予測型(ウォーターフォール型)のプロジェクト経験しかない私のPMP合格体験記
はじめに
こんにちは!株式会社SHIFT インフラサービスグループのミズコシです。
先日(2024年3月末)、PMP試験を受験し、合格することができましたので、そのときの経験をまとめてみたいと思います。
PMPの受験を検討されている方、試験勉強をされている方にとって少しでも参考になれば幸いです。
PMPとは
PMP(Project Management Professional)とは、米国のプロジェクトマネジメント協会であるPMI(Project Management Institute)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントの経験や知識に加え、マネジメントに対する姿勢などの実務的な内容も問われます。
試験の約半分が予測型(ウォーターフォール型)、残り半分はアジャイル型またはハイブリット型に関するもので、出題領域の割合としては、人:42%、プロセス:50%、ビジネス:8%となります。
詳細は試験概要 やECO(Examination Content Outline) を参照ください。
私自身について
私は社会人歴16年、前職の金融系SIerではSE→PL→PMのキャリア(インフラ中心)を歩み、現職も含めて直近8年はPM/PMOを担当しております。
それなりにプロジェクトマネジメントの経験はありますが、担当したプロジェクトはすべて予測型であり、アジャイルの経験はゼロ。PMBOKの基本的なこと(知識エリアやプロセス)は実務を通じておおよそ理解できている一方で、アジャイルについてはバックログなどの基本的な用語も聞いたことがないレベルでした。
そのような経歴の私がどのような勉強をし、合格に至ったのかを共有させて頂きます。
PMP受験資格について
まず、PMPを受験するための資格として以下が必要となります。
①プロジェクトマネジメントの経験
中等教育卒業(高校卒業、準学士号または海外の同等資格)
5 年/60 か月以上にわたる、一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験4年制大学卒業(学士号または海外の同等資格)
3年/36か月以上にわたる、一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験
②35時間の公式なプロジェクトマネジメント研修の受講
※特例もあるようです。詳細はECO を参照ください。
①に関しては大卒で3年以上のプロジェクトマネジメント実務経験がありましたので要件を満たしておりました。
②については、いろいろな選択肢がありますが、私は価格面、手軽さを優先し、udemyでこちら の講座を受講しました。英語の講座になりますが、ブラウザの翻訳機能を使うことで概ね理解することは可能です。この研修を受講することで、PMPの試験範囲や概要を把握することができました。
※udemyにPMPに関する講座はたくさんありますが、35時間の公式なプロジェクトマネジメント研修に該当しないものもありますので十分に確認のうえ、受講下さい。
PMP試験申請に必要なステップ
受験資格を満たしたら、次は申し込みです。以下のステップが必要となります。
1.学歴、プロジェクト実務経験、35時間の公式研修、受験者情報の提出
いずれも英語で記入する必要があり、特にプロジェクト実務経験の取りまとめがなかなか大変です。プロジェクトの目的、成果、自身の役割や責任、成果物を200~500語でまとめることが求められます。まずは日本語で整理した後、DeepL翻訳を駆使しながら、微修正を重ねて、なんとかまとめました。
2.監査
提出した情報に対し、ランダムで監査が行われ、対象となった場合には、学歴、実務経験、公式研修を証明するための書類を提出しなければならないようです。私は幸いにも監査対象にならずに済みました。
3.試験料の支払い
試験料は555ドル(PMI会員の場合は405ドル)。昨今の円安で8万円強です。 試験に合格すれば会社から受験料+報奨金が出るのですが、不合格となったら自腹…。1発で合格することを誓いながら支払い手続きを済ませました。
4.試験の予約
試験の受験場所は、オンライン(自宅)と試験会場の2通りがあり、オンラインはいろいろと準備が大変そうだったので試験会場での受験を選びました。 ただ、試験会場の予約がなかなか取れません。最寄りの新宿会場は3ヵ月先でも土日だと空いている日がなかったので、仕方なく千葉会場(自宅から片道2時間…)を予約することにしました。
2023年11月頭にPMPを受験することを決め、そこから(のんびり進めていたこともありますが)試験を予約するところまでたどり着いたのは2024年1月頭、試験日は2か月半後の3月末に設定しました。
勉強方法について
参考書
「PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応 改訂版 」を使用しました。PMP試験に必要となる知識の習得が目的であれば、PMIが発行しているPMBOKやアジャイル実務ガイド、プロセス群実務ガイドを読まなくても、この1冊に書かれている内容を把握できていれば十分かと思います。
私はまずこの参考書をざっくりと読み、問題集を一通り行ったあとにしっかりと読み返しました。
問題集
現行の試験に対応した内容になっており、量も十分だと判断し、こちら のWeb問題集を購入しました。 模擬試験だと全問解かないと答え合わせができませんが、この問題集は10問ごとのセットになっているので取り組みやすいです。
問題を解き、解説を読んでなぜこの選択肢が合っているのか、間違っているのかまで理解していきます。私は正答率が100%になるまで3周しました。
間違えたり、よくわからなかった用語・考え方はその都度メモして自分なりの用語集をつくり、隙間時間で何度も見返すことで知識の定着を図りました。
PMPに合格するためにはPMIイズム(PMIが定義するPMのあるべき姿、言動)を理解することが重要なので、問題集を解きながらそれを体に染みこませていきました。
ECOや倫理・職務規定 に書かれていることがPMIイズムなのですが、これだけ見ても「ふーん」という感じで具体的にイメージしにくいため、問題集で問われている内容と紐づけながら理解を深めていくのがよいかと思います。
その他
上記の問題集をやりながら、(お金をかけずに)アジャイルに関する知識不足を補うために以下も参考にしました。
スクラムガイド
アジャイル開発の進め方
アジャイル(スクラム)の理論や用語、プロセスなどがまとめられており、理解を深めるのに役立ちました。
I LOVE PM / プロジェクトマネジメント専門チャンネル
イトーダさんのYouTubeは、イマイチ理解しにくいアジャイル用語をわかりやすく説明してくれているのでとても参考になります。 アジャイル以外の解説や合格者インタビューも非常に参考になるのでPMP受験者は必見です!
勉強時間(35時間のプロジェクトマネジメント研修を除く)は、約100時間でした。
もっと少ない勉強時間で試験に挑んでも合格する可能性はあったかもしれませんが、落ちたときの(お財布の)ダメージが大きいのである程度安心感を持てるまで時間をかけました。
試験について
試験会場
試験会場はいろいろな試験が行われているよくあるテストセンターでした。
ハンカチなども含めて持ち込めるものはなく、メモを取るためのホワイトボードとペンだけ貸し出されました。
※ティッシュは持ち込めるのですが、会場にあるものを使うよう指示されました(ティッシュを模したカンペの持ち込みを防ぐため?)
試験実施
問題は180問で、試験時間は230分。60問と120問が終わったところでそれぞれ10分間の休憩を取れます(休憩を取るとそれ以前の問題に戻って見直しすることができなくなります)。
60問を76分で配分し、1問を1分ちょっとくらいのペースで解いて、残りの時間は見直し時間に使いました。2回ある10分の休憩がとてもありがたく、トイレと水分補給とストレッチをすることで頭と体をリフレッシュすることができました。
3つのセクションで難易度の違いは感じませんでしたが、最後のセクション(121問~180問)は疲れからなのか、解くペースが落ち、最後はギリギリで時間をフルに使って解き終わりました。
難解な日本語訳で問題文を理解できなかったらどうしよう、問題文が長すぎて時間足りなかったらどうしよう、ということを懸念していたのですが、どちらも想定の範囲内。手ごたえとしては、まぁ大丈夫かな…といった感じでした。
試験後に受付で1枚のレポートを受け取り、ドキドキしながら内容を確認すると"Congratulations"の文字が!
翌日、PMIから正式な合格通知を受け取りました。
まとめ
今回、PMP試験を受けるにあたってネットでいろいろ調べてみると、数十時間の勉強で合格できたという体験記であったり、合格率は高いという情報もあったので、結構簡単なのかな、大して勉強しなくても合格できるのかな、と思ったりもしていたのですが、私の実体験としてはそんなことはなく、しっかりとした対策が必要でした。受験料が高いのでダメだったらもう一回受ければいいや、ということもできないですし…。
ただ、現行の試験は暗記しないといけない事項は多くないですし、上記の通り、参考書や問題集を通じて基本的な用語やPMIイズムを理解できていれば合格レベルまで達することができるので、そこまで身構えずに挑んでみることをお勧めします。
おわりに
本記事では、アジャイルの知識ゼロの私がPMPに合格するまでの経験をまとめさせて頂きました。
PMP試験に関する情報は世の中にたくさん転がっているわけではないので、最初は手探りで始めて不安なところもあったのですが、そこはPMらしく、しっかりと必要な情報を集めて試験勉強の計画を立て(臨機応変な計画変更も必要)、常にSV(Schedule Variance)=0に近い状態で進捗させることで、「PMPに合格する」というプロジェクトを完了させることができました。ほっとしています…。
ただここで満足することなく、今回の試験勉強を通じて学んだことをベースに実務で経験を積み重ね、PMIが定義するようなスーパーなプロジェクトマネージャーになれるよう、努めていきたいと思います!
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PHOTO:UnsplashのNatalia Ventskovskaya