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アジャイル開発お悩み相談会Vol.14「初めてプロダクトバックログを作成するけどどうしたらいい?」アジャイル開発未経験者が参加してみた

はじめに


はじめまして。(株)SHIFTのQAエンジニア、野口と申します。

さて、SHIFTでは社外の方も参加いただけるオンライントークイベントとして、現場で活躍するアジャイルコーチ、スクラムマスターが、参加者からの質問に対しパネルディスカッション方式で解答する「アジャイル開発お悩み相談会」を開催しています。 現場の生の声を聴くことができるイベントとして、毎度ご好評いただいているイベントです。

私はIT未経験でSHIFTに入社し、そろそろ半年が経過するのですが、アジャイル開発は研修のグループワークで実施したのみで、まだ現場での経験がありません。 アジャイル開発に対する自分の中での解像度を上げたい、という思いから、相談会への参加を決めました。

今回は、2024年6月5日開催にされたvol.14「初めてプロダクトバックログを作成するけどどうしたらいい?」に参加しましたので、レポートしたいと思います!


アジャイル開発お悩み相談会Vol.14「初めてプロダクトバックログを作成するけどどうしたらいい?」


イベント概要はこちら

パネリスト

  • 三品正人

  • 佐々木 孝博

  • 金子 碧

ファシリテーター

  • 信國 絢一

ファシリテーターの進行のもと、アジャイル開発、スクラムの活動経験豊富な3名のパネリストが、ディスカッション形式で視聴者からのお悩みを解決していく方式でした。

導入


相談会の導入として、まず視聴者に対する問いかけが行われました。
「今回終わったとき、何を持って帰りたいですか??」

こちらは、アジャイルお悩み相談会の冒頭で毎回行う問いかけとのことです。勉強会に参加したとなると、参加しただけで満足してしまいそうなところ(少なくとも私はそういう部分があります・・・)ですが、開始時点で何を考えていたか→終了時点でどうなったか、という変化を感じられる仕組みになっています。

この問いかけに対して、視聴者からのチャット欄では、

  • プロダクトバックログ作成のコツ、作成方法、考え方

  • プロダクトバックログリファインメントの勘所

  • PO(プロダクトオーナー)に良いプロダクトバックログをかいてもらうには!?

といったコメントが寄せられました。

こうして見てみると、作り方自体の基礎的な部分に関する悩みから、実践する中で生じてきた悩み、というように、参加者のお悩みの段階も様々であることがわかります。

質疑応答

続いて、視聴者から寄せられたお悩みに対して、パネリストが回答していくディスカッションタイムです。事前質問に加えて、視聴中にもチャット欄に続々と質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。

ここでは、特に印象に残ったものを紹介します。

ステークホルダーからの様々な要求に、適正な優先順位をつけるにはどうしたらいい?

  • その要求の背景について深堀することで、要求がプロダクトに与える影響を考えてみる。

  • 狩野モデルを指標に考えてみる(プロダクト品質を5つに分類し、顧客満足度を向上するには、という観点で、優先度を考える手法。※1)

  • ステークホルダーの要求は「全て受けなくてはならない」ではなく、リソースは限られているのでトレードオフ(何か優先度を高くすれば、別の物の優先度が下がる)が必要。

私自身グループワークで、ステークホルダーの方からの要求を捌くのは大変だ、と感じる場面があり、実際の現場ではもっと、思いもかけないトラブルが起きたり、無理難題を要求されたりすることもあるだろう、と想像していました。

ただ受け入れるのではなく、その要求の背景を探り対処を考える。そもそも、全て無理に受けるのではなく、優先順位を調整するなどして、本当にやるべきことを見定めて処理できるようにする、という攻めの姿勢が大切、というのは少し意外で、現場をうまく回すための重要なポイントだと感じました。

※1 狩野モデルについては、SHIFTグループのSHIFT ASIAのブログにて、より細かく紹介しています!

ブログ)出典:SAブログ編集部_SHIFT ASIA_狩野モデルから探る品質のあり方とは
SHIFTASIAブログ「狩野モデルから探る品質のあり方とは」


初めてのスプリントで、見積もりのつけ方はどうすればいい?(そのチームの作業量など、まだ見通しがつかない状態で)

  • 最初はわからなくて当然なので、ざっくりと決めた上で、まずは一度やってみて、その後また考える。

  • (サブタスクにも見積もりを付けるとして)時間を目安に、1日で終わる粒度で考えてみる。「1日で終わる目安だから、毎日何かしら進展があるはず」という観点で、管理もしやすくなる。

いざ見積もりをつけてみよう、となると、チームメンバー同士で顔を見合わせてしまう、という経験をしたことがあります。 最初はわからなくて当然、という言葉に少し安心するとともに、まずはやってみた後でまた考え直す、という進め方はアジャイルらしいな、とも感じました。

プロダクトバックログの価値を決める上で、主観に頼るのが怖い。何かよりどころにできるものはないか?

  • POは常にそういった不安と向き合うことになる立場。

  • 自信を持てない、何かあったときに責任をとれない、というところからの怖さだと思う。自分で根拠づけとなる資料を探してみる、などすると不安は解消できるのではないか。

  • 最終決定はあくまでPOだが、チーム内で意見を募った上で考えて、価値を決める分には問題ない。

  • 失敗が怖いからこそ、短いスプリントでリスクを減らして試すことができる、アジャイル開発なのではないか。

プロダクトバックログの作成はPOが主体となって取り組むものであり、もしも判断に困ることがあれば、POに決めてもらおう!という意識でグループワークの際に取り組んでいた記憶があります。

しかし、POは決定権を持つからこその不安と向き合う立場なのだ、という認識を持って、チーム全体でプロダクトバックログを作り、まずはやってみて、改善する!という姿勢で取り組むことが大切だと感じました。

プロダクトバックログの作成に生成AIの活用は有効か?

  • AIの作成したプロダクトバックログは鵜呑みにできるものではない。提案ツールとして活用するのはありだと思う。

  • AIが作成したプロダクトバックログに、POの意思が反映された形になっているのではあればよいのでは。

  • チーム内に共有する前に、内容をより練るための壁打ち相手として、活用してみてもいいかも。

  • SM(スクラムマスター)がPOから聴取した内容をもとに、AIにプロダクトバックログを作成させてみる、という使い方もできるのでは。

プロダクトバックログの作成にもAIが導入できる!ということは考えたことがありませんでした。 しかし聞けば聞くほどに、アイデア出しはAI、肝心な判断する部分は人間が担う、というAIの活用パターンに、プロダクトバックログの作成は綺麗に当てはまる!と感じました。

また、SMがプロダクトオーナーに対する支援ツールとして使う、というのは、SMの仕事ぶりが少し見えたようにも感じました。

期待値に対するコメント

最後に、冒頭の「今回終わったとき、何を持って帰りたいですか??」という視聴者からの期待値に対して、アドバイスが寄せられました。

リファインメントの勘所

POと開発者との認識が一致しているか。 次のスプリントで実施しそうなプロダクトバックログアイテムの受け入れ条件の確認、見積もりは終わっているか?

POに良いプロダクトバックログを書いてもらうには?

どこに問題があるのか、まずは正直に伝え、直してもらうことから。SMは、建設的な場となるように支援する。

アジャイルお悩み相談室に参加してみて


社内外に向けたイベントとのことで、現場での活動経験がない私でも内容についていけるだろうか?という不安が、開始前にはありました。

実際に参加してみると、比較的自分事としてとらえやすい質問も多くありました。 まだ実際の開発に携わった経験がまだなくても、少し知識がある方であれば、よりイメージを膨らませることができ、よい経験の場になるのではないでしょうか。

私個人としては、特にSMの仕事ぶりが以前よりもイメージできるようになったように思います。

またパネリストの皆さんは、3者3様、1つの質問に対してより色々な視点、考え方を提起できるように回答をされていて、これは複数人によるディスカッションならではだと思います。 パネリストの方からの回答のみならず、チャット欄でもアドバイスや経験談が様々にあがり、同じような経験、悩みを持っている人がたくさんいるのだな、とも感じました。

加えて感じたのは、現場では「このイベントはこうやらないと」「この成果物はこのロールの人が作らないと」というような定義にがんじがらめになるのではなく、しっかりとコミュニケーションをとりあって、柔軟に対応しているということです。

私としては、これまで座学で学んだ知識、定義の定着を図りつつ、実際の現場ではどのようなことが起きるか?どんな風に対処できるだろうか?という具体的な想像力も持って、学習を続けていきたいと思います。

(次の相談室では、私も質問したいと思います・・・!)

アジャイルお悩み相談室について


アジャイル開発お悩み相談室は、IT勉強会支援のプラットフォーム「connpass」上にて、SHIFTグループのイベントグループ「SHIFT EVOLVE」が配信しているオンラインイベントです。 全体を通してカジュアルな雰囲気で、チャットでの匿名での視聴・質問が可能です。勉強会初心者の方にも比較的参加しやすい形式だと感じました。

紹介できた質問はごく一部です。社外の方にも参加いただけるイベントですので、気になった方はぜひ、次回の相談室に参加いただきたいです! なお、アジャイルお悩み相談室の他にも、SHIFT EVOLVEでは様々なイベントを実施しています。ぜひのぞいてみて下さい。 SHIFT EVOLVE


執筆者プロフィール:野口
紙至上主義が色濃く残る業界に長年従事するも、紙による手荒れの酷さから転職を決意し(1割本音)、2024年1月にIT未経験枠で中途入社。現在はQAエンジニアとして奮闘中。座り仕事による全身のゆがみ解消のため、最近ホットヨガに通い始めた。

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PHOTO:UnsplashTianyi Ma