認定スクラムマスターが実践|スクラムで人材育成はできるのか
はじめに
初めまして、こんにちは。 SHIFTスクラムマスターの三浦と増冨と申します。
私たちの所属しているアジャイルグループでは主に、企業様へスクラムを導入する支援としての業務を行っております。
スクラムを導入する状況というのは、歩留まりの改善のために、ウォーターフォールでの開発からスクラムの導入になる場合が一般的ですが、 今回私たちはチームメンバーの短期間での成長を促す目的でスクラムを導入しました。
「仕事ができる」人になるためには?
皆さんの周りにいる、仕事ができる人ってどういった方を想像しますか?
仕事が早い?
成果物のクオリティが高い?
会議中の発言力がある?
タバコ休憩の回数が少ない?
色々な側面があると思いますが、一言で仕事ができる人を表すことはできないと思います。実際、私たちも同じ壁にぶつかりました。
「仕事ができる人って?」
スクラムチームのメンバーの成長を促すために、自分たちは勿論、仕事ができるSHIFTメンバーであると自負しておりますが、一体いつから仕事ができるようになったのか、はたまたどうやってできるようになったのか。
チーム内で発散させてみると、当たり前の事ながら、その実情はそれぞれ違うプロセスや、成功体験に基づいたものでした。
どうして仕事ができるようになった?に対するチームメンバーの実体験
危機感
成功体験の積み重ね
目標の人をみつけてロールプレイ
立場を与えられた
それぞれにしっかりとしたエピソードがあり、仕事ができるようになるまでの成長は、決まった型に沿って行えば、みなできるようになるわけではありません。
日々の仕事を行う上での一種のトラブルに対して、細かいカイゼンを行い続けることが成長への一歩となる、とするならば、 それは非常にスクラムの理念に基づいたプロセスであると感じました。
スクラムを用いたトラブルシューティング
あくまでも、一例ではありますが、いくつかトラブルシューティングを紹介させていただきます。
私たちのスクラムチームは、一般的なアジャイル開発のプロジェクトと業務内容が異なる点が多々あります。
新規事業を始めるうえでの要件定義など上流がメイン
企画部と開発部の中間の役割を担い、コミュニケーション方法やオペレーション構築
プロダクトを持たない
などがあげられます。
イメージとしてはプロダクトオーナーの集合体が1つのチームになっています。
全てがこの例の通り、上手くいく!ということはないのですが、スクラムが軽量フレームワークであることを実感した例となります。
Topic1:デイリースクラムから始まるフィードバックサイクルの構築
チームができたての頃は、お互いの仕事の量に理解がありません。
別部署、別チームから集まり1つのチームになったスクラムメンバーは今まで自分がやってきた仕事・できる仕事だけを取り掛かる姿勢でした。
便宜上スクラムを行ってはいますが、効率的に仕事を行うことに最注力してしまった結果だったと思います。
スクラムチームで運用していく中、他メンバーが何をしているか説明できない。わからない。ただ個々の進捗を報告しあっているだけ。
この環境下でうまくメンバー同士でシナジーを生み、透明性を確保したい。 そこでまずメスを入れたイベントが”チームレビュー”です。
メンバー全員が集まっているデイリースクラムの後、メンバーが会議から抜ける前に口頭でレビューをすることにしました。
当然のことですが、タスク内容を理解していなければレビューなどできません。
メスを入れた直後は、それまで各メンバーが非同期で業務を行っていたため、意図や背景の理解に時間がかかっている状態でした。
それでは成果物として成立しないため、どうあれば伝わりやすいのか・必要十分な情報がそろっているかなど、必ず対面で共有をしました。
タイムリーに情報を連携しあうと同時に、レビューに十分なインプットをその場で把握できるようになりました。
Topic2:スプリントバックログはチームのもの
本来、スクラムチームでは、成果物は個人(開発者)のものでなく、スクラムチームのものです。
タスクは個人にアサインされているものの、所有はスクラムチームです。
真面目に仕事をしているから、自らの責任感が邪魔をして、情報・状態を個人で完結してしまう。
そうなってしまえば、チームとしての価値を最大限に発揮できません。
下記に当てはまる雰囲気や行動を感じたことはありますか?
もし、一つでも当てはまるものがあるのであれば、「これはチームの成果物としてみんなが合意したドキュメントになっている?」この一言を問いかけてみましょう。
これだけで意識だけでなく行動としてメンバーからアクションが生まれるはずです。
Topic3:なぜレトロスペクティブが盛り上がらないのか
デイリースクラムが活性化し、お互いのタスクを助け合って仕事を進めるようになったとき、 チームメンバーがお互いに求めているクオリティにドキュメントが届かず、フィードバックが多く、手戻りが発生する、 という問題が発生しました。
スクラムイベントにおけるレトロスペクティブは、チームで発生した、ほんの些細な問題でも取り上げてカイゼンできるイベントです。
私たちのチームでは、この問題をレトロスペクティブで取り上げ、個々人が感じている課題を振り返りました。
この問題の原因は、「背景を理解しないまま着手してしまったため、求めているものが提供されない。」からでした。
欲しいものは分かる。作業方法も分かる。でもなぜ必要なのか意識していない。
この状態ではチームメンバーは属人化してしまいます。 なぜこのドキュメントが必要なのか、この価値は誰に届けるためにやっているのか。 ここを理解する意識づけとして”なぜしなければいけないのだろう”この言葉を常に自分の中で問いかける訓練が必要です。
自己管理型のスクラムチームの特徴は自分たちの課題を、自分たちで発見し、カイゼンを行うことにあります。
SHIFTから参加しているチームメンバーの一員として、必ずこの問いを投げかけ、 どのタイミングで軸がブレたのか、認識が間違ったのかを見極めるために、 細かく刻んで関係者と目線を合わせることにより、手戻りを軽減することに成功しました。
まとめ
私たちの活動を通してスクラムチームメンバーの中から、「作業が効率的になった」「解りやすくなった」「仕事に対する意識が変わった」などのフィードバックを貰うことができました。
スプリントの状態を計測するメトリクスとして
ベロシティ
チケットの消化率
レビュー時のフィードバック回数
レトロスペクティブのアイテム数
をスプリントごとに測定し、チームの成長をデータとして蓄積しています。
誰でも、解らないことが解るようになる、出来ない事ができるようになる、というプロセスは楽しいと感じるはずです。
仕事に興味をもってもらい、成長を促し、会社の利益を向上させる社員の育成に、スクラムを導入してみてはいかがでしょうか。
短期間ではありますがともにスクラムを推進し、SHIFTでアジャイルの最先端をアジャイルコーチとして活躍されているKさんからのコメントを持って締めくくりたいと思います。
スクラムを実践しているアジャイルな現場は、 顧客にとっての価値をプロダクトという形で早く提供するのと同時に、 そこに参加するメンバー、あるいはチーム全体がさまざまな経験を通して成長できる場でもあります。
いろいろな経験・価値観をもった人たちが、ひとつのチームになって作業することによって、 否が応にも、自分と違った考え方、やり方を目の当たりにし、 よりよい解決方法を見い出していかなければなりません。 これを繰り返すことによって、気が付けば何段階もステップアップした自分が見つかることでしょう。
導入の初期には、何でスクラムなんかやらなければならないの? 今までのやり方で十分でしょ? と愚痴っていたメンバーの意識が変わったことは、大変喜ばしいことです。
スクラムをやってよかった、といえる現場がまたひとつ増えたことを誇らしく思います。 このプロジェクトに関わったメンバー全員に感謝します。ありがとうございました。
SHIFTでは、 スクラムマスターとアジャイルQAが一体となり、クライアント企業のアジャイル開発がスムーズかつスピーディーに進むように支援。SHIFT独自のメソッドを活用して、スピードと品質を両立させたアジャイル開発を成功に導いています。
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