バズワードから紐解くIT業界のこれから ~ユビキタスからLLMまで~ Day.1
アドベントカレンダー1日目の記事はこちら!
はじめに
こんにちは。スクラムマスターおよびバズワード研究家(ジョークですよ)の伊藤です。
早いもので2023年もあと1ヶ月となりました。今年の目標を思い出して、何とか達成するか、来年に持ち越すかを考える時期に来ているようです。
2023年も様々なことがありました。SNS全盛の現在では、SNSでバズるのが1つのステータスかも知れません。
ところで、このバズるという言葉の語源はご存知でしょうか。英語のBuzzから来ているそうです。同じBuzzを使う言葉での大先輩が今回のテーマ「バズワード(Buzz word)」になります。
バズワードは簡単に言うとそれっぽい言葉で具体的には何なのか良く分からないが流行ってしまった言葉を指します。IT業界では良く見受けられます。
今回は、過去のバズワードをふりかえりながらIT業界の今後について紐解いていこうと思います。
Googleトレンドによると「バズる」がバズったのは平成最後の月である2019年4月。
よもやま話
英語でバズるはbuzzを使うのかと思いますが、viral(ヴァイラル:ウィルス性のという意味からウィルスのように拡散したことを表す)を使うそうです。
マルチメディア -ユビキタス - クラウドの系譜
マルチメディアという言葉をご存知でしょうか。 IT業界では始祖ともいえるバズワードになります。
意味はその名の通り、様々なメディアが扱えるという意味で画像、音声、映像などが扱えるパソコンとして1990年代などではマルチメディアPCなるものが売り出されていました。
インターネットはまだ草創期であり実際はCD-ROM(死語?)などを使ってマルチメディア化していましたが、ユビキタス(遍在する転じて、どこでもなんでもネットが繋がる)という言葉が登場しました。日本では2000年頃に雑誌などでも特集され浸透してきました。
しかしながら、ユビキタスが目指す世界は技術が追いついておらず、クラウドコンピューティングやスマートフォンといったものの誕生で実現に近づいて来ました。
マルチメディアから始まった言葉はクラウドに行き着き、一般化したと言えます。
よもやま話
ミレニアムという言葉を覚えている人は、それなりのお年だと思われますが千年紀という意味で、2000年のときに、今しかないでしょという形で様々な商品名などに使われていました。
極めつけはMicrosoft Windows Me(ミレニアム エディション)でしょうか。
ユビキタス - M2M - IoTの系譜
ユビキタスはあらゆるものがネットに繋がるという意味も持ちます。
そこで派生した言葉がM2M(Machine-to-Machine)です。モノとモノがネットワークで繋がることを意味します。
はじめはバズワードでしたが、現実として今は様々なモノがネットに繋がっています。
ただM2M(エムツーエム:マシントゥーマシン)は発展的新語としてモノのインターネット IoT(アイオーティー:Internet of Things)に置き換わりました。
非常に言いやすいですし分かりやすいですね。スマート◯◯という言葉もバズワード化しましたが、実際にスマートメーターなどIoTとして実現・普及していきました。
Googleトレンドでは、M2Mは2012年にピークを迎え、2014年にIoTに逆転され、その後は圧倒的になっています。
まだまだあります雑多なバズワード
ここまでは、バズワードから始まり、名前を変え一般的になった言葉を紹介しました。 ここからは、まだ一般化していない、しなかったバズワードも含め駆け足で紹介します。
ビッグデータ
2012年最大のバズワード、サービス化もされました。大量のデータを分析して業務に役立てるというふわっとした用語です。サービスを導入して活用できた企業がどれぐらいあったのか知りたいが、AIの発展により活用が可能になってきました。LLM(大規模言語モデル:large language model)を使ったデータ分析へ引き継ぎされるのではと筆者は考えており、ChatGPTなど生成系AIとの相性も良く遂に日の目を見ることになりそうです。
DR・BCP
2011年の悲しきバズワード。東日本大震災により業務継続が難しくなった事例を元にDR(災害復旧:disaster recovery)やBCP(事業継続計画:business continuity planning)というサービスが乱立しました。
実態は単なる西日本のデータセンターへのバックアップだったりしました。(クラウドはまだ黎明期)
その後、きっかけはともかく意識が変わり、きちんとしたDR・BCPサービスも登場し一般化していきました。
ブロックチェーン
仮想通貨の始祖 ビットコインの元になっている技術。 この技術の応用によって様々なことが出来るようになるはずなのだが、いまいちピンとこない人が多いのではないでしょうか。
NFT(非代替性トークン:non-fungible token)という複製不可能なデジタル資産というものを生み出しましたがこちらもバズワード化し、活用方法がはっきりせず下火になっているようです。
ビットコインもNFTも投資対象になってしまったことは悲しいことです。
DX
デジタル・トランスフォーメーションの略で、声を大にして言うとそれっぽく聞こえるワードです。
Wikiを見ても混乱ぷりがよく分かります。
ステマ・ダイマという言葉があります。ステルスマーケティング(こっそり宣伝)とダイレクトマーケティング(堂々と宣伝)の略です。
弊社(SHIFT)は企業のデジタル・トランスフォーメーションを支援しておりますので、お困りの方はご連絡をお待ちしています(ダイマの例)
https://service.shiftinc.jp/dx/
量子コンピュータ
今までのアーキテクトではない新しいコンピュータ。飛躍的に性能が拡大すると言われており実証実験なども進んでいて実用化されているサービスもあります。
量子関連な他にも様々な用語があり、まだまだこれからの部分もあるでしょうが魅力的な分野です。
バズワードはどこから生まれるのか?
こういったバズワードはどこから生まれるのでしょうか。
推理小説なら得をした人が犯人です。しかしながら、バズワードに便乗して儲けた企業はあるかも知れませんが、それは企業努力で1企業がバズワードを創出できるとは思えません。
出処としては、
ガートナーのハイプ・サイクル
日経新聞や日経系列の雑誌で特集される。
野村総合研究所様のITロードマップ が有力です。
これによると本稿で紹介した用語 AI(人工知能)、ブロックチェーン、モノのインターネット(IoT)、量子コンピューティングは既に啓発期にNFTは幻滅期 生成AIは過度な期待 LLMは黎明期になるようです。
出典: Gartner 日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年
野村総合研究所様は毎年ITロードマップを発刊していて、今年は「ITロードマップ 2023年版 ~情報通信技術は5年後こう変わる!~が発刊されました。
それでは5年前、2018年の概要を見てみましょう。
AI、量子コンピュータ、ブロックチェーンに加え既に一般化した「エンタープライズ・チャットプラットフォーム」や今後のトレンドとセキュリティの組み合わせなどが予測されています。
バズワードの発生源は不明ですが こちらにアンテナを張ると、新技術、トレンドなどが分かりやすくなります。
これから
2023年のITトレンドといえば、ChatGPTなどの生成AIで間違いないでしょう。
AIは質問に答えるだけでなく、データ分析、コーディングに画像出力などクリエイティブな分野でも飛躍的な発展を遂げました。
AI、ビッグデータ、量子コンピュータなどは組み合わせていくと、行動予測やレコメンドは恐ろしい時代に突入するかも知れません。
今後はこういったプラットフォームを利用したソフトウェア開発争いが熾烈になっていくかも知れません。プログラミングはAIがやってくれるし、どういうソフトウェアが求められているかのマーケティングもAIの得意分野です。
よって、次のバズワードは脱AI、AI疲れといったものになりAIを意識させないが実はAIに支えられているサービスがバズるのかも知れません。(ハイプ・サイクルにある人間中心のAI?)
皆様もハイプ・サイクルなどを参考に今後のITトレンドを推測してビジネスに活用してはいかがでしょうか。
★★SHIFT公式ブログでアドベントカレンダー★★
明日の記事は、
『日本経済再生と「少子化問題」にアジャイルが効くって本当なのか?』
お楽しみに!
お問合せはお気軽に
SHIFTについて(コーポレートサイト)
https://www.shiftinc.jp/
SHIFTのサービスについて(サービスサイト)
https://service.shiftinc.jp/
SHIFTの導入事例
https://service.shiftinc.jp/case/
お役立ち資料はこちら
https://service.shiftinc.jp/resources/
SHIFTの採用情報はこちら
PHOTO:UnsplashのRaphael Schaller