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アジャイルQAジャーニー#3(誰が為の品質)

こんにちは。アジャイル推進2Gでマネージャをしています谷岡です。
本シリーズの3回目の投稿です。1回目ではどういった時にアジャイルを選択するかといったことを書き、2回目では品質とはテストだけではなく情報を選び取ることである。という話を書きました。

今回は改善するべきは品質であるか?について考えてみたいと思います。


見失いがちなプロダクト開発の目的

我々は忘れていきます。本来のビジネスの目的とはなんだったのか。毎日無我夢中で働いて目の前の仕事でいっぱいになっていないでしょうか。ことプロダクト作りやその品質についても我に返って立ち戻って見つめ直してみましょう。

ビジネスの目的は顧客側にあり顧客が欲しいという商品、状態を作り出していく必要があります。

プロダクト作り(ビジネス)について我々が恐れて/回避しないといけない問題は以下の大きく3つにあげられるかと思います。

①プロダクトの本来目的(価値享受)を達成できない

¡  動かない(不具合や環境要因 etc…)
¡  何かの改善になっていない

②目的は達成できても物事が以前より複雑になっている/費用対効果が見合わない

③価値享受どころかリスク/負債をもたらす

素手では難しい採掘をツルハシを使って行う例えで説明してみます。

①プロダクトの本来目的(価値享受)を達成できない

目的を達成できていなければ、顧客は増えません。品質を高めたいといただく相談としてはここが最も多いです。素手で鉱山から宝石を掘り出すのが難しいのでツルハシ(プロダクト)があれば良いのですが、このツルハシの強度が低いと目的を達成できません。

②目的は達成できても物事が以前より複雑になっている/費用対効果が見合わない

ツルハシが異常に重たく振るうことができず、何人もの人手が必要となれば見直さねばなりません。システム化したら複雑になって新規参入の敷居が高くなった、逆にコストがかかるなんて話も聞きます。

③価値享受どころかリスク/負債をもたらす

これが最も恐ろしいのですが、作ることでマイナスになるものです。冗談のようですが散見されます。①に近いかもしれません。これは品質が下がることでのこの状態に陥るパターンが多いとも感じます。刃こぼれしたツルハシの破片が利用者に飛んでくるかもしれません。

いずれの状態も意識せずにプロダクト開発をしていて蓋を開けてみたら①〜③になっていたなんてことがないようにしたいものです。こういった状態から脱しさえすれば利益は享受できるのでしょうか、答えはNOです。

 

品質以外のアプローチ

図にしてみました。

縦軸を品質、横軸に利益/損失の享受とした場合

A)のパターンはマーケットを変えたり適切な利用者に届けるプロモーションをすることでC)になる可能性を秘めています。

B)前章の例だと①〜③にあたります。品質をあげていくことで C)を目指せます。

C)こちらが理想的な状態ですが、そのほかの状態に陥らないような維持だったり、より高度化(右上)していくことが求められます。

D)品質が低くても良い状態です。想像しにくいところもありますがまだこの世に目新しい発明や商品も考えられます。品質が悪くてもとりあえずの用途で使えればそれでいいというものもあるでしょう。また、状況次第で高値で売れるものでしょうか。(例えは悪いですが駆け込んだ駅のトイレに紙がない状況を想像してみましょう…。)

こうしてみると、

B)低品質で損失享受状態 → C)高品質で利益享受状態

の流れだけかと思っていたプロダクト開発には

A)高品質で損失享受状態 → C)高品質で利益享受状態、

D)低品質で利益享受状態 →  C)高品質で利益享受状態

も存在することがわかりました。

もちろんこの四次象限の中で各企業のプロダクトがグラデーションのように配置されますし、流動的に時間の経過とともにフェーズが変わってくるものかと思います。

本来のビジネスの目的に立ち返って、今の状態は何を改善しなければならないのか、はたまた改善する必要があるのかを状況に応じて判断して進めなければ、一生懸命走っても徒労に終わることがあるということがお伝えできれば幸いです。インセプションデッキなどを作って定期的に振り返ると良いでしょう。

QA(品質保証)の仕事は多岐に渡りますが、顧客が最終的に求めるものは品質ではなくその先にあることを忘れずに日々仕事に取り組みたいと思います。

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執筆者プロフィール:谷岡 俊祐
2児の父。SIerにて自治体向けシステム開発に長年従事した後、SHIFTへ入社。エンジニアの知見とQA×SMの観点で業務改善や因数分解、チーム改善が得意。
最近は蓄積された知見や業務を如何に低コストで掬い上げるかをテーマに手法確立に向けて試行錯誤中。

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