プロダクトオーナーに求められる視点とは?
こんにちは、QAリード兼アジャイルコーチの船橋です。
Product Backlog Items(以下PBIs)の優先順位が正しいのかわからない、PBIsが明確ではない、最悪はProduct Owner(以下PO)が仕事してくれないなど、さまざまな悩みを耳にします。
先日 Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2021 に参加したなかで、Open Space Technology(以下OST)で「POについて」のセッションを提案し、オンライン・オフライン合わせて10名以上の方々とディスカッションさせていただきました。
OSTについてはこちらのサイトなどをご参照いただくとして、前述の悩みは、Scrum Masterやスクラムチームが改善できることは多々ありますが、今回はOSTで貴重なご意見をいただけたこともあり、POを主眼においたうえで私なりに考えてみたいと思います。
皆さんのPOはどんな方?
まず、私の周りで実際にScrumを採用して開発しているチームでは、どういった領域の方がPOとなっているのでしょうか。
・ 従来の開発チームにおいてPMやPLを担当されていた方
・企画部門の方
・ カスタマーサポートや製品導入といった実際にユーザーとやり取りしている部門の方
他にもいらっしゃいますが、多種多様な領域の方が担っています。
OST内では具体的な部門ではなく大きく二つ事業サイド、開発サイドに分類して回答をいただきましたが、ここでも両サイドそれぞれから選出されている結果となりました。
従って、私の周りだけが特殊で偏っているわけではなく、本当に多種多様な領域の方がPOを担っているといえるはずです。
また、選出には自社製品・サービスを開発しているかも関係しており、事業会社の製品・サービスをSIやビジネスパートナーが開発する場合は事業サイドからPOが選出されやすく、逆に自社製品・サービスを開発している場合は開発サイドから選出されやすいと感じます。
POが真のPOとして機能しているのか問題
「開発サイドのPOだから」「事業サイドのPOだから」というだけの理由でうまくいかなかった話はあまり聞いたことがありません。
そもそも、POの役割はスクラムガイド(2020年版)にこのように記載されております。
プロダクトゴールを示す、Product Backlog Itemsの優先順位を整理するなどの作業を通じて価値の最大化に貢献します。したがって、価値の最大化に貢献する熱量がある方であればどのような領域の方でもPOの役割を果たすことができるはずです。
では、なぜPOが仕事してくれないなどの冒頭に記載した悩みが生まれるのでしょうか。これらの悩みを紐解いていくと似たような理由だったりします。
開発サイドから選出されたPOに対しては
・事業の優先順位を把握することが難しい
・ ビジネス課題を正しく理解し、明確で透明性のあるPBIsの作成は難しい
という悩みに繋がっています。
サービスの改善や機能拡張といったビジネス課題は事業成長に直接寄与するため理解されやすい傾向にありますが、理解力に限界があり背景等が正しく理解されないため優先順位が設定できないといった問題が発生します。SIやビジネスパートナーがPOの場合は、自分事ではないため顕著に表れると思います。
逆に事業サイドから選出されたPOに対しては
・技術課題が理解されない、必要性が認識されない、そもそも存在を知らない
という悩みに繋がっています。
OSSのバージョンアップや技術的負債の返済といった技術課題を事業サイドの方が理解するのは難しいかもしれません。今実施する必要があるのか?そもそも必要なのか?という疑問が生まれると思います。
OSTの中でも同様な悩みがあり「だからこそPOは事業(開発)サイドから選出しました」といった話が出ていました。
このような事業サイド、開発サイドお互いに理解されない部分が「真のPOとして機能しているのか」という悩みに繋がっていることとなります。
真のPOに必要な視点
ビジネス課題や技術課題を理解してもらうためには事業サイドや開発サイドからそれぞれ熱意をもってPOに伝える必要がありますが、POは受け身になるのではなく両サイドへの積極的なコミュニケーションが求められています。
また、業務や技術面に焦点が当たると品質面が重視されない場合があります。したがって品質要件の充足などの品質課題の理解も必要となってきます。
スクラムチームが品質に関する知識やスキルを有していない場合は、Quality Specialistの方と相談して品質課題を定義します。
つまり、POはプロダクトゴールに対する現在地を踏まえ、ビジネス課題、技術課題、品質課題を総合した優先順位を決定していきます。
事業、技術、品質に対する視点をもつことはかんたんな話ではないですし、完全無欠なPOを見つけることも難しいと思います。
スクラムガイドでは
と記載がありますので、「真のPOとして機能しているのか」という問題が立ちはだかった場合は、スクラムチームやステークホルダーの方と協力しながらPO作業の支援を得ることをお勧めします。
少し宣伝になってしまいますが、当社にもプロダクトオーナーの支援に関するサービスがありますので、POの支援をご検討の場合はぜひとも当社窓口へ相談ください。
終わりに
Regional Scrum Gathering℠ Tokyoには5年連続で参加させていただいておりますが、毎回色々な学びや気づきがあります。参加者の皆さんはAgileやScrumの実践者や熱意がある方々ですので、セッションだけではなく周囲の方々と会話することでも収穫があります。今回も周囲の方とディスカッションできたからこそ、POについて改めて整理することができたので大きな収穫のひとつです。
今年は特にコロナ禍にありオンライン、オフラインのハイブリット開催となり、さらには開催中に緊急事態宣言下に入ってしまうなど大変だったとは思います。関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました、また来年お会いしましょう。
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