《後編》「人生で成功するためのスキル」と社会システムとの関係
■はじめに|前回のポイント整理
こんにちは。株式会社SHIFT、ヒンシツ大学の南雲と申します。
2022年1月6日に投稿した第1回のnoteでは、「日本人は比較的に仕事を楽しんでいる人が少ない」という社会問題についてご紹介した上で、「『楽しい仕事に変える』ために必要なスキル」について私がお薦めする次のようなポイントを挙げました。
自分から仲間との仕事を主体的に(楽しくなるように)変えていくことがポイント
そのためには、仲間のために役立つ仕事について真剣に考えることがとても大切である
自分自身の現在の能力や仕事の基本的な動作を意識する上で、経済産業省で提唱している 「人生100年時代の社会人基礎力」が参考になる
中でも楽しい仕事に変えるためのシンプルな基本動作についてはなるべく最初に意識して 「主体性」「状況把握力」「計画力」の3つを全ての能力要素のベースと理解するとよい
今回のnoteでは、第1回note『「楽しい仕事に変える」ために必要なスキル』の内容をさらに掘り下げ、「これらの能力は、いつどんな経験によって身につけることができるのだろうか?」という内容について、【前編】と【後編】でお届けしています。
前回の【前編】では、 社会人になるまでに養う大切な能力やスキル について、近年のハーバード大学による研究を参考に幼少期から身に付く人の能力やスキルの本質について確認した上で、近年の職場における事例から能力やスキルを仕事で活用する際に生じる課題について考察しました。
今回の、『「人生で成功するためのスキル」と社会システムとの関係【後編】』では、幼少期から身に付く能力やスキルがあり、社会人になる前の成長過程で「仕事で活用するために必要な能力やスキル」をどのように意識し高めていくことが期待できるか、それら経験の場である社会システムとの関係も含めて考察してみたいと思います。
■必要な能力やスキルを身に着ける
-幼少期から身に付く「人生で成功するためのスキル」に気づく(自覚する)こと
前回の『「人生で成功するためのスキル」と社会システムとの関係【前編】』では、仕事で活用するために必要な多くの能力やスキルは社会人になる前に既に身に付いており、それは、誕生してから一人一人が成長過程で身に着けているコアスキルがベースとなっていることについて説明しました。
また、Harvard Health Publishing(発達中の子どもに関するセンター)によると、このコアスキルについて 5つ重要なコアスキルがあると定義されており、それは成績や課外活動ではなく、
-人生の課題を乗り越えるのに役立つコアセットのスキル
に関するもので、これらのスキルはすべて、私たちが自主規制に使用する”実行機能スキル” と呼ばれるものに該当するものです。
つまり、「人生で成功するためのスキル」を身に着けるためには、強力な実行機能スキルを開発し、⇒”実行機能スキル” それらのスキルを強化する方法を見つけることが大切なのです。社会には、たくさんの目があります。家族、お友だち、ご近所さん、職場、たくさんの目で ⇒”社会にあるたくさんの目” 能力やスキルの芽に気づき、一人一人の個性に適したスキル強化の方法を見つけることで、「人生で成功するためのスキル」は、どんどん身に付くことでしょう。
-もう手遅れ?今から子どもや自分自身のスキル向上は期待できるのか?
人生で成功するための5つの重要なコアスキルは、次のとおりです。
幼少期、ゴールデンエイジ、一般的に子どもにはスキルの向上を特に期待できる期間があります。よく、こういったお話しをさせていただくと、中学校以上の子どもをもつ保護者や若手の社員には残念な顔をされることが多いものです。私も、娘は来春で高校3年生。今ふりかえれば「あの時にああすべきだった。。。」と反省は尽きません。
しかし、その心配は無用のようです。これらは子どもから大人までが生涯を通じて学ぶことができ、実際に学ぶことができるスキルです。特に重要な2つの期間については、幼児期(3〜5歳)と児童期/青年期(13〜26歳)です。そして、27歳以上であっても、過去の経験や既に学んだ知識がある分スキル習得に時間がかかる場合もあるようですが、それらとの因果関係が整理できることで吸収しやすくなるため、適切なコーチングや教育を受けることで効率的にスキルを向上することが期待できるでしょう。
こういった、コーチングや教育に関する書籍や研修は多数存在しますが、一人一人に適した個別育成の取組みも必要であり、次のような3つの重要なポイントがあると考えます。
現時点での個人の能力やスキルを把握した上で-(能力やスキルの可視化)
適切な順序により-(育成計画の個別マネージメント)
適切なタイミングのコーチングや教育を受ける-(習熟度や職務を考慮した期日設定)
個別育成の取組みを行わずとも、コーチングや教育を受けることで、能力やスキルの向上は一定の期待ができます。しかし、近年の多様な仕事、変化に適応した仕事、そして楽しく仕事をするためには、「習熟させること」だけでなく、「習熟したくなること」について深く研究し、
効率的かつ効果的な学び
学ぶことによる成長の喜び
継続的に学ぶことの楽しさ
といったことを、専門的にプロデュースする能力やスキルを向上していくことも、大切な”人財育成”のアプローチ になっていることを実感しています。
■全ては能力やスキルに”気づく”ことからはじまる
-社会システムの中の「人」が能力やスキルの”気づき”に貢献している
ここまでの説明で、既に身に付いた能力やスキルについて気づくこと、もしくは気づかせてもらうことが必要だと、少なからず感じていただけたのではないでしょうか。このnoteの冒頭で、「楽しい仕事に変える」または「楽しい仕事を創り出す」ためには、人の能力やスキルの本質である「人生で成功するためのスキル」を身に着け、それに気づき、それを仕事で活用できる方法を知ることが大切であるという考えを私は述べました。
そして、身に付けた「人生で成功するためのスキル」は、一人一人の個性に適したスキル強化の方法を見つけるために、家族、お友だち、ご近所さん、職場など、”社会にあるたくさんの目” という社会システムの機能によって支えられているということで、社会人になる前から社会人になって必要な能力やスキルを養うことは充分に可能であると確信しています。
また、能力やスキルの向上についても、社会人であれば職場の仲間・上司・お客様、学生であれば教職員の皆様、といった社会システムの中の「人」が客観的に観て下さることで、日常的に既に身に付いた能力やスキルに気づいてもらうことが期待できます。 しかし、一人一人を観ようとする気持ちがあっても、必ずしも能力やスキルに気づけるとは限りません。
-【事例】ベテラン教師にも気づくことができなかった隠れた学生の能力やスキル
前回のnoteでも登場した私立学校の教師であるN先生と、文部科学省の考える教育方針や、実際の学生の能力について意見交換をした時のことですが、ベテランの教師であっても隠れた学生の能力に気づくことが難しかった時の経験談について伺いました。
学校生活の話や将来の話、何か特徴的な興味のあることを見つけて、そこに頑張るようなサポートをしたいと考えての行動だったとそうだ。N先生は続けた。
そう話す先生もとても誇らしげであったが、無用な心配をしていた事を少し恥ずかし気に話しているようにも見えました。
私は笑って答えました。
毎日のように顔を合わせる学校の先生であっても、一人一人の能力を正確に理解して、それに合わせた教育を個別に提供することは、きっとさらに難しく、課題はたくさんあるのだろう。しかし、こういったN先生のような方は、教師という仕事をしていてとてもやりがいにつながることだろうとお話ししながら節々に感じました。それは、N先生がこの話の最後に言った、この言葉からも明確でした。
そこには 「いち早く気づき適切なアドバイスをしてあげたい。」 という気持ちがあり、学校には全ての先生がそうでなかったとしてもそのような目で学生を見て下さっている方がいるということです。
また、きっと学生本人もそれをかならずしも「能力」や「個性」と認識していることは多くないのだろうと私は思います。 明確な根拠を示すことは難しいですが、現在17歳になるまでの娘を見てきて、また娘の友人やライバルの保護者との話の中でも、その様子は窺えます。そして、はっきりと確信できることは、何かに真剣に取り組んできた先に副産物的についてきたものが「能力」であり、それと共にある本人のふるまいそのものが「個性」 なのだろうと。
このように、努力して身に着けた能力やスキルを、気づくことなく、気づかれることもなく、日々の生活を送っていたら、それを強化する方法にも着目されずに自分の成長を促す機会もどんどん遅れてしまいます。このことからも、社会システムによる”気づき”に期待はしても、そこで把握できなかった”気づき”について定期的に救い上げるセーフティーネット も必要です。高校受験や大学受験で模擬試験をして、自分の現在の能力を把握するのと同様に、社会人になる前に社会で必要となる能力やスキルについて知っておくことも必要なのではないでしょうか。
私が社会人になる前には、そのような研究も進んでいなかったと思うので、そのような事を考えたこともありません。しかし、今は当時と比較してもより高い専門性や、より幅広い多様性が期待される世の中に変わっています。
■これからの時代に大切なのは産学官連携と社会システムの強化
これからの時代で活躍する人材に期待されている専門性や多様性は、これまで以上に企業等の産業が学校をサポートして、社会で活躍するためのより専門的な教育が可能な環境を提供する必要があると私は考えます。
これまでは、企業も限られた時間の中で学校を訪問して講義を行うまでは、社員が拘束される時間などを考えるととてもハードルの高いものでした。しかし、最近は学校でもオンライン授業が一般的なものになりつつあり、在宅勤務等でオンライン環境が整備されている企業も少なくありません。
これからの時代このワークスタイルの変化をチャンスととらえ、産業が強力に学校をサポートし、官公庁がその流れを支援するようになっていくことを期待しています。
今後、産業と学校、さらに官公庁との連携によって、次のような効果が期待できます。
新社会人が企業等へ入社後に短期間で成果をあげるプロセスが確立する
オンラインの活用によって日本だけでなく世界でお互いの強みを活かした協業ができる
学生は社会人になる前から、自分自身の能力やスキルを把握しキャリアプランを検討できる
いずれも、学生や学校にとっても、また新社会人や企業にとっても、大きなメリットのある効果です。
SHIFTとヒンシツ大学では、既に大学や専門学校等の教育機関との産学連携や、地方自治体単位で官公庁と連携(産学官連携)した教育サービスの提供を行っていますが、今後もさらに幅広く皆様に教育の機会や自分自身の能力やスキルを把握できる機会の提供、教育開発における研究等を実施していく予定です。また、ヒンシツ大学では、新社会人の学生時代の恩師やコーチから受け継いだ一人一人のバトンをしっかりと次の目標に届けるような、個性を重視した教育を大切にしています。
もし、このnoteを見て、興味を持っていただいた学校関係者や官公庁、自治体の皆様は、ぜひ一度、ヒンシツ大学までご相談下さい。
今回も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
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