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SAP未経験者をSAPテストエンジニアにする5日間の研修の話

はじめに

こんにちは。株式会社SHIFT SAP1グループの八木です。SAPグループの社内教育を担当しています。

この記事では「SAP」はSAP社が提供しているERPパッケージソフトを指します。私の所属するSAP1グループでは、SAPのパッケージソフトであるSAP ERPや、SAP S/4HANA(以下、SAP)の導入やバージョンアップ案件(以下、SAP案件)でテスト支援等を行っています。

SAPグループでは毎月SAP未経験のメンバーを採用し、5日間のSAP基礎研修を経て、SAP案件に送り出しています。今日は、SAP未経験者をSAPテスト案件で活躍できるテストエンジニアにするためにどんな教育を実施しているかをお話しします。

この記事の想定読者

  1. SHIFTの社内教育に興味がある方

  2. SAP未経験者への教育に興味がある方

この記事のゴール

SAP未経験者をSAPテスト案件で活躍できるテストエンジニアにするために、どんなポイントを大切にして、教育を実施しているかが理解できます。

現場目線での研修の組立

SAPは、財務会計、管理会計、販売管理、購買・在庫管理、生産計画・管理といった基幹業務を標準機能として備えており、学ばなければならない内容が多岐にわたります。そのため、全てを学習しようとすると膨大な時間がかかります。5日間という短い研修期間で最大の効果を出す為に、現場目線で研修を組み立てています。

現場で活躍できる人材

私自身のSAP案件の現場経験を踏まえ、「こんな人に来てほしい」と思う人は以下のような人です。

  1. 基礎知識「現場で教えてもらえないこと」を知っている人。

  2. 基礎スキル「現場で求められるスキル」が使える人。

SAP基礎研修は、現場目線で考えたときに必要な上記2つのスキルが学べるようなカリキュラムになっています。

1.現場で教えてもらえないことを知る

SAP案件の現場に配属されているメンバーは、新しいメンバーを迎えるにあたって、そのメンバーのスキルに合わせたOJTを行います。しかし「基本的なこと」については、知っている前提で話を進めます。「前提とする基礎知識」がないと、話がかみ合わず、OJTもうまく進められません。そのため、現場で教えてもらえない「座学」を基礎研修に組み込んでいます。

① SAPの基礎知識

SAPの歴史や、製品の特徴、ERPパッケージとは何か、といった基本的な情報は、SAP案件に携わる上で基礎的な情報です。SAP案件に長年携わっている人にとっては「当たり前」となる前提知識のため、「知らない」ということを意識せず、認識齟齬が起きやすい部分です。認識齟齬から起こる問題を避けるため、基礎知識は重要な学習項目になります。

②標準業務フロー

前述のように、SAPはERP製品の為、基幹業務の流れを理解していないと、システムが正しく動いているのかが判断できません。基本的な業務の名称や略称、業務フローを理解しておくことは現場で活躍する上で非常に重要です。案件では「基本的な業務フロー」をベースに、「案件特有の違い」の説明から入ることが多く、「基本フロー」がわからないと説明が増え、双方の生産性が落ちてしまいます。

③基本組織とマスタ

標準業務フローと同様に案件では「基本的な組織とマスタ」をベースに、「案件特有の違い」を説明されることが多いです。また、SAP独特の用語や、4文字のテーブルID等が会話に頻繁に出て来ます。現場で困らないように、事前に学習しておく必要があります。

2.現場で求められるスキルを習得する

SHIFTではSAP未経験のメンバーがSAPテスト案件にアサインされる場合、「テスト実行者」として案件にアサインされます。テスト実行者として知っておくべき基礎的なスキルが下記の2点です。

  • テストデータの検索、テスト結果確認に必要な「テーブル検索」

  • テストデータ作成に必要な「マスタ登録」「トランザクションデータ登録」

この操作を演習で実施することによって、テスト案件ですぐに手が動かせるようになります。また、これらのスキルはテスト案件以外でも汎用的に使える基礎スキルです。重要な操作について学習しておくことで、現場で毎回教える工数負担をなくします。また、学習者にとっても、案件に入った際に「知っている」操作があることで、案件作業の自信につながります。

SAP基礎研修の実際のカリキュラム

上述のポイントを押さえて、下記のようなカリキュラムを組んでいます。対象のモジュールは最も案件頻度が高いFI、SD、MMに絞っています。

研修最終日にSAP初級検定を実施

検定を実施する目的

SAP基礎研修で学んだ基礎知識、基礎スキルの理解度を確認する目的で、研修の最終日にSAP初級検定を実施しています。合格率は約65%。決して簡単なテストではありません。 研修を通して身についたこと、まだ足りないところを認識し、自己学習を続けることで、SAPテストエンジニアとして成長することを期待しています。

SAPグループのメンバーは基本的にSAP初級検定に合格することが必須となっており、不合格の場合には自己学習を継続し、再度検定にチャレンジしてもらいます。

終わりに

SAP未経験者をSAPテスト案件で活躍できるテストエンジニアにするために「現場目線」を重要視し、「現場で教えてもらえない基礎知識」「現場で求められる基礎スキル」の教育を実施していることを御説明しました。SAP基礎研修に対する教育チームの思いを理解していただけたら幸いです。


執筆者プロフィール:八木
2021年から株式会社SHIFTに勤務。 SAP1グループに所属し、SAPグループ全体の社内教育をはじめ、社内外向けの検定、研修の作成に従事。前職では日系コンサルティングファームに所属し、SAPの導入コンサルティング、設計、開発、ユーザ教育、保守運用等に従事した経験を持つ

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