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大切なのは自律を促すこと。障がい者雇用における、長く働ける環境づくりのためのポイント3つ


はじめに


みなさんこんにちは!SHIFTの人事・ビジネスサポート部※の手塚です。

※通称「ビジサポ」。障がい者雇用枠を希望し就業している方が中心となって仕事をしている。詳しくはこちら

私はSHIFTのグループ会社における障がい者雇用のサポートをしています。各グループ会社の担当者と、採用した方との懸け橋になる仕事です。

現在2社をサポートしていますが、その内の1社はサポートを始めてちょうど1年ほど経ちました。入社後3ヶ月時点の職場定着率(※)は100%(対象者9名)で、先に入社していた別の3名についても1年時点での職場定着率は100%と、安定して勤務を続けることができております。
※障がい者雇用枠で入社している方のうち、勤務継続している方の割合

ちなみに、就職後3ヶ月時点の定着率の業界平均は、発達障がいで84.7%、精神障がいで69.9%、1年時点では発達障がいで71.5%、精神障がいで49.3%となっており、業界平均と比較しても定着率が高い状況にあります(出典:「障害者の就業状況等に関する調査研究」2017年、障害者職業総合センター)。

今回の記事では、入社後のビジサポの体制と、私が業務を通じて心掛けていることをお伝えしたいと思います。

SHIFTがこれまで培ってきたノウハウや、大事にしている考え方などのシェアを通じ、障がい者雇用を担当する方々のお役に立てたら嬉しいです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

この記事を読んでいただきたい方のイメージ

  • 障がい者雇用における定着・マネジメント担当者

  • 他の業務との兼務、障がい者雇用を新しく担うことになった方


執筆者プロフィール:手塚
株式会社LITALICOで12年間、児童発達支援、就労移行支援などで教室運営、指導員、支援員などを経験。2024年1月、SHIFT入社。現在はSHIFTグループ会社の障がい者雇用においてマネジメント担当として、業務切り出し、業務実施、チームマネジメントなどを行い、安定雇用に向けて取り組んでいる。

なぜグループ会社の障がい者雇用を支援するのか


私が支援しているグループ会社は2社。
一つは株式会社ホープス、もう一社はALH株式会社です。

元々、両社とも、障がいのある方向けに入社後の体調管理や業務サポートするような専任の担当者はいませんでした。入社者にどう仕事をお願いすればいいのか、どの程度の業務量に調整すればいいのか、体調を崩してしまったらどうしようなどと、さまざまな悩みを抱えていたころです。

そこで、現在SHIFTでは各社が採用した障がいのある方を、SHIFTのビジネスサポート部で受け入れ、日々の体調管理やコミュニケーションなどを私どもの方で行う、といったスタイルで支援を行っています。

もちろんコミュニケーションの内容や仕事の状況などは、各社の担当者に共有・報告しています。最終的に各グループ会社にお戻りいただいた後も、担当者が滞りなく勤務サポートができることをミッションとして行っています。

せっかくSHIFTのグループに入っていただいたのですから、ノウハウや知見は余すことなく共有したいですし、その結果、障がいの有無問わず従業員が長く働ける会社が増えるのは喜ばしいことです。そんな未来に少しでも近づけることがSHIFTの願いでもあるのです。

採用数が多くなるほど、生じる2つの課題


現時点で、ホープス社とALH社のどちらも通年で障がい者採用をしています。両社ともに業績は伸び続け、採用数も増えています。それ自体はとても素晴らしいことなのですが、ここで共通する課題が二つ生じます。

一つは、人数が増えていくにつれて担う業務がより多く必要となってくること。にもかかわらず、業務数がなかなか増えない・切り出せる業務が見つけにくいことなどが挙げられます。

もう一つは、人数が増えていくにつれて一人ひとりの異なる個性・特性を把握し、円滑に業務が進むようにマネジメントするのが大変になること。

例えば体調が安定していて一人で仕事をこなせる方もいれば、社会人としてのビジネスマナーや、コミュニケーションの取り方から身に付ける必要がある方など。まさに十人十色です。

マネジメントの具体的例3つ


こうした課題を解決しつつ、定着率の高さにも貢献していると思われるマネジメント例をご紹介します。

1. 適切な業務を見つけ調整するための対話、毎日の声かけ

まずは業務数が増えないといった点についてです。SHIFTの場合は、計705種類の業務をビジネスサポート部で担っています(2024年6月時点)。その中でも、請求書など書類の「ダブルチェック」系の業務は、まず初めに切り出していただくことが多い業務の一つです。

適切な業務を見つけるために、ご本人との会話から始めることもあります。把握すべきなのは、一人ひとり、何が得意か不得意か。どんなことをすると体調に影響が出ることが多いかなど。ヒアリングした内容を参考に、他部署から切り出したり、依頼された業務をアサインします。

一方で、業務を一人ひとりに適切にアサインするためには、日々のメンタルチェックも重要です。

SHIFTでは毎朝、体調を確認するアンケートを実施。今日は好調なのか、不調なのか。薬は処方通り服用したか。ほかに自由に記述することができる欄も設けています。

例えば、うつ症状がある方だと「昨日、嫌な出来事があって、ひきずられちゃっています」など伝えてくれることも。そんな何気なく書いてくださったことを見逃さず、すぐにこんな風に声をかけるようにしています。

「不調の波が大きくなる前に、今日は病院に行くのはどうですか」「それって、こういうふうに捉えたら、どうでしょうか」など。

こうした声がけを継続していくことで、大きな不調を予防するだけでなく「いつも自分を気に掛けてくれている人がいる」という安心感にもつながるのです。担当者自身が一番の味方になることを意識して日々のコミュニケーションを図っています。

2. 貢献度を伝える場としての定期的な面談

安心できる環境で業務を行うことで、次第にこなせることや量が増えて「もしかしてこんな業務はできるかな?」などと、他部署から声をかけていただくことようになるかもしれません。

SHIFTでは、定期的な面談で業務の貢献度を伝える時間をつくっています。例えば「この仕事、他の部署の方からすごく助かったと言われたよ」とか「すごくいい資料を作ってくださったみたいですね」など。

どんな些細なことでも気づいたこと、実際に評価されたことをお伝えすることで「ここに勤めていることに意味がある」とやりがいを持ってくださるようになります。さらには会社への所属感も増し、より業務に主体的になってくれることも。

過去の勤務経験中で、業務や対人関係で苦労した経験を持っている方は少なくありません。こうした面談で貢献度を伝え、ご本人の安心感の醸成につなげていくことが大切です。

3. 定量的にも評価する

そして三つ目は、定量的な評価もするという点です。

障がいと一口に言ってもさまざまで、精神疾患を抱えている方の多くは、体調の変化に波があります。そういったことを踏まえてきちんと自己管理できること、お医者さんに相談して服薬管理ができているかどうかというのは、仕事をしていく上でとても大切なスキルの一つ。

したがって自分の体調管理ができているか否かも、評価の対象としています。

体調管理をしたうえで力を発揮し、これまで以上にできるようになった点を、成長の証として数字で見ることも大事なポイントです。例えば「ミスの回数が減った」「半年間で5業務から10業務を回せるようになった」「関数を勉強することで、30分かかっていた業務が15分でできるようになった」など。

もちろん定性的な成果も大切ですし、評価の対象です。ただ数字で評価できるよう日頃から記録をつけることで、私だけでなく、さらに上位の評価者も、ひいては本人も成長を感じられるようになり、やりがいにもつながっていくのではないでしょうか。

大切なのは、特性と社会人としてのマナーを区別し、自律を促すこと


こうしたサポートをするなかで私が意識していることは、どんな障がいのある方でも「自律を促し、一人の社会人として接する」ということ。

入社時期や障がいの程度、能力、人間性などに配慮はしつつも「分からないことや助けてほしいことがあったら言ってね、でも自分で一度挑戦してみてね」と一歩引いたスタンスでいることが多いです。

また体調不良や業務で分からないことがあっても、「分からない」「助けてほしい」「教えてほしい」と自己発信していただけるよう促すようにもしています。

ビジサポという障がい者雇用の環境では、ある一方で業務を行なう職場なので、障がいの特性と、社会人として大事なところは分けて考え、なるべく曖昧にならないように心がけています。

なぜなら、そうした主体的な行動や自己管理が、ビジサポが大切にしている「自主自律」への第一歩であると思うし、今後SHIFTグループから卒業することがあっても、どこに行っても活躍できる人であってほしいから。

ですから読者の方のなかにも、いきなり障がい者雇用を任され、「なんでも全部自分が助けてあげなければいけない!」と、ともすればカウンセラーのような立ち位置になってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときは「本人ができるようになるまでサポートすればいいのだ」という、一歩引いたスタンスでいることも大事かと思います。

今後SHIFTが目指すこと


私たちはこれからも、障がいがあるからできないことがある、ではなく、障がいがあってもなくても自分には活躍できる場がある社会の一員として働けているんだと自信をもっていただけるような環境をつくっていきたいと考えています。

ALH社の障がい者雇用担当Oさんはこれまでを振り返り、SHIFTがサポートに入る前後の変化について、こんなことをお話しくださいました。

「障がい者雇用に対する考え方がガラリと変わりました。これまでは採用数や実雇用率の向上など、目先の数字を上げることに目を向けがちでしたが、だんだんと採用した障がいのある方を、組織を成長させる一人の戦力として考えられるように。スタンスが大きく変わりましたね」

こうしたお声をいただくことは私自身の大きな励みになりますし、どちらの会社でも順調に定着率を伸ばすことができている状況につながっています。

今後も、障がいのある方が自身の力で活躍していくことができるよう、サポートしたいと考えています。

そして、どんな会社でも一人の社会人として働ける、自分で生活していける、という「自主自律を大切にした人生を歩むことができる方が一人でも増えていくことを願っています。


◎SHIFT HR BLOGでは、人事のみなさまが知りたいことを大募集しています! 参考にして記事にしていきますので、ぜひともご回答よろしくお願いいたします♪

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