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第3回 近未来世代の高齢者UXを生み出すには --鍵を握るプロダクト技術と、高齢者の楽しみの追求--

SHIFTのUXおにいさん、ヨッシーです。

SHIFTで9月8日に開催された89祭り、今年はコロナ禍の影響でオンラインでの開催でしたが、雑学チャンネルにて「高齢者UX」が生むプロダクトの未来「SHIFTが提案する正しいUXへの取り組み」について語る時間をいただきました。たくさんの方に聴講いただきましてありがとうございました。

<第一回のおさらいと第二回のテーマ>

第一回はガラケーを利用していた世代の高齢者UXは機能を減らすことで高いUXを提供しているが、アプリを加えるなどスマートフォンらしい使い方をすると、その魅力が減ってしまうことを説明しました。

第二回は、スマートフォンが普及している環境で生まれ育った世代、スマホネイティブ世代の高齢者について、代表的なスマートデバイスであるスマートスピーカーの可能性を高齢者の視点で考えてみました。

第三回の最終回は、さらに未来を見据えて、高齢者のUXで求められるもの、本質的な価値をどのように生み出していくかを考えていきたいと思います。尚、今回は私と私の所属するITコンサルティング部のUX/CX/DXチーム共同で検討しました。

<近未来世代>

UXは本来人間をベースに考えていくものです。本質的な欲求に基づく、人間本来の価値観はあまり変わっていないかもしれません。しかし生活環境は大きく変わる可能性があります。
近未来世代は、スマホを使いこなしていることはもちろん、さまざまなプロダクトが生まれ高齢者の悩みをプロダクトにより解決できるようになっている世代、これを「近未来世代の高齢者」と定義します。

<近未来の高齢者は高齢者であることを意識しなくなる!?>

高齢者の未充足ニーズを調査したものがあることをご存じでしょうか。この調査では高齢者が生活の中で直面する「57項目の代表的な困りごと」が抽出されています。※1

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この調査結果を見てみると、若い頃にはできたことが高齢になってできなくなっていることばかりですね。
逆に言うと、高齢になってもできないことがなくなり「高齢者であることを意識しなくなる」、これが高齢者にとっての究極のUXということができるかもしれません。

 <注目しているプロダクト・技術>

先ほどの57項目の悩みのうち代表的なものから、将来悩みの解決の手助けになる次世代プロダクトの候補を勝手にいくつか選定してみました。

① 次世代スマートメガネ
画期的な商品として、タッチフォーカスという眼鏡に液晶がついていてワンタッチで度数調整がされて、老眼鏡になるという優れものが発売されました。今後はAIで自動的に眼鏡の度数の調整をしたり、小型化されコンタクトレンズに応用できればさらに便利になると思います。

② 次世代スマート補聴器
補聴器も昔に比べ、つけているかどうかわからないくらい小さくなってきました。それだけでなく、AIにより好みの音に変えてくれるものや、補聴器を遠隔操作して自宅にいながらインターネットを活用して技術者に調整してもらうことができるものも出てきました。少し前に脳波で動くマウスというものがありましたが、脳波と連動させて補聴器自体が勝手に調整されるものも出てくるかもしれません。

③ マッスルスーツ
マッスルスーツは、ダウンタウンの浜田さんがコマーシャルに出ていたことで有名になった、重いものを持つときにサポートをしてくれる器具です。
※2 

また、医療系ではサイバーダイン社が、リハビリ用の器具として活用し、多くのメディアで取り上げられています。※3
こういった器具を軽量化、スリム化し脱着が容易になれば、お年寄りが服を着る感覚で装着し、当たり前に出かけたりできるようになるかもしれません。

<高齢者の生きがいから新しい価値で作る高齢者UX>

ここまではプロダクトの視点で高齢者のUXをみてきましたが、ここからは視点を変えて、「高齢者の楽しみ」の視点からUXを考えてみたいと思います。

シニアの生活意識調査2019という調査データがあります。現在の楽しみを聞いたところ、1位「旅行」(47.4%)、2位「テレビ/ドラマ」(34.7%)、3位「グルメ」(30.1%)、4位「映画」(28.8%)、5位「読書」(28.6%)となっています。
※4

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やはり高齢者のUXを考えるときには、高齢者の楽しみや生きがいを満足させるものの視点でも考えたいですよね。
というわけで今回は、「旅行」を快適にする取り組みとして生体認証技術を日常空間で活用して行っている、南紀白浜の「IoTおもてなしサービス実証」という実証実験の事例を紹介したいと思います。

<生体認証技術とは>

私が以前から注目している技術に「生体認証」技術があります。生体認証とは指紋や顔など生体情報によって本人を特定するもので、皆さんおなじみのスマホのロック解除などに活用されています。生体認証は自分自身の体がカギとなるため、暗証番号のように盗まれたりすることがなく、持ち歩く必要もないことため、将来性が高い技術と感じています。

<南紀白浜で行っている実証実験>

「顔認証を使って地域全体でおもてなし 南紀白浜で始まった最新の地域活性化」一部抜粋

顔認証技術を使って、「手ぶら」「顔パス」「キャッシュレス」で南紀白浜地区の様々なサービスを利用できるようにする仕組みです。スマートフォンなどを通じて自分の「顔」とクレジットカード情報を一度登録しておけば、空港やホテルで特別なおもてなしを受けたり、食事やショッピングの際に顔認証による決済が可能になります。※5 

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① 旅行の前に事前に顔情報とクレジット情報を登録する。
② 白浜町の空港に着くと、顔の認証がされ名前付きのお迎えメッセージ、そのお客様に適した観光案内が表示される。
③ ホテルなどで顔認証により本人の確認をするためお客様台帳などの記入なくスムーズに入室が可能。
④ ショッピングをした際の支払いは顔認証により決済することで財布などを持ち歩くことが不要になる。

この取り組みは高齢者だけを対象にした取り組みというわけではありませんが、高齢者にありがちな忘れ物の心配がなくなる、お金のやり取りの負担軽減になる、受付などでのコミュニケーションを簡略化できるなど安心して旅行をする手助けになります。
そしてなにより、「できないことをできるようにする」という考え方ではなく、「しなくてよい」という考え方によるUX向上のアプローチは、新たなビジネスモデルの創出においても非常に大事な考え方となります。
そういった意味ではDXを推進していくうえでも非常に重要なアプローチということになります。

<新たなUXの価値を生み出すためには>

ブログ第一回のSHIFTのガイドライン、二回のペルソナ作成をご紹介していますが、今回はこれらを活用して新たなUXを生み出す手順についてご紹介しておきたいと思います。

<白浜町の取り組みにより、高齢者UXを高める取り組み仮説>

※あくまで白浜の事例を使って高齢者向けに検証し直した仮説であり、白浜町のサービスを生み出した手順ではありません

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このように検討段階からペルソナとSHIFTのガイドラインを利用することで新たなUXを生み出すことが可能です。
残念ながら、今回は新たなアイディアやサービスを生み出した事例ではありません。もし素晴らしいものが出来れば、ここに発表する前に自分で取り組んでしまうと思いますので(笑)。

私が現在所属するITコンサルティング部では、UX品質の評価だけでなく、ビジネスとしての収益性評価や新たなアイディアを皆様と一緒に考え改善し、支援していくことも可能です。※6
高齢者のUXだけでなく、目指すサービス・プロダクト作成にSHIFTとして支援させていただける体制がありますので、是非とも活用いただければと思います。

<さいごに>

いかがでしたでしょうか。
3回にわたり高齢者UXについて記事を書いてきました。記事を書いていて自分も気づいたことですが、数十年後には自分も高齢者UXを必要とする側になっていることを実感しました。高齢者UXを考えることは世の中の高齢者のためだけではなく、自分自身の喜びにもつながる非常に取り組み甲斐のあるテーマです。UXは利用者視点で取り組むことが成功につながる要素ですが、それをペルソナ・シナリオ、UXガイドラインというツールを使うことによって、評価だけではなく、作成支援を行うことも可能になっていることを改めて実感しました。

利用者という人間に焦点を当てることで、より価値のあるサービス・プロダクトづくりに取り組むことで成功するプロジェクトが増えることを楽しみにしています。今回の記事を読んでいただいた方の中から、UXに興味を持ち、UX向上に取り組んでいただける方が増えることを期待しています。

これまで3回にわたり、高齢者UXをテーマにしたブログを読んでいただき、ありがとうございました。


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(参照先)
※1 高齢者未充足ニーズ調査2019年
https://www.jmar.biz/report/life/2019/03/24.html

※2 マッスルスーツ
https://musclesuit.co.jp/?_ga=2.69249104.1523835449.1600780467-170822883.1600780467

※3 サイバーダイン社
https://www.cyberdyne.jp/

※4 シニアの生活意識調査
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190904.html#sec1

※5 「顔認証を使って地域全体でおもてなし 南紀白浜で始まった最新の地域活性化」
https://wisdom.nec.com/ja/collaboration/2019032601/index.html

※6 SHIFTのUIUX支援サービス
https://service.shiftinc.jp/consulting_category/uiux/

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執筆者プロフィール:吉井誠
大手外資系SIer、外資系コンサルティングファームなどを経て、SHIFTに入社。
SHIFTではパッケージソフトのUXコンサルティングなどに従事した後、UX/UIの定量評価、「測る」ことの標準化でUXをもっと広く実践的に活用してもらいたいと励んでいる。また、国公立大学・大学院で、UXの講師を行っている。

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