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ガンプラで学ぶアジャイル開発 《第1回》"あんなもの飾りです。お偉い方にはそれが分からんのです。"

みなさんこんにちは、休日どうお過ごしでしょうか?最近の休日は、息子と「ピクミン3」をしているスクラムマスターの日下部です。

掲題は出落ち感が強いですが、宇宙空間では移動する際に足を使わないため不要と考える整備士と、実際にどう稼働するかわからないため、足がないため未完成と思っているお偉いさん方の隔たりについての解決策として、第1回目は、イテレーションとはどういうことなのかを書きたいと思います。
お偉い方の批判ではありません。

ガンプラ制作過程

さて、皆さんが、日々ガンプラを作るにあたり、まずガンプラを購入しますという人は、罪(積み)作りな方でしょう。筆者も積みプラしてます。
ですが、本来、したいことが出来てから購入すると思います。ジオラマ作りたいとか、俺専用モビルスーツを製作したいとか・・・。

そういった完成形を想像してから、ガンプラを購入し製作すると思います。

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(筆者の自宅の積みプラ写真)

そして、購入したガンプラのパーツを組み立て、一旦、素組しますよね。
(※素組とはランナーからパーツを切り離し、一旦組み立てることです。)

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(素組の状態)

大体、下記のような工程かなと思います。

① ランナーからパーツを切り離す

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② 素組(この状態でも十分価値がある)

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③ 分解し、パーツ接着し合わせ目をなくす

④ サーフェイサーを吹きかける

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※サーフェイサー:下地塗装をしている図

⑤組み立て、全体像を確認しながら凸凹をきれいにやすりを掛ける

⑥塗装、墨入れ、シールの貼り付け

⑦トップコートで仕上げを行う
(トップコート:ガンプラをきれいに保つ透明のスプレーを吹きかる)

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こういった流れの中で、分解、組み立てを繰り返し、全体像を確認しながらガンプラを洗練させ製作していきます。


イテレーションとは

恐らく多くの現場で、POと開発メンバーの隔たりがあると思います。こういった状況の中でどうやったら完成形に短時間でたどり着けるのか?といった解が、「イテレーション」にあります。

イテレーション、つまり反復ですが、反復して開発が進むということが、アジャイル開発をしたことがない人は理解できないと思います。イテレーションがわからない人が、ユーザストーリマッピングを無理なく作れるとは思えませんし、プランニングで納得できるタスク、サブタスクの受け入れ条件が作れるとも思えません。
ここが、アジャイルのひとつの壁かなと、筆者は考えています。

イテレーションでググると、グルグル回った円の図がいろいろ出てきますが、筆者は正直意味が分かりませんでした。
筆者もイテレーションの壁に、はまった1人です。

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(よく見かけるイテレーションの図)

ですが、筆者が所属するアジャイル開発推進の資料をみて、目が覚める思いをしました。

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(イテレーションの図)

これは達成したいことの本質から、最初から価値があり、徐々に洗練されていくということを表しています。この洗練こそイテレーションとなります。

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※因みにインクリメントの場合は上記となり、最初の時点で完成形から遠く、価値がない。

ガンプラの制作工程って、イテレーション

恐らく、ガンプラを作ったことがない多くの方が想像するガンプラ製作は、インクリメントだと思うのですが、実際は徐々に洗練させていく、イテレーションとなります。

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最近のガンプラって、素組だけでも十分カッコイイので、素組して、墨入れ、シール張って終わりという簡単フィニッシュで終わりという方もいると思います。

ですが、簡単フィニッシュではなく、ジオラマ、ウエザリング、メタリック塗装、パール塗装と、こだわりを持って製作を行おうとするとどうしても、分解、組み立て、全体像を確認という過程を繰り返していくと思います。こうったことを繰り返すことがイテレーションだと解釈できます。

まとめると

1人で製作するガンプラとは違い、チームでソフトウェアを作る現場において、目指すゴールを完全に共有することは非常に難しいと思います。ですが、完成形の共有は非常に大切です。

ですので、アジャイルでは、まず本質(達成したいこと)を共有し、完成形イメージの理解度を上げることと、モノが仕上がる製作を同時に行い、触れる状態から作りこんでいきます。

アジャイルマニュフェストのこれですね。

包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを 
/ Working software over comprehensive documentation

ユーザストーリでは「状態」をどんどん条件に加えていくようなことをすれば良いと思います。そういったことを受け入れ条件とし、徐々に作りこむように開発を進めるということで、無駄なく完成形が出来上がるので、無理にイメージの共有(ドキュメント作成)に時間をかける必要はありません。(この部分はQA泣かせではありますが。)

触れない、もしくはイメージのできない仕様書を必死になって作成し、あとは進捗確認を行うとか、プランニングもレトロスペクティブもなく開発が進んでいってしまうと、モビルスーツに足がないからと言って不完全な機体と勘違いし実戦投入せずに、開発者から、"あんなもの飾りです。お偉い方にはそれが分からんのです。"と愚痴られるという結果になります。

”あんなもの飾りです。お偉い方にはそれが分からんのです。”

これは、ガンダムの最終決戦、宇宙要塞ア・バオア・クーで、完成度80%の状態であったジオングを押し付けられたシャアに対して、整備兵が言った、ガンダムの中でも有名なセリフです。まだ上腕の装甲と脚部一式が取り付けられていない状態だったので、ジオングを上層部は重要視していなかったが、すでに機体としての性能は100%出せました。

イテレーションが良くわからないPOの方は、是非、ガンプラを作ってみてイテレーションを体感して欲しいと思います。(最近、RGのジオングが発売されたので、リアルにジオング整備士になれますよ。)



※当投稿の画像は、駆け出しアジャイルQAエンジニアのみーにさんに作成いただきました。ありがとうございました。


アジャイル開発支援 | ソフトウェアテストのSHIFT
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執筆者プロフィール:日下部 聡久
SEやらプログラマなどを経験、ITバブルの時期に起業なんかを経て、自社サービスの会社で開発周りの業務をいろいろこなし、SHIFTへ。SHIFTではアジャイル開発の案件のQAチームの構築やら、スクラムマスターを行っている。そこそこ、いい年齢のおっさんなので、後輩の育成を行いつつ、アジャイル開発におけるQAとはどうあるべきかを妄想中。
スポーツが得意そうに見えるが、ただのオタク。

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