ホワイトカラーの業務に大きな変化と成果をもたらす「アジャイルワーク」のご紹介
はじめに
こんにちは。 SHIFTアジャイルコーチの谷川です。
私は、社外で開催されているアジャイル系のイベントにほぼ毎週参加して、様々な情報を入手しています。
参加しているアジャイル系コミュニティの一つに、「エンタープライズアジャイル勉強会」 というものがあるのですが、今回はこの2024年7月のイベントで紹介された、答えがない時代に最も早く「最適解」へ至るためのホワイトカラーの新しい仕事術として紹介されている 「アジャイルワーク」 について、皆さんに紹介したいと思います。
●エンタープライズアジャイル勉強会
https://easg.smartcore.jp/
アジャイルワーク とは?
アジャイルワークとは、戸田孝一郎さんの著書である、「アジャイルワークの教科書」 で紹介されているものになります。(*1)
アジャイルワークとは、TPS(トヨタ生産方式)とスクラムを融合させたホワイトカラー向けの仕事術であり、 アジャイルワークが仕事における無駄を排除し、現代ビジネスシーンで絶対的権威とみなされている「生産性」を飛躍的に向上させ、それによって、一人ひとりにかかる無駄な負荷を減らし、誰もが幸せに働けるようになる、最強のメソッドであると紹介されています。
特別なスキルやスペシャルな能力などは身に付けなくても大丈夫
みなさんの誰もが日常的に実践可能な仕事術
アジャイルの本質はTPS(トヨタ生産方式)にある
皆さんも、トヨタ生産方式(TPS(Toyota Production System)) という言葉を一度は聞いたことがあると思います。
アジャイルを実現する開発方式には、「スクラム」 が有名ですが、他にも様々な方式があり、その中の一つに 「リーン」 というものがあります。
このリーンの考え方の源流が、日本を代表する世界的な企業であるトヨタ自動車の独自の生産方式である、TPS(Toyota Production System)にあるのです。
多くの人たちが、海外の先進的な開発手法の研究を進めていますが、アジャイルも突き詰めていくと、TPSにたどり着き、このTPSの方式が、ハードウェアの製造はもちろん、ソフトウェアの開発、さらには一般のホワイトカラーの日々の仕事にも大きなメリットがある、「普遍的な本質」を備えたものである、ということです。
アジャイルはホワイトカラーの生産性アップに不可欠
「アジャイルワーク」 は、トヨタの遺伝子そのままのTPS、TMSに、戸田さんのアイデアや工夫を盛り込んだ、汎用性と使い勝手を高めた、「アジャイル仕事術」 と言えるものです。
元来、アジャイル・スクラムが、「世界標準のチーム戦術」 と紹介されているように、その思想、手法の根源であるリーン、TPSも同様にチームで成果を上げるための考え方、手法であり、自律したチームとしての行動習慣を対象としていますが、チームとしての成果を上げるためにはその構成員である個々人の行動習慣も大事な要素になります。
「アジャイルワーク」という仕事術は、ビジネスにおいて一番大切な時間と個人の能力を最大限に活用するための、とっておきの手法 です。
そのため、ホワイトカラーのビジネスパーソンには、特に大きな変化と成果、メリットを実感していただけるはずです。
アジャイルワークを武器にすることで、「半分の時間で、倍の仕事量を達成できる」 ようになるようです。
アジャイルワークの詳細
「アジャイルワーク」の詳細については、上記で紹介している戸田さんの「アジャイルワークの教科書」で確認していただきたいと思いますが、ここでは、概要だけをさらりと紹介させていただきます。
アジャイルワークは、基本となる次の5つの大きな要素によって成り立っています。
① 見える化
② 振り返り
③ ダンドリ(段取り)
④ タイムボックス
⑤ チーム
それぞれの要素について、簡単に解説しますが、どの要素も特に目新しいものはなく、簡単に着手できそうであると感じていただけると思います。
見える化
見える化こそが、アジャイルワークの基本となります。
アジャイルワークにおける「見える化」の本質は、「仕事のプロセスを見える化」することです。
手順を明確にすることで、意思決定をする回数を減らすことができ、より効率的に業務をこなすことにつながります。
仕事のプロセスを分析して、以下の3つの時間に分類する。
正味時間:付加価値を生み出す時間
付帯時間:正味時間にするために必要な行動
ムダ:何の価値も生み出さない時間
以下の7つのムダを認識し、それを分類することが重要と言っています。
つくりすぎのムダ
手待ちのムダ
運搬のムダ
加工そのもののムダ
在庫のムダ
動作のムダ
不良をつくるムダ
また、チームメンバーの 「モチベーションの見える化」 もかなり重要であると紹介されています。
モチベーションというのは、生産性に直結する実に大きなファクターであるからです。
この 「モチベーションの見える化」 については、当社にノウハウがありますので、ご興味がある方はお問い合わせください。
振り返り
「見える化」以外の4つの要素は、「見える化」された仕事の内容をベースに、そこで得られたメリットを展開・発展させていくようなイメージのものとなります。
そこで、次にすぐに行える、行うべきなのが、「振り返り」になります。
この、「見える化」と「振り返り」がチームメンバーの水準を高めることにつながります。
アジャイルワークでは、「ペアプロ」により客観的な振り返りを行い、「KPT」によって「振り返り」の精度を高めることを推奨しています。
ダンドリ(段取り)
分解されて整えられたパーツをもう一度組み立て直す作業が必要となるのですが、それがこの「ダンドリ」になります。
仕事の順序ややり方を考え、効率よく行えるように手順を確定させることを意味します。
●「ダンドリ」により、最大の無駄である「やり直し」をなくす
●「タスクボード」で仕事を管理する
●一定時間で仕事を完了させるための「イテレーション」という概念を用いる。スクラムでいうところのスプリントに相当するものです。
タイムボックス
アジャイルワークとは、「きびきび無駄なく」、つまり、密度を高めて限られた時間の中で最大の効果を発揮しようとするアプローチです。
であれば、やはり、「時間」そのものに対してもしっかりと意識をもたなければならず、日本のビジネスパーソンはそもそも時間を軽視する傾向があるので注意が必要です。
仕事の時間枠を作って効率化する
60分単位で、「タイムボックス」を繰り返す
チーム
個人ではなく、チームとして動くことにより、職場の連携が2倍、3倍となり、生産性と効率がより高まることになります。
そのため、チームリーダーには、メンバーのモチベーションを上げやすくする環境を提供することが求められるということです。
モチベーションの高い、自律したチームなら2倍3倍の効果を発揮できる
「チーム」と「心理的安全性」には切っても切れない関係がある
今こそ見直されつつある日本のお家芸の「スクラム」
アジャイルと「Well-being」の密接な関係
なんと、この書籍でも、私が長年研究を続けている「Well-being」とアジャイルとの密接な関係ということで紹介がされていました。
#「Well-being」の詳細は下記を参照。
●私の人生を変えてくれたWell-beingとはなにか?(2023/6/7)
https://note.com/shift_tech/n/n4811493f9db3
私も、「Well-being」を実現させるためには、心理的安全性 がかなり重要であり、それらを実現させる働き方として組織アジャイル、業務スクラムなどに注目していましたが、戸田さんもアジャイルとWell-beingにとても密接な関係があるということを認識されており、とてもうれしく思いました。
アジャイルは、「オープンな環境でフラットなチーム」が基本なので、職場の環境もチームで振り返って改善していくというメリットがあります。
チーム内で進捗や本音の「見える化」がなされることで、「心理的安全性」を担保でき、メンバー相互、ステークホルダー間で互いにリスペクトする関係性が構築されることになり、アジャイルはSDGsの目標を達成する働き方であり、さらなる「+α」のメリットをも、さまざまもたらしてくれるのです。
と紹介されていました。
おわりに
私は、「Well-being」や「働き方改革」に着目した活動をここ数年続けておりますが、アジャイルがホワイトカラーのほとんどすべての業務に適用できて、「Well-being」の実現や「働き方改革」に効果があることを提唱しています。
それらを、「組織アジャイル」、「業務スクラム」 という用語を使って紹介してきていますが、まだまだメジャーになってはいない認識です。
それが、今回、この戸田さんの 「アジャイルワーク」 に出会い、ホワイトカラーの新しい仕事術として紹介されていることを知って、基本的な考え方は間違っておらず、これからもっともっと普及すべきものであることを確信しました。
今回紹介した「アジャイルワーク」をもっともっと広めて、楽しく働ける方を増やし、日本をもっと元気にして行きたいと思います。
◆参考文献
(*1) 戸田 孝一郎 「アジャイルワークの教科書」 2023年5月
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