《4回目》CATの原点と機能開発の変遷|CATが機能を開発する上で大切にしているものとは?
こんにちは。CAT推進グループ・石井優でございます。SHIFTでCATを専任で開発している本グループ内にて、ユーザーサポート・要件抽出などを担当しております。前回に引続き、弊社のテスト管理ツール「CAT」について機能開発の変遷のお話をいたします。
CATとは
現在SHIFTが提供するCATとは、テストの実行管理に主眼を置いた、正式名称「CAT TCM(Test Cycle Management)」という製品を指します。ケースと実行結果・エビデンスの管理、およびプロジェクトの進捗管理や品質分析を担うツールです。詳しいご紹介はぜひ製品HPをご確認ください。
[CAT製品HP]
前回までは、2019年の中期まで、幅広いフェーズ・運用に対応できるようになるまでの話をしました。
販売を開始した2015年では、単体テストに近い結合テストフェーズでの利用を想定したツールとして開発していました。
これに対して、2019年の中期あたりのアップデートでは、外部結合テストフェーズや総合テストフェーズなど、リリースに近いフェーズでも活用可能なツールに仕上げていきました。
このあと、2019年後期からは、これとはまたひと味違うテーマに取り組んでいきます。
テスト管理機能を再度ブラッシュアップする(2019年後期~2020年中期)
CATの機能を企画・開発する際、大きく「テスト管理」「課題管理」「進捗管理」「分析」などサブシステムごとに以下のような点にも気を配って開発しています。
• いつごろ開発されたのか
• 開発された当初から改善されていない機能はないか
ひとつの機能を開発する際、「開発する時期に求められている課題」に対応するために設計します。反面、これまでご紹介したとおり、利用するユーザーの性質やフェーズは変化していきます。そうすると開発時点ではうまく使えていたものの、その後「もう少しこういう機能がほしい」という点が出てきます。
ですので、「開発された当初から期間が経過し、手を入れられていない機能」について改良する余地がないか?他の機能と比べて古臭いUIやワークフローを提供していないか?新しいユーザー層にて不足はないか?という点を常に確認しています。
2019年後期、その点を考慮して次に挙がったのが「テスト管理機能」でした。
最後に改良したのが2016年から2017年にかけて。既に3年ほど経過しています。その間に少し不足が目立ってきた点を改善し、以下のような機能をリリースしました。
テスト仕様書の項目を課題起票時に転送する機能
テスト実行時に発見して不具合を登録する際、「テストケースの値をそのまま起票できれば楽なのに」そう思ったことはありませんか?
連携フィールドという機能で対応し、テストケースの内容を課題に転記することができる様になりました。
これは起票の手間を低減するだけではなく、不具合分析の面でも有効です。各個別のフィールドに入力された値を集計することで、観点毎の不具合数の発生などを確認できるようになります。不具合分析の元データを正しく収集するために、重要な働きをする機能が必要と考え、搭載しました。
異なるテストケースをハイライトする機能
スプレッドシート形式でテストケースを表現する場合、上のセルと同様の値を連続した下のセルに入力することがあります。この場合、連続したセルに似た異なる値が入力されている場合、テストケースを読む際に同じ値かどうかを判断することが難しくなります。
この状況で視認性を向上するため、上のセルと値が同じだった場合、グレーアウトし、異なる値のみをハイライトする機能を搭載しました。
テストケースの装飾
意外と未対応であったのがセルの色付けや強調表示といった装飾機能。表示ライブラリのカスタマイズや、内部のデータの持ち方において実装の難易度が高く、これまで着手タイミングが難しかった機能です。
実装範囲を、セル単位での装飾(セル内の一部の文字のみ装飾をすることはできない)とすることで、実装面での複雑度を下げるとともに、実用的な機能として仕上げることができました。
各ケースへの添付ファイルのドラッグアンドドロップ
OK・NGの結果セルごとに添付ファイルをアップロードできます。これをドラッグアンドドロップの操作ひとつでできるようになりました。
ケース検索結果でのセル内容の表示
従来、プロジェクト内のケースを検索した際、ケースの内容を確認するには該当の仕様書を開く必要がありました。検索結果でケースの内容を表示することで、どのケースでNGが出たのか?などを確認できるようになりました。
見た目上、単純な機能ではありますが「本日NGになったテストケースはどのようなケースなのか?」「予定日が今日であるが未実行で残っているものはないか?」といったテストの運用に活用でき、日々の進捗確認のしやすさ等に大きく寄与します。
テスト仕様書一覧のフィルター共有機能
テスト仕様書の一覧は、テスト仕様書に付加された情報(工程・レビュー状況・進捗状況・担当者など)を利用してフィルタリングやグルーピングができます。例えば工程でグルーピングすると工程ごとの進捗を簡易に確認する、といった使い方ができます。
このフィルタリング条件やグルーピング条件をプロジェクトメンバーに共有し、プロジェクトメンバー全員に同じ情報を見るように設定できるようになりました。
再テスト分の予定・進捗管理の実現
リリース時の出荷テストの際、NGとなったケースの他に、関連のあるテストケースも含めて再度テスト計画をたてることができる様になりました。
進捗グラフからも、テスト実行中にかさんだテストケース数がどれぐらいあるかという点も確認できます。
グループ単位のテスト予実を管理する機能
本番リリース直前の総合テストなどのフェーズでは、テストの担当を「サブシステムの開発を担当しているチーム」といったグループに割り当てることがあります。そしてグループごとに予定件数はどれぐらいか?実績はどれぐらいか?といった進捗情報を読み取っていきます。
従来、CATでは個人のユーザーを担当者として立てていましたが、本機能を利用することでチームごとの進捗をグラフィカルに確認することができるようになりました。
この時期ではテスト管理ツール「CAT」の中核機能であるテスト管理機能をアップデート。管理面の機能だけでなく、テスト実行をもっと手間なく行う現場に沿った機能に仕上げました。
CATの機能検討には「進捗や品質分析の元となる情報を、どうすれば現場が無理なく入力できるか」という点にもフォーカスしています。
プロジェクトに関わる現場のメンバーにも使いやすいツールを目指す。これが正しい情報の可視化、品質の課題の早期発見に繋がり、最終的にプロジェクトの品質を向上していくことに繋がると考えています。
それともう一つ思うことがあります。
それはCATを日々利用していただけるユーザーさんの存在。機能を設計する際、ご要望や、ディスカッションした内容を元に現場の課題の仮説検証、機能への反映を行っています。
正直、開発チームのメンバーだけですべての機能を考え、設計・開発すると「どうだ、これ使いやすいだろ!」といった感じの使いづらいオレオレ機能が出来上がります(笑)。そういった面で、多くの方に使っていただけることや、現場の課題の情報をキャッチする機会をいただけることに対して、非常に有り難く感じております。感謝申し上げます!
おおっと、時間というものは残酷なものですね~。
長く語りすぎて終わりの時間が迫って参りました。
このあとは2020年後期から現在のまでの話。
つまりは「CATは今何を見ているのか?」という話です。
この話はまた次回!それではまた~。
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■シリーズバックナンバー
《3回目》大規模かつミッションクリティカルなプロジェクトで求められる機能とは?
《2回目》基礎固めから開発フェーズとの統合へ
《1回目》CATの原点と機能開発の変遷
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