がかかりますよね。

これもよく見る光景だと思います。
では、上司と部下の考え(感情や価値観)を見てみましょう。

上司:Bさん、最近、自己研鑽に励んでいますか?
(Bさんの今後のキャリアのために新しいことにチャレンジさせているから勉強は当たり前にしてるだろうな)

部下(Bさん):えっと、そんなに時間は取れていないですね。
(自己研鑽って言うけど、仕事が忙しくてできるわけがない)

上司:今参画しているプロジェクトで使うフレームワークはBさん使うの初めてでしたよね?業務内だけでは理解が足りなくないですか?
(特にアラートは上がってないけど、業務だけでの習得は難しいよな)

部下:確かにその通りなんですが、自己研鑽のための時間を捻出するのは難しいですし、何をどう学べばいいのかもよくわからないんです。
(新しいことだから何から手を付けたらいいかわからないし、サポートもいないから無理だよね)

上司:外部の研修を受けたり参考書を読むとかがいいよね。社会人として仕事以外で勉強するのは重要だよ。
(自分から情報を取りに行ってアップデートしていくのは重要だよな。)

部下:そうですか。でも、それには時間とお金がかかりますよね。
(なんで仕事のために時間もお金も使わないといけないんだ)

第二章で説明した通り、上司はマクロの視点で考えており、Bさんの5年10年スパンでのキャリアや組織としての売上目標、顧客満足度向上などを見据えています。反対に部下は"今"どうなのか"自分"がどうしたいかといった、ミクロの視点で考えていることがわかります。

成果物の完成度における上司と部下の価値観
上司:部下さん、先日お願いしたあの作業の進捗はどうですか?

部下:まだ、完全には終わっていません。
   100%の完成度を目指しているのでもう少し時間がかかりそうです。

上司:なるほど。しかし私からの要望としては60%ぐらいで一度見せてもらいたかったんです。

部下:えっ、そうだったんですか?でも、未完成のものを見せるのは…

上司:とりあえず、現状のもので大丈夫なので見せてもらえますか?

上司と部下の考え(感情や価値観)を見てみましょう。

上司:部下さん、先日お願いしたあの作業の進捗はどうですか?
(お願いしてから時間経ってるけど、どれぐらい進んでいるか心配だ。これを元にリソース調整と他部門への調整をしたいのに)

部下:まだ、完全には終わっていません。100%の完成度を目指しているので、もう少し時間がかかりそうです。
(中途半端な状態で見せて指摘されたらいやだから、完成まではもう少し頑張りたい)

上司:なるほど、しかし、私からの要望としては、60%ぐらいで一度見せてもらいたかったんです。
(もう少しってどれぐらいだろう。これが遅れればプロジェクト全体のコストに影響あるのに・・・)

部下:えっ、そうだったんですか?でも、未完成のものを見せるのは…
(えっ、始めからそう言ってもらわらないと困る...)

上司:とりあえず、現状のもので大丈夫なので見せてもらえますか?
(一旦確認してからこれからの動きを考えよう)

上司のマクロ視点、部下のミクロ視点による考え(感情や価値観)の違いがわかってきたのではないでしょうか?これまでの例は上司と部下でよく起こるシチュエーションだったと思います。

内容としては「コミュニケーション」「自己研鑽」「成果物の完成度」と全く異なるものですが、これらの問題が起きる理由は共通して価値観の違いであることがわかります。

このような価値観の違いは世代や立場の違いによるものだと考えています。

Z世代に限らず、自己愛が強いと感じる人々においては、ミクロ視点で物事を考える傾向が見られることがあります。しかし、少し視野を広げて自分自身の影響が及ぶ範囲を拡大することで、よりマクロな視点で物事を捉えることができるのではないでしょうか。

終わりに


ビジネスマンのスキルは下段にスタンス、中断にポータブルスキル、上段にリテラシーとテクニカルスキルが存在すると考えられています。

このピラミッドは下段にあるものほど、その人の価値のベースとなるものであり重要であると考えられています。 そのため、いくらテクニカルスキルやリテラシーが強い人であろうとも、スタンスやポータブルスキルがない人の場合、自分の判断軸で進められない、人を巻き込む力や推進する力が弱く作業が進まないといった問題が発生します。

しかし、私を含む企業の教育担当者は従業員のIT・DXリテラシー向上などのリテラシー教育や業務知識・技術スキルの習得といったテクニカルスキルの教育を行うことが多くあります。

反対に従業員のビジョンや価値観(仕事観)の書き換えやアップデート、対人(人に対するコミュニケーション能力)、対自己(行動や考え方のセルフコントロール能力)、対課題(課題や仕事への処理能力)といったスタンスやポータブルスキル部分の教育は従業員各自に任せており、会社として教育をしている、そしてその効果が出ているといった会社は少ないと考えます。

企業としての価値を出すためには、アウトプットの質を高める必要があり、そのアウトプットの質を高めるためには価値観が重要であることをこれまで述べてきました。従業員自らが価値観をアップデートする必要性を理解することに加え、会社として従業員の価値観を教育するということも忘れてはいけないことを認識いただけたのではないかと思います。

本記事がマネジメントや社員教育の現場において、何かの一助となれれば幸いでです。


執筆者プロフィール:林 稔明(りんりん)
新卒で銀行系SIerでシステム運用を経験後、開発系ベンチャーへ転職、開発と運用を経験する事により、品質の重要性を認識し、SHIFTへジョイン。 デリバリー部門で案件管理者を経験した後、能力開発部で検定や教育制度の開発に携わる。仕事のモットーは、「全力で楽しみ、残業は0」

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