スクラム経験者を爆誕させる「業務スクラム」とは?
~プロダクトオーナー、スクラムマスターなどのアジャイル人材の効果的な育成方法~
はじめに
こんにちは。 SHIFTアジャイルコーチの谷川です。
アジャイル系人材が、開発の現場だけでなく、経営層、営業、スタッフなど、様々な現場で求められる時代になってきました。
そのため、各企業において、アジャイル系の人材育成が盛んに行われている状況になってきましたが、 座学を教えるところまではできるが、スクラムの実践させる環境がなく、スクラムマスターの 育成が順調に進まない という声を多くを良く聞くようになってきました。
今回は、この悩みを解決する 「業務スクラム」の活用 について、紹介したいと思います
「業務スクラム」とは?
「業務スクラム」とは、
ある作業期間(一週間、一か月など)をスクラムのスプリントと捉え、定期的にレトロスペクティブ(ふりかえり会)を開催して頻繁にふりかえりをしながらPJを遂行していく方式
のことを言います。
つまり、皆さんが日ごろ行っている業務の遂行・管理の方式を少し変えるだけで適用ができてしまうということです。
また、業務スクラムの適用は、できるところから徐々にスタートする形で着手できるため、導入の障壁が非常に低いところが特徴となります。
基本的には、一週間などをスプリント期間と捉えて、そこの作業遂行に役立つ各種プラクティスを適用していくところがスタートとなりますが、業務スクラムで用いられる代表的なプラクティスは下記になります。
「業務スクラム」で用いられる代表的なプラクティス
1.バックログ化
作業項目リスト、AI(Action Item)リスト、WBS(Work Breakdown Strunture)などに書かれている各作業項目をベースにそれらに優先順位を付けてバックログを作成します。
プロダクトオーナー役の方が、このバックログを承認します。
2.ふりかえり会
週次定例進捗会議などの一部でふりかえり会を開催します。
チームの雰囲気を変えるために、このふりかえり会がかなり重要になります。
スクラムマスター役の方が、ふりかえり会や、朝会(デイリースクラム)などのスクラムイベントをファシリテートします。
3.PJ見える化
プロジェクトが持つ様々な情報を見える化、透明化します。
「業務スクラム」の適用事例
「業務スクラム」は、スクラムをベースとしています。
つまり、スクラムが、「お客様に価値を届ける」、「問題を明るみに出す」ための「チーム力強化のため」のフレームワークと言われているように、業務スクラムは、このスクラムを通常業務に適用するものなので、ウォーターフォール型開発の課題解決や、様々なプロジェクト運営、企業における組織運営などにも適用可能なものとなります。
以下に、いくつかの適用事例を紹介します。
「業務スクラム」適用のメリット
「業務スクラム」を適用した場合には、下記のメリットがあります。
●チームに心理的安全性が生まれる
●社員がいきいき、ワクワク働ける
●業務遂行上の課題解決が進む
●スクラム型PJ遂行が身近で体験できる
●スクラムマスター育成ができる
これだけたくさんのメリットがあると、皆さんも興味が沸いてきたのではないかと思います。
では、次に、「業務スクラム」適用のポイントについて紹介します。
「業務スクラム」適用のポイント
「業務スクラム」適用の最大のポイントは「心理的安全性」の理解、確保することです!
「心理的安全性」 が確保されることにより、チーム課題を浮き彫りにでき、それを解決するための前向きな行動が取れるようになり、チームの雰囲気がどんどん良くなり、様々な良い効果が出てくるようになります。
「心理的安全性」を理解するところがスタート地点となるのですが、 「心理的安全性」の詳細については、下記の書籍を参考にしてください。(*1)(*2)
「心理的安全性」を確保するために
1.心理的安全性の啓発活動
上記で紹介した書籍などを活用し、チーム全員で 「心理的安全性」 を理解するための啓発活動を進めます。
特に、管理職など、上の方の理解がとても重要になります。
2.幸福度指標、Well-beingの理解
チームで 「幸福度指標」「Well-being」 の理解を進めます。
特に、管理者やチームリーダーからこの説明があると、このレベルの方々がこのような指標に注目していることをチームメンバーに認識させることができるので、メンバーからの信頼が更に得られるようになります。
「Well-bing」「幸福度指標」の詳細については、私の過去のブログを参照してください。
3.幸福度指標測定
朝会(デイリースクラム)やふりかえり会で、 「幸福度指標」 の測定を開始します。
これにより、チームメンバー全員が、メンバーの幸福度に着目するようになり、徐々にチームの心理的安全性が高まっていくことになります。
また、幸福度指標の急激な低下から、危険を未然に察知したり、チームの生産性(ベロシティ)との相関関係を分析することも可能となります。
ふりかえり会を重視しましょう!
私も、IT業界で何十年と生活してきていますが、年々現場が忙しくなっている状況を見ています。
36協定や働き方改革法案などの影響もあり、現場の稼働時間が年々少なくなっていると思いますが、これにより、様々な弊害も出ており、その一つにカイゼン に掛ける工数の減少があります。
そのため、私は、ここ数年間、このふりかえり会が行われていない現場を数多く見てきました。
これでは、チーム状況が良くなるはずもなく、大企業病が加速していきます。
#大企業病については、私の過去のブログを参照してください。
とても良い雰囲気のチームを作る、チーム状況を良くする、とても効果的なイベントが「ふりかえり会」になります!
(*3)
逆説的な言い方をすれば、このふりかえり会のないチーム・組織に、明るい未来はないということになります。
スクラムマスターの研修でも、スクラムマスターの最大のミッションがこのふりかえり会のファシリテートであり、これがいかにうまくできるかどうかでスクラムマスターの技量がわかると言われているくらいです。
「自分が楽しく働きたい」、「チームの雰囲気を良くしたい」 、と思ったら、是非、一度立ち止まってしっかりと「ふりかえり会」を開催し、また、自身のレベルアップのためにも、このふりかえり会自身をレベルアップさせていきましょう!
それだけ、このふりかえり会のファシリテートは重要であり、良いふりかえり会ができればその効果が絶大なものになるため、良いファシリテートをするため、スクラムマスターを効果的に育成するために、アジャイルコーチの活用をお勧めしています。
まとめ
今回の記事で、 「業務アジャイル」 が、適用がとても簡単なものであり、かつ、チームの課題を解決して、チーム力を強化してくれる大変良いものであることを理解していただけたと思います。
この業務スクラムは、個人にもチームにも適用することができるので、自社内にて 「スクラムマスター」 の経験を豊富に積むことができ、スクラムマスターを爆誕させることができます。
また、社内における、アジャイル・スクラムの理解者を大幅に増やすこともできますので、社内におけるアジャイル文化の醸成が進むことになります。
そして、何よりも、自分自身が楽しく仕事ができるようになり、チームも元気にできる 、 という素晴らしい環境を作り出すことが可能なのです。
皆さんも、是非、この「業務スクラム」の適用に積極的にチャレンジすることで、アジャイル人材を効果的に育成していきましょう!
◆参考文献
(*1) 斉藤 徹 「だから僕たちは組織を変えていける」 2021年11月
(*2) 松本 裕 「心理的安全性とアジャイル」 2022年6月
(*3) 森 一樹 「ふりかえりガイドブック」 2021年2月
|この公式ブロガーの他の記事
お問合せはお気軽に
https://service.shiftinc.jp/contact/
SHIFTについて(コーポレートサイト)
https://www.shiftinc.jp/
SHIFTのサービスについて(サービスサイト)
https://service.shiftinc.jp/
SHIFTの導入事例
https://service.shiftinc.jp/case/
お役立ち資料はこちら
https://service.shiftinc.jp/resources/
SHIFTの採用情報はこちら
https://recruit.shiftinc.jp/career/