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SHIFT Game Producer Meetup #20 世界王者が語る!ゲーム開発におけるあなたの知らないモーションキャプチャーの世界!


はじめに

こんにちは!SHIFTエンターテインメント業界ウェビナー担当の高木です!

今回で20回目(👏🎉)となる、ウェビナー「SHIFT Game Producer Meetup #20 」では、ゲームタイトルのモーションキャプチャーの大半を担う活劇座代表の古賀氏、プロトリッキングパフォーマーのDaisuke氏、トリッキング世界王者のReiji氏をお招きし、1LDK 朝岡 氏をファシリテーターに対談を行いました。

一部分ではございますが、その様子をぎゅっとまとめてお届けします!

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テーマ:モーションキャプチャーとは

活劇座 古賀氏:モーションキャプチャーという技術は、人とかモノの動きを特殊な機材を使って立体的に計測して、データとしてコンピューターに取り込むものです。

今はゲームとかアニメで主に使われていますが、元々は医療とかスポーツとか運動生理学とか研究の場で、人体の動作の解析とか工学的な用途に使われていたのを、エンターテインメントの業界でまずゲーム業界が取り入れたのですよね。

1LDK 朝岡氏:ここで、ストリートファイターのモーションキャプチャー映像を公開したいと思います。こういう動画って外に出たりするのですか?

活劇座 古賀氏:基本、僕達って普段は表に出ない仕事なのですね。自分達から発信しようとしても契約が厳しくてなかなか言えないんです。だからレアですね。メーカーさん、オフィシャルで出してくれるのはかなりレアです。

―ここでストリートファイター6のジェイミーモーションキャプチャー映像をご紹介いたしました。

1LDK 朝岡氏:キャラクターぽい手の動かし方とか、そういう「キャラクターを落とし込む」みたいなことはアクターとしては重要だったりするのですか?

活劇座 古賀氏:まさにおっしゃる通りで。ただ動くのではなくキャラ性を入れていくのですよね。空手使いのキャラクターがいたとしたら、正しい空手の動きよりも「そのキャラクターが空手をやったら」という部分が、やっぱり演技の部分や個性というのをキャラクターに付けていかなければいけないので。ただスポーツの優秀な人を連れてくればすべて撮れるというわけではないんです。

1LDK 朝岡氏:アクターとして「ここが大変」みたいなことってありますか?

Reiji氏:求めているものが現実世界で結構ハードなものだと、可動域が問題になってくるんですよ。どれだけそこに近づけるかというのを、自分の技術を信じながらやっていくという上で、すごく限界を突破するのってハードなんですよね。難しいところばかりで、慣れていない。

Daisuke氏:「こんな風な技にしてほしい」という要望と、自分達の引き出しが合わないことが多くて。簡単な図面や参考画像を見て自分の引き出しから出すのですけど、そこのすり合わせがちょっと難しいなという。

―ここで「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のモーションキャプチャー映像をご紹介いたしました。

活劇座 古賀氏:映像でラージャンを担当していた杉原くんは今日本で一番売れていると思いますね。アクターで。ウチの社員としては13、14年やってもらっているのですけど、

1LDK 朝岡氏:人間じゃない動きをやるのってダントツで難しい感じが僕はしたんですよね。ちなみに「これは無理でしょ」という仕事ってあるんですか?

活劇座 古賀氏:なんとかしてやっていますね。工夫と、あとアニメーターさんの後作業で編集することも一緒に考えながら、「こういう素材があればできるね」とか。

1LDK 朝岡氏:1回どれくらいかけて撮影するんですか?1人のアクターさんの負荷がやばいなと思って。

活劇座 古賀氏:多いものだと、とある大作で敵キャラクターを担当した時は、その敵キャラが複製されて色々なところに出てくるのですけど、1キャラで4000種類のモーションを持っているのですよ。1日70くらい撮ったりして、3~4年。月に2~3日かけて作ったとか。

1LDK 朝岡氏:古賀さんがモーションキャプチャーの第一人者、かなり初期からやってらっしゃると思うんですけど、何故やろうと思ったのですか?

活劇座 古賀氏:僕はモーションアクターを目指したわけじゃないのですよね。顔を出してアクションスターを目指していたんです。その間に仕事の一つとしてモーションキャプチャーに携わったのですよね。正直お金がよかったんですよ。普段の仕事の2~3倍。そこでここ大事にしたいな、と思って。気持ちがモーションキャプチャーに向いていく。

海外で1年ぐらい仕事をしている時期があって、取材に来ていただく時に、「日本でどんな仕事をしていたのか」って聞かれて。ウルトラセブンシリーズやVシネマなどのキャリアはあまり反応が良くなかったんですが、僕が鉄拳の話をしたらすごく食いついてきて。それの話を聞きつけてまた取材が来る。モーションアクターって意外と誇れる仕事なのではないかと思って、意識が変わってきたのですよね。

1LDK 朝岡氏:日本にモーションアクターをされている方って何人ぐらいいらっしゃるんですか?

活劇座 古賀氏:モーションアクターを職業としてやっていて、しかも何年も食べていけている人って10人ぐらいですかね?

1LDK 朝岡氏:え!? そうなんですか?

活劇座 古賀氏:俳優として活動しながらやっている人はいるのですけど、モーションキャプチャーを専業でやっていて何年も食べていけている、僕が思うプロというのは10人くらいじゃないですかね。

1LDK 朝岡氏:モーションキャプチャーって「実はこういう使われ方を結構している」ということがあったら教えていただけますか?

Daisuke氏:動きがデータになるという点がすごく面白いですよね。モーションキャプチャーをやるまでは自分達はその日限りのパフォーマンスでお金を頂いていたのですけど。 それってその日その瞬間にでしか披露できないものなんですが1回自分が出したモーションがデータになり半永久的に動きを色々なところに提供できるという部分で、この後のデジタル化が進んでいるところが気になってはいますね。

活劇座 古賀氏:人間国宝の方の動きとか、ベテラン作業員の方の動きとかをデータ化したりして、新人の方の動きと比べたりして、視覚化してアドバイスに使ったりとかもありますね。あと土地に伝わっている踊りや舞を残しておこうとか。

1LDK 朝岡氏:最新のモーションキャプチャー技術ってどういうものがあるんですか?

活劇座 古賀氏:今、指も綺麗に動きが撮れるとか。昔、指は手付けのアニメーションだったんです、今はモーションキャプチャーで撮れるので。あとは表情の技術。フェイシャルウェアという、よくテレビのバラエティで頭にカメラを付けて、タレントさんの顔を映しているような。役者の顔を動画で捉えて、顔の動きをキャラクターに反映させることができるのですね。

そのため台詞とかも声優さんの台詞と一文字でも間違えるとNGが出るようになっちゃって。昔は顔を撮っていないので、喋っている尺感が合っていれば…

1LDK 朝岡氏:今後、古賀さんの会社の方針としてはどういう風に考えていらっしゃっているのですか?

活劇座 古賀氏:僕も含め周りの人間がもう、40~50代なので。次の世代を探して育ててという感じなのです。求められることがどんどん複雑に難しくなってくるのですよね。昔だったら僕達のアクションをやっている人が対応できるような内容だったのですけど、やっぱりDaisukeさんとかReijiさんのような、アクロバットの専門家のお力を借りて共存していかないと、もう役者のスキルとかスタントマンだけのスキルでは、専門家とコラボレーションしていかないと難しくなってきていますね。

1LDK 朝岡氏:そういう時にトリッキングというか、スポーツジャンルが活きてくるというような感じなんですかね?

Daisuke氏:トリッキングは武術ベースなので。例えばモーションを撮る時とかって戦うシーンが多いのですよね。そうなると武術上がりのトリッキングは結構相性が良くて。Reijiとかアクションも含めて練習しているので、さらにそちら寄りに演技できる。既存のメジャースポーツだったりすると、ある程度動きの幅が決まっていて、新しい技が生まれるとかって滅多にないのですけど。日々個々人がSNSを通して新しい技を生み出しているので、供給に間に合ったりするのですよね。

―ここで視聴者の方から質問を頂きました。

「女性キャラクターは女性が担当するのか、あるいは小柄な方が対応するのか?」

活劇座 古賀氏:女性らしい動きってやっぱり女性にしか出せないのですよね。 女性のキャラクターを2体表示させておいて、アクターは片方男性で片方が女性で「どっちが女性でしょう」みたいなクイズをやるのですけど、男性の目は結構騙せるのですよ。でも女性は「これ男じゃない?」ってすぐ見破っちゃうんです。

でも、女性の動きも男性がやることはあります。ちょっと筋肉質で勝気なキャラクターだと、男性がやった方がマッチングする時はやりますけど。女性じゃなきゃいけないところは女性がやって。外国人のアクターを使った方がいいところは外国人を使うとか。子役を使った方がいいところは子役にやってもらって。肉体の重量感とか年齢って結構出るのですよ。

テーマ:今後の展望

Daisuke氏:トリッキングは自分がゲームから始めたということでゲームにすごく恩を感じていて。この先もトリッキングがモーションの世界の中で活躍できるような世界にしたいのですけど、その時に「第一人者かな」と呼ばれるぐらいの位置にいられたらいいなとは思います。

モーションの中でいうと新しいことをやっていきたいと思っているので、今後、古賀さんのお仕事の姿を近くで見ながら「トリッキングってこんなのもできるかな?」とか考えていけたらなと思っています。

Reiji氏:僕はアクション俳優をやっているので、将来何かの格闘技ゲームで自分のキャラクターが出たら、それを自分がモーションキャプチャーしてみたい、できたらめちゃくちゃ面白いなとか思っていますね。

活劇座 古賀氏:僕はモーションアクターというお仕事に光を当てていきたくて、今でいう声優さんのようなポジションになれないかなと思っていて。なので、今、契約上言えなかったりする因習をどんどんほぐしていって「実は人がやっていたのだよ」って言ったりすると、感動されたりすごいって言ってもらったり喜ばれたりするので、

それこそDaisukeさんとかReijiさんの撮影風景もすごいですから。面白いし格好いいし、パソコンでポポッと作れているのかなと思うと「いや実は人間が汗かいてやっているのだよ」というのもお客さんに見せて。メジャーな職業の一つにしていきたいなとは思っていますね。

声優の仕事が確立されたように、モーションアクターという仕事も確立されながら、裏方だけれども光を当てることもできる、夢がある土壌にしていきたいなと思います。

―最後に登壇者のみなさまに一言頂きました。

Reiji氏:今回このようにモーションキャプチャーの世界を語りながらトリッキングをこうして皆さんにお届けできるというのはものすごく珍しい機会であって、僕自身もすごく楽しくお話できました。本当に今日はありがとうございました。

Daisuke氏:貴重な機会を、貴重な古賀さんという方と一緒にできて嬉しいです。古賀さんのモーションアクターが表に出るというのは、この先絶対に実現可能だと思うので少しでもお手伝いできればと思っております。本日はありがとうございました。

活劇座 古賀氏:このような機会を与えてもらってありがとうございます。声をかけてくださったDaisukeさん、Reijiさん、本当にありがとうございます。ご覧いただいている方も、ゲームのキャラクターが動いているのは「あ、これひょっとして人が汗かいてやっているのだな」と、ちょっと頭の隅に置いて見てもらえたら僕達も浮かばれます。よろしくお願いします(笑)。

―ここでトークセッションも終了。

いかがでしたでしょうか?今後も「SHIFT Game Producer Meetup」を開催してまいります。ご期待ください!

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執筆者プロフィール:高木 真愛
WEB広告代理店で営業・広告運用を経験し、その後はしばらく接客業にて奮闘。現在はSHIFTにてセミナー運営、バックオフィス業務、SHIFTnoteのライターを担当。

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