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VUCA時代に求められる「ビジネスアジリティ」 ~ビジネスアジリティがDXに不可欠、組織を変えると言われる理由とは?~

はじめに

こんにちは。 SHIFTアジャイルコーチの谷川です。
最近、アジャイルに似た、「ビジネスアジリティ」 という言葉を聞くことが増えています。現在は、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しいVUCA (Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)の時代と言われますが、 企業や組織は、ビジネスアジリティを身につけ、絶えず変化する環境に、常に柔軟に、そして素早く適応していくことが求められています。

今回は、この、経営戦略論と組織論とアジャイル開発が融合した
「ビジネスアジリティ」とは何か?
を解説したいと思います。

執筆者プロフィール:谷川 智彦(たにかわ ともひこ)
2023年5月にSHIFTに入社。
組織アジャイル教信者。真剣に組織アジャイルでいきいき、ワクワク、幸せに働くことができ、日本を元気にできると思っている。

「ビジネスアジリティ」とは?

VUCAと呼ばれる不確実で予想困難な時代においては、従来重視されていた「計画遂行能力」に加え、 「環境適応能力」の重要性が増しています。
そして、企業において、ビジネスの環境変化に機敏に対応する能力が、「ビジネスアジリティ」 と 言われています。

#参考 :ビジネスアジリティを推進する組織 「Business Agility Institute」
https://businessagility.institute/domains/overview

このビジネスアジリティは、経営戦略論と組織論とアジャイル開発が融合したものであり、 組織全体での対応が必要になるものです。

たとえばIT部門が積極的にアジャイル開発を取り入れたとしても、 それで組織全体のビジネスアジリティが高まるわけではありません。

むしろ、アジリティの濃淡による部門間対立が生まれてしまうこともあります。このように、ビジネスアジリティは、アジャイル開発だけでは解決できない組織としての 環境適応能力の向上を促します。

また、ビジネスアジリティですが、アジャイル開発の考え方をベースとしているため、 アジャイル開発を知らない、懐疑的な組織については、ビジネスアジリティの促進は難しいものになります。

「ビジネスアジリティ」のベースは「アジャイル」

ビジネスアジリティには以下の要素が含まれます。

  • 市場のニーズをいち早く掴む能力と意志

  • 迅速に意思決定する能力と意志

  • 外部環境の変化に合わせて計画を素早く修正する能力と意志

  • サービス、プロダクト、プロセスを能動的に見直し、更新できる能力と意志

そして、ビジネスアジリティで求められているのは、現場の機敏さになります。
この現場を機敏にするものが、まさしく、「組織アジャイル」 で言われている、「強いチーム」「自走するチーム」 であり、「アジャイルマインド」 を理解した組織全体行動そのものがビジネスアジリティとして注目されているということなのです。

#「組織アジャイル」の詳細は下記を参照。

「ビジネスアジリティ」は言葉としては耳慣れないかもしれませんが、考え方そのものは目新しいものではなく、 経営戦略論、組織論、アジャイル開発の3つの文脈で2000年頃から議論されてきたものになります。
分野ごとに別々に議論されてきていたものが徐々に融合し、大きな潮流となっているものです。

しかし、経営戦略論と組織論から発展した環境適応の理論は、納得感はとても高いのですが実践が難しく、 実践知としての蓄積がまだ不足しています。
一方、アジャイル開発は、かなり具体的かつ再現可能な実践方法が確立され、 しかも部門単位での導入が可能であったため、今やシステム開発手法の主流を担う存在となっています。
そして、アジャイル開発による「IT部門のアジリティ」という具体的な成果により、経営に対して組織全体のアジリティが求められるようになっています。

アジャイル開発は実践から入っているため、現実に対する影響力は非常に大きく、 ビジネスアジリティの実現に向けた具体的取り組みは、 このアジャイル開発の文脈を中心に考えられるようになりました。

SAFe(Scaled Agile Framework)とビジネスアジリティ

現場のアジャイルを社内に展開していく方法として、 大規模アジャイルのフレームワークである Scaled Agile Framework(以下、「SAFe」)があります。

SAFeはもともと大規模なアジャイル開発を実現するためのフレームワークとして誕生したのですが、 少し重厚長大なフレームワークであったため、大きく普及はしませんでした。

しかし、年々進化を重ね、 2020年に導入された最新バージョンである「SAFe 5.0」から、「ビジネスアジリティ」 を中心コンセプトに定めるようになりました。

  1. チームと技術のアジリティ

  2. アジャイル・プロダクト・デリバリー

  3. エンタープライズ・ソリューション・デリバリー

  4. リーン・ポートフォリオ・マネジメント

  5. 組織的アジリティ

  6. 継続的学習文化

  7. リーン・アジリティ・リーダーシップ

ビジネスアジリティの実現のために、SAFeに取り組むという方法もありますが、 SAFeのような重厚長大なフレームワークを取り込むのはそう簡単ではないため、それこそアジャイルに柔軟に考え、必要に応じて必要なところから取り入れていく姿勢がとても大事になります。

そのため、私は、「ビジネスアジリティ」実現のために、「組織アジャイル」展開を推奨しています。

DX推進とビジネスアジリティ

DX推進において、お客様体験の向上がとても重要になります。
そして、このヒントや解決策を持っている、お客様に近い現場が変革の積極的な担い手となってくれるかどうか? が大きなポイントになります。

組織TOPのメッセージに対してどのぐらいの量の意見が現場から出てくるか、それによって 「実現される変化」 は大きく異なります。そのために重要なことが 「カルチャー変革」 になります。
なぜなら皆が忖度している職場や、多様性がない職場では、変化は生まれないからです。

ここに 「ビジネスアジリティ」 が加わると、“変化に適応することが当たり前” になります。トップダウンのビジョンを考慮しながらも、常に外部環境の変化に合わせて戦略、計画、サービス、プロセスが見直されていく状態です。また、新しいやり方を試しながら変えていくことになるので変化の総量が多くなり、かつ、より早く変化を実現することが可能となります。

つまり、変化対応が当たり前になり、多くの意見が現場から上がり、変化しながら前進することで現実世界のお客様体験を向上させていきます。

これは、まさに現場が 「アジャイルマインド」 を理解して、「心理的安全性」 が確保された 「自走するチーム」 になれているからこそできることであり、DX推進には、「ビジネスアジリティ」「組織アジャイル」が必須であることがわかります。

まとめ

今回は、アジャイル開発だけでは解決できない組織としての環境適応能力の向上に向けた取り組みとして、「ビジネスアジリティ」 について解説し、それを実現するための具体的な手法として、「組織アジャイル」 について紹介しました。

繰り返しになりますが、「ビジネスアジリティ」の考え方が多くの企業で定着すると、アジャイル開発を知らない、懐疑的な組織については、ビジネスアジリティの促進は難しいものになりますので注意してください。

ビジネスアジリティを向上させるためには、正しくアジャイルを理解して、アジャイル開発、組織アジャイルを着実に進めることが大切になります!

これにより、企業や組織は、ビジネスアジリティを身につけ、絶えず変化する環境に、常に柔軟に、そして素早く適応していくことができるようになり、DX推進もできるようになります。

SHIFTでは、これらをお客様と効率的に進めるための 「アジャイルコーチングサービス」 を提供しておりますので、ご活用の検討をお願いいたします。

皆さんも、企業文化を大きく変える可能性がある 「組織アジャイル」 に、私たちと一緒ににチャレンジして、「ビジネスアジリティ」 の実現を目指していきましょう。


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