IT古典良書を読み解く《第14回》生産性が高い完全な集中状態(ゾーン)に入るには
第14回 Joel on Software(ジョエル オン ソフトウェア) 〜その9〜
「生産性が高い完全な集中状態(ゾーン)に入るには」
死域
こんにちは。スクラムマスターの伊藤です。
いきなり物騒な見出しですが「死域(しいき)」をご存知の方は歴史小説がお好きと思われます。北方謙三の水滸伝の中に出てくる造語で、激しい調練を受けて、自在に体が動く状態のことを指します。
引用:水滸伝 1 曙光の章
プロ野球で初の2000本安打を達成し、監督としてもV9を成し遂げた「打撃の神様」 川上哲治は「ボールが止まって見えた」という名言を残しています。音も色も遮断され極限まで集中すると科学的にも発生するとのことです。(火事場の馬鹿力の一種で、体のリミッターを外す作用です。一流アスリートは事実上意図的に使用しているようです。)
例えが遠すぎましたが、我々も仕事に集中して周りがみえなくなり、素晴らしい仕事をすることが多かれ少なかれ経験があるかと思います。この状態のことをJoelはゾーンと呼んでいます。今回は、この生産性が高く完全な集中状態(ゾーン)について読み解きます。
《よもやま話》
2021年7月東京オリンピックが開幕しましたね。個人的な話ですが私はラーメンズの大ファン(DVD全保有)なので、とても残念でした(問題になったコントも知ってました)。
開会式を見た感想は、ボレロが流れたことにより、ラーメンズファンは偶然の一致なのか「バッハ」というコントを思い出しました。滅茶苦茶面白いので宜しければご覧下さい。収益は寄付されるそうです。このコントと同じ面接の回答をしていただければ弊社は即採用とします(冗談です)。
ゾーンと2つの問題点
では、Joelが言うゾーンについて見てみましょう。
あれ、私は知的労働者だったのかと再認識してしまうIT業界の方もいると思いますが、ゾーン状態については経験がある方も多く理解は得られるかと思います。それではゾーン状態の問題点とはなんでしょうか。1つ目はゾーン状態になるまでの話です。
アメリカは定時で帰れていいなと思う人も多いかと思います。また、ゾーンに入ったことが無いという方も最近はもしかすると増えているかもしれませんが、入るのが簡単でないことが問題点の1つ目です。そして、もう一つはゾーン状態に入ってからの話です。
急に同僚から質問を受けて、いざ仕事に戻ろうとすると「あー 何してたんだっけ」状態になった方いませんか? まさにアウトオブゾーン状態ですね。そうなんです。ゾーン状態に入るのは難しいのに出るのは簡単という問題点がありました。それでは、この問題点を解決し生産性を向上する方法はあるのでしょうか。
《よもやま話》
ゾーン状態のことをドラゴンボールに例える人いませんでしょうか。界王拳(3倍、4倍)や、場合によっては超サイヤ人になります。生産性を高めるわけなのですが、実情はエナジードリンクなどのドーピングや残業リミッター解除といったゾーン状態ではないことも行われ、原作通り体への負担は計り知れないものとなります。
ゾーン問題の解決策
ゾーンに入ったことが無い方、もしくは定時後しか集中できないという方いらっしゃるのではないでしょうか。
Joelも以下のように言っています。
私も前職などで経験があります。営業も一緒のフロアだったので、滅茶苦茶丁寧に頭下げながら電話しているなと思ったら、電話を切るなり、舌打ち&悪態の営業さん、パワハラのごとく理不尽に部下を叱責する上役さん、会議室から漏れ聞こえる怒号などなど日本のオフィスも決して静かではありませんでした。
Joelは静かな環境で作業することで解決させようとしています。ジェフとマットの続きをみてみましょう。
プログラマの体型はお国柄もあるでしょうが、理想として知的労働者は個室などの静かな環境で働くことがゾーンに入りやすく出づらい環境であることを提言しています。
日本では社員に個室を割り当てることは事実上不可能だと思いますが、集中したいときに会議室にこもって仕事する方、意識せずにゾーン状態に入っていたと考えられます。
しかしながら、コロナ禍の現在、IT業界はテレワークが標準になりつつあります。これは事実上の個室でゾーンに入りやすい理想的な環境のようにも思えますが、一筋縄ではいかないようです。最後にテレワーク時代のゾーンへの入り方を考えてみましょう。
《よもやま話》
折角なので、オリンピックの話題をもうひとつ。野球観戦が好きなのですが、女子ソフトボール! 決勝進出し北京オリンピックと同じくアメリカとの対戦となりました。前回アメリカは4番ブストス(ウエノからホームランを打ったことのある唯一の打者)とエースのスターマンというゲームみたいな強キャラと豪腕ウエノとの対決で見事金メダルを獲得しました。そして、13年後ウエノと1度は引退したスターマンがオリンピックのために集結し再び投げ合うという漫画のような展開の上、日本が見事連覇を果たしました。おめでとうございます。
テレワーク時代のゾーンへの入り方
テレワークで生産性が上がったという方もいれば下がったという方もいるかもしれません。生産性が上がった方は一人暮らしで、快適な椅子と机、ディスプレイなどをお持ちの方かもしれません。静かでゾーンに入りやすい状態ですよね。
下がったという方は、家族と同居(特に未就学の小さいお子さんがいる)、家に個室はなくリビングの一角などで、ダイニングテーブルを使い、外部ディスプレイは無しともなれば、騒がしい状態でゾーンに入ることは不可能でしょう。
そして、テレワークならではの問題があります。それは通知による分断です。
テレワークでコミュニケーションを活発かつ容易にするため、チャットツールを導入している会社が多いと思いますが、その通知によってゾーンから外れてしまうのです。通知は便利ですが、コーディング中、設計中、テスト実行中で集中したいときにはゾーンから外れてしまう原因にしかなりません。
もう1つ、自宅は様々な誘惑が多いです。漫画、テレビ、お菓子、ゲームといったものに加え、洗いかけの食器、たまった洗濯物といった家事も手を伸ばせばすぐ掴めるという問題があります。
それでは、テレワークにおけるゾーンの入り方は何になるでしょうか。
1. Windowsの集中モードを使う
Windows10には集中モードという機能があり時間を設定すると、その間は通知を遮断してくれます。この2時間は作業に集中したいというときに便利です。
もちろん、チームメンバーにはこの時間は集中するため回答できないことは事前に共有しておきましょう。
Windows で集中モードのオンとオフを切り替える
2. 個室を準備する
可能であれば、自宅に半個室でもいいので静かな環境を用意しましょう。それが難しいようであれば、テレワークプランのあるホテルや、カラオケボックス、ネットカフェなどを利用することを検討しましょう(会社によっては自宅以外でのテレワークを禁止または許可制にしている会社も多いと思いますので注意しましょう)
雑音遮断と誘惑を断ち切るメリットがあります(よって、カラオケ好きな人はカラオケボックスでのテレワークはやめましょう)。
3. 自宅のメリットを活用する
テレワークのメリットとして人目や音を気にしなくていいことがあります。そこで、アスリートのようですがゾーン入りやすくなるルーティーンを決めるといいです。音楽を聞く、瞑想をする、お気に入りのコーヒーを飲むといったゾーンに入りやすくなるルーティーンを見つけましょう。ここぞというときに使うと気合が入いります。
ちなみに私は、トイレに行って顔を洗い目薬をさして、炭酸を飲むというルーティーンがありオフィスでもやっていました。
ここまでゾーンについて書いてきました。経営者の皆様は知的労働者には、静かな環境を与えるように尽力していただけると生産性があがると思われます。まずは、会議室からでもいいかと思います。
テレワーク実施中の方は、状況に応じたゾーンの入り方を試していただき生産性を高めて快適なテレワークを実施していきましょう。
《よもやま話》
普段はゾーンに入って無い方は、ゾーン中の生産性が普通だと上司に認識されると自分の首を締める結果になりますので注意しましょう。界王拳のように多用は禁物ですが、まさに悟空のように修行を重ねて、界王拳3倍4倍は余裕で、いざというときは10倍20倍の生産性が出せるようにパワーアップしていきましょう(ちなみに超サイヤ人は戦闘力が50倍になるそうです)。
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