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システムアーキテクト試験の勉強法と試験体験記


初めに


こんにちは。株式会社SHIFT DAAE部のさとうです。

令和6年度春期のシステムアーキテクト試験を受験し、初挑戦で合格することができました。 今回は試験について振り返りながら、試験の勉強法について共有したいと思います。

次回のシステムアーキテクト試験を受験される方にとって参考になれば嬉しいです。

システムアーキテクト試験について


IPA(情報処理推進機構)が定める本試験の対象者は次の通りです。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導する者

試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4部で構成されており、9:30〜16:30までの長丁場となっています。

私自身について


普段はプログラムを書いている人間です。一応ウォーターフォールにおける一通りの工程は経験していますが、経験としては少ないです。 また、他の高度情報処理技術者試験ではプロジェクトマネージャに合格しています。

もし良ければ過去に作成した記事もご覧ください。

システムアーキテクト試験を受験しようと思った理由としては、AWSのソリューションアーキテクトの資格を保持していたため、同じ「アーキテクト」と名がつくのであれば、関連性があり問題の内容も似ているのではないかと考え、合格し易いのではと思ったからです。 実際にはあまり似通っていませんでしたが、システム全体の構造を理解し、各システム間の関係性を把握することの重要性は共通していると感じました。

学習期間


学習期間としては約2ヶ月設定しました。

平日は1日1時間、休日は2日合わせて3時間、1週間で約8時間勉強することを心掛け、最終的には約70時間ほど勉強することができました。

対策


午前Ⅰ・午前Ⅱ

30問選択式の問題が出題され、60点以上が合格になります。 私の場合、午前Ⅰは免除で受験することができたため、午前Ⅱのみシステムアーキテクト過去問対策でお世話になりました。 午前Ⅰ・午前Ⅱは選択式ではありますが、問題のジャンルが幅広く、応用情報を受験した時から忘れてしまった内容が結構あり、たまに応用情報のテキストを振り返って復習していました。

ただ、午後Ⅰ、午後Ⅱの方が優先度が高いため、上記のサイトで全ての年度の過去問を1周して、不正解だった問題を再度解き、本番に臨みました。

午後Ⅰ

問1〜問3の中から2問選択し、60点以上が合格になります。 私は情報処理教科書 システムアーキテクト 2023~2024年版を利用して過去問を解き、問題に慣れました。 過去5年分を1周し、間違えたところのみ2周目を行いました。

個人的には午後Ⅰはプロジェクトマネージャ試験と比較してやり易かったと思います。 問いに対する答えは必ず問題文中にあるため、キーワードを探し出しさえすれば解答ができるためです。

午後Ⅰを解答する上で以下のことを気を付けるようにしていました。

  • 時系列の問題については苦手だったため、前後関係やステータスの遷移を意識してメモするようにする。

    • 作業前と作業後ではステータスがどのように変化するのか(「受付」から「作成中」に遷移するなど)、その変化にどのシステムが関連しているのかを把握するよう心掛けました。

  • データの取得元を明記する。

    • 「データをどのファイルから取得しているのか?」という問題や「データをどのように取得しているのか?」という問題が多かった印象です。

      • 前者の問題では、データの取得元が答えのため明記するのは当然ですが、後者の問題でも明記するよう心掛けました。

      • 後者の問題でも解答に明記されていた印象があり、文字数制限のある午後Ⅰにおいて文字のかさ増しを行う意味でも効果的です。

選択する問題について、過去問を解いた結果、問1〜問3の難易度の差を感じなかったため、問1〜問3のどれを回答するかは当日判断することにしました。

午後Ⅱ

問1・問2の中から1問選択し、Aランクが合格になります。 こちらも情報処理教科書 システムアーキテクト 2023~2024年版を利用して過去問を解きました。

プロジェクトマネージャ試験と同様、実際に制限時間を設けて解いたことは1回もなく、解答に必要なテンプレートを充実させることに注力しました。

解答に必要なテンプレートとは案件の概要や目的などをまとめたものです。このテンプレートを作成しないと不合格になるようなので必ず作成します。

今回は過去に参画した3案件を基にしてテンプレートを作成しました。

テンプレートによって以下の問題パターンに対応できるようにしました。

  • テンプレート①

    • 新規システム開発

    • PoCを活用したシステム開発

    • システムテスト

  • テンプレート②

    • 既存システムに対する機能追加

  • テンプレート③

    • アジャイル開発

    • データ活用

また、今までの開発経験の棚卸が大事です。振り返ってみると「あ、そういえばこんな経験していたな」と思い出し、論文に活かすことができると思います。

午後Ⅱにおいて個人的に難しいと思った点は、開発経験がないと全く書けないことでした。 プロジェクトマネージャ試験ではある程度想像やあるべき論を書くことでまとめることができましたが、システムアーキテクト試験では実際の開発経験がないと書けないような問題が多かったです。

例えば業務ソフトウェアパッケージの導入の過去問については、導入経験がなく、まったく論文のストーリーを自分の中で構築できませんでした。

そのため、年度によっては問題によって運悪く何も書けないということも全然あると思いました。

その場合に備えて、他の人が経験しているプロジェクトに対して、自分だったらどのように対応するかを考え、どの点が苦労し、どう解決したかを聞いてみることが割と大事なのかなと思いました。

そうすることで自分の知見が広がり、今まで経験したことのないプロジェクトにも対応できるのではと考えました。

試験当日


前回プロジェクトマネージャ試験を受験した際には時計を忘れてしまい、時計を購入するまで精神的にとても苦しかったことから時計を忘れないことを第一に考えました。 時計は忘れませんでしたが、今回は大学での受験であり、教室に時計があったため忘れてもなんとかなりました。

最初は午前Ⅱからだったのですが、余裕を持って解答することができました。

お昼休憩後の午後Ⅰは問題を見て、問1が苦手なジャンルであったため、問2,問3を選択しました。ただ解答に思ったよりも時間がかかってしまい、本来であれば問2は45分で解く必要があったのですが、50分かかってしまい、とても焦りました。 問3を急いで解いたのですが、時間が足りなかったこともあり、1〜2問解けなかった問題がありました。 試験前は割と午後Ⅰは自信があったのですが、まさかの時間が足りなくなってしまい、とても悔しかったです。

最後の午後Ⅱは問1では生成AIやRPAを用いた業務経験に関する問題が、問2ではバッチ処理の設計を担当した業務経験に関する問題が出題されました。(出典:令和6年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問1、問2)

過去にRPAの案件を1年ほど担当していたのですが、論文に書けるようなネタはなく、選択するのはリスクがあったため、問2を選択しました。 バッチ用のテンプレートは用意していなかったのですが、現在担当しているプロジェクトでバッチを実装した経験があったため、テンプレートの内容を修正しながら書いていきました。

論文にはテックリードの方からご指摘頂いた内容を色々と盛り込みました。特に「エラーが発生しても処理を継続させるためにどのような仕組みを組み込んだか」の問いについては、テックリードの方から何度もご指摘頂いた箇所であったため、「あーこんな指摘もらったなー」と実装当時のことを思い出しながら書いていました。

現在担当しているプロジェクトで記憶が鮮明だったためスラスラ書くことができました。時間が15分ほど余ったため内容を付け加えたり、細かい点を直すことができました。 正直午後Ⅱについては手応えを感じていました。

感想


午後Ⅰで思いの外時間が足りなくなった以外は特に問題が起きずに終わることができました。

合格発表まで正直なところ不安でしたが、合格とわかり安堵しました。

今回の試験を通じて、今まで経験した仕事の棚卸しを行い、自分の経験を見つめ直すことができたのは良い機会でした。 そして、今まで仕事で経験した内容を踏まえて試験に合格できるような解答を作り出すことができたことが1番嬉しかったです。今まで経験したことは無駄じゃなかったと思うので、これからもお仕事を頑張っていきたいなと思いました。

また難易度については、プロジェクトマネージャ試験よりも易しい印象がありました。

そのためネット上にある高度情報の受けるおすすめ順の通りに受けた方が受かりやすく、ステップアップしている実感が伴うので、その通りに受けるのがおすすめです。

以上が私の試験体験記です。参考にしていただければ嬉しいです。

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執筆者プロフィール:さとう
DAAEテクノロジーグループ所属の開発エンジニアです。

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PHOTO:UnsplashJohn Vid