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読書感想文と標準化 〜読書感想文に必要なのは個性ではなく型化だった、という話〜

こんにちは。SHIFTにて社内メンバの能力開発をしている、タカハシです。今日は、少し趣向を変えて、社内教育ではなく子どもの宿題から書いてみます。

小学生は夏休みですね。
夏休みといえば、ラジオ体操、自由研究、そして、読書感想文
読書感想文が、嫌いな夏休みの宿題No.1でした、ダントツで・・・。

おかげで、文章を書くことが嫌いなだけではなく、苦手意識まで持ってしまい、その後もずーっと避けてきました。

入試や資格試験でも小論文があるところは避けたり、社会人になってからも文章書きから逃げてきたり、という感じです。

そしてそれをしっかり息子くんも引き継いでくれていて・・・
読書感想文が、だいっキライ!というわけです。


さて、困った。

今年もやってきました読書感想文。文章書くのがキライな息子くんに、900〜1200文字も書いてもらわないといけない。

「おもしろかった」「かわいそうだった」を並べても、とうてい届かない。自分もキライだったから、分かる、分かるよ・・・
だけど、書かないといけないんだ・・・

そんなときは、まずはグーグル先生。

「読書感想文 書き方」と調べると、

「まずは親子で本のことについて会話してみましょう」、なんてアドバイスがよく出てきます。でも、欲しいのはそこじゃない。それを文章にすること。感想聞いたって1000文字も埋まりません。

どうしたものか。



そもそも、読書感想文とはなんなのか

そもそも、読書感想文とはなんなのでしょうか?

夏休みの子どもたち(と、パパママ)の貴重な時間を奪ってまで、何がしたいのか?その目的は何なのか?

つまり、読書感想文とは、

①なんのために(Why)

②だれに(Who)

③何を伝える(What)

ものなのか。
ここから考えることにしました。

やはり何事も、困ったときは目的に立ち戻ることが大事です。
いろいろな考え方があり、学校や先生によっても違うとは思いますが、

私なりの解釈は、こうです。

①なんのために ・・・ 知ってもらう

②だれに ・・・ 先生や友達(主には先生)

③何を伝える ・・・ 自分がどんな人か、ということ


並び替えると、

自分がどんな人かを先生や友達に知ってもらう

ために書くもの、となります。

その他の教科、算数・理科・社会などでは直接は伝わらない、考え方や趣味・嗜好(思考)を伝えられるものだ、ということです。

100点の解答ではないかもしれないけど、概ね合っているのではないかと思います。

見方を変えれば、自分がこの読書感想文の読み手(先生や友達)だとしたら、何に注目するか、ということ。


それは、以下の2つです。

1.なぜこの子はこの本に注目したのか
 →ここから、どういうことが好きなのか、を類推します。

2.この本から何を感じたのか
 →ここから、どういう考え方をするのか、を類推します。


つまり、この2つを通して、「この子はどういう子か」を知る、ということですね。

結局のところ、読書感想文は「可視化」のためのツールだと思っています。

この前提で、次に改めて読書感想文を考えてみましょう。

※ちなみに、宿題と呼ばれるものはすべて「可視化」が大きな目的の一つだと、個人的には考えています。通知表に評価をつけなければならないが、授業時間だけでは判断するための材料が不足している。だから、宿題の内容、取り組み方を通して、その子の評価をするため、という理由です。

そうなると、授業で理解していても、宿題はやらないといけない。というのが、出す側の理論であり、宿題の弊害だったりもしますが、この話を続けると長くなるのでまた別の機会に・・・。


読書感想文はどう書けばいいのか 〜型化〜


結論から言うと、読書感想文は文章の書き方の型化に沿えばいい、ということになります。

そう、読書感想文も標準化できます。

そもそも、文章の書き方がうまいか、面白い文章か、などというのは求めていないと思うのです。だから、奇をてらった表現もいらない。

なのに、「うまく書こう」「面白く書こう」と思うから書けない。
求められていないのなら、そんなこと気にする必要ないですよね。

なので、書き方は型にはめましょう。では、どういうが必要か。
よくある、序論、本論、結論に合わせて書いていきましょう。

※起承転結も定番ですが、感想文ではちょっと難しい。特に苦手な人は3つで十分。


■序論(はじめに)

ここが一番大事です。
まずはここに全力を注ぐ。あとは惰性でなんとかなります。
というより、ここがきちんとしていないと後ろが続かないし、読む気にならない。

これはやはり定番の、5W1Hが大切です。

Why なぜ

Who だれが

When いつ

Where どこで

What なにを

How どんなだ

これで表します。


そして、更に大事なことが一つ。

この中の「Why」だけが次元が違います。
次元というか、「Why」だけが、読んだ本人のことを書くのです。

なぜ、あなたはこの本に興味を持ち、読んだのか。この本を選んだ理由ですね。これだけが、あなたのことです。

それ以外の4W1Hは、本の中身のことです。
主人公がいつどこでどんなことをしてどんなことを感じたのかを、あらすじとして書きます。

要約ですね。

これはこれでとても大切なスキルなのですが、やっぱり奇をてらう必要なんかない。本についている帯なんかを参考にしてしまえばいいです。


なので、序論は、

1.あなたがその本を読んだ理由(Why)

2.それはどんな本か(4W1H) ・・・つまり、あらすじ

を書けば終わりです。


■本論(なか)

ここは、だいたいでいいです笑。
分量的には一番長くなりますが、それほど重要ではありません。

印象に残ったエピソードを、分量に合わせて2〜3個書けばいい。
読んだ人に「え〜、そんなところ印象に残ったの」と思わるかもしれない、なんてことは気にしない。

「この本を読んで印象に残ったエピソードは、3つあります。」

とかって書き始めて、それぞれ引用したりしながら、読んで感じたことなんかを書いておけばいい。あまり悩まないことです。

大丈夫、たいして読まれませんから・・・。



■結論(おわりに)

ここは、再び大事。

読書感想文の目的に立ち戻ると、「この感想文を書いた子はどんな子なのか」がわかることが必要です。

なので、この本からあなたは何を考えたのか、を書きましょう。

でも、そんなに難しく考える必要はなくて、本論で書いたエピソードの中から一つ取り出して、また同じことを書けばいい。

どの一つかというと、ここでもやっぱり「Why」が大事で、序論で書いた「なぜ」に一番つながるエピソードがいい。もしくは無理矢理つなげる。

それと、もう一つ結論で書くのは、この本を読んで今後どうしようと思ったのか、どう行動に移すつもりなのか、ということです。

つまり、「After」があればよいですね。

実際にできているかどうかは先生には分からないので、そんなことは書いているときは気にしなくてもいいでしょう。(もちろん、実際の行動に移せるのが一番いいけど)


まとめると、

■はじめに
なぜこの本を選んだのか Why
本のあらすじ 4W1H

■なか
エピソードと感じたことを2〜3個

■おわりに
一番印象に残ったエピソード再び Why+自分の考え

今後どうするか After

これだけです。簡単ですね。


読書感想文と標準化

何でも型にはめたがる日本の教育の中で、読書感想文だけがやたらと個性を求められる(と、みんな思っている)。

だいたい、なぜ、作文だけ「型」を教えないのでしょうか。算数だったら、四則演算から教えるし、公式を覚える。これはまさに型化です。

サッカーだって水泳だって書道だって、そう。まずはお手本があってそれを真似るところから始めます。

でも、国語は、漢字はひたすらやるけど、もちろんそれだけでは文章は書けないし、文法は習うけど、やっぱりそれだけでは作文はできない。

特に、ロジカルライティングとでも言うべきものが教えられていないのでは、と思っています。(だから、社会人になってからみんな困ってロジカルライティングの研修を受けることになる)

そのうえ、なぜか感想文だけ個性を持ち出す。
型にはめちゃいけない、自由に書いていいんだよ、とか言うしまつ。
自由って、難しい。

でも、感想文に必要なのは個性ではなく、型化です。

文章の書き方としては型にはまっていてよくて、その本に興味を持った理由や印象に残ったエピソードはそれぞれ違うはず。内容からきちんと個性は滲み出るはずで、読む側が感じ取らないといけないところです。


だから、書き方は型化、しましょう。
書き方そのものは力を入れるところではない、ということです。

これは、何においても同じです。
ブログもプレゼンも、ソフトウェアテストも、です。

必ず型がある。まずはそれを守る。守り方を教わる。
それができるようになったら、個性を加える。

いわゆる守破離です。

いきなり、「おもしろいことを書こう」「うまく書こう」なんて考えても、ができないままを目指そうとして、中途半端になってしまうのと同じです。

型があるから型破り

型がないまま型破りなことをやろうとするのは型なし(形なし)

ということですね。

※ちなみに、私自身もロジカルライティングをきちんと学んだことはないので、型を守れていないかもしれません。ご了承ください・・・。


さて、ずーっと、文章を書くのがキライで避けてきた自分自身が、まさかブログで感想文の書き方を書いているとは、なんとも不思議なものです。


読書感想文に必要なのは型化

これに気づけたのは、SHIFTで大切にしている「標準化」を普段から意識しているから、と思っています。

何ごとも型化が大切です。

自分で言うのもなんですが、30年前の自分に教えてあげたいですね笑

このブログが、読書感想文に悩める子どもたち(とパパママ)に少しでも役に立てば、幸いです。


参考:
新学社 「読書感想文の書き方」 http://www.sing.co.jp/school/el_mate/season_toku1.html


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執筆者プロフィール:髙橋 朋裕
SIerにてSEとして、主に民間企業向けのシステム開発やパッケージソフト開発を経験した後、2019年にSHIFTに入社。
SHIFTでは、SHIFTグループ社員の人材育成を担う能力開発部門に従事している。主に社員の受入教育を担当しており、年間1000人の新卒・中途社員研修を一手に引き受けている。

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