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ビジネスチャットは書く前にすべて考えること


はじめに

こんにちは、プロジェクトマネージャーを担当している立野です。
現在はPMとしてプランナーの皆さんのお仕事をお手伝いしています。

そして、ちょうど今は仕事を受託している会社に入り、受け取った仕事をこなすプランナーを見ている…という複雑な環境に身を置いています。

字面だとわかりにくいのですが、

親会社 「データ作って」

協力会社 「発注します」
 └ プランナー 「作ります!」

という、協力会社のプランナー達をマネジメントするイメージを持っていただければ幸いです。

さて、このような環境で何が起きるかというと「伝わらないコミュニケーション」が多く発生しました。

具体的には

  • 言わんとしていることがわからない(わかりにくい)

  • 結局なんなの?と言われる

  • 長文連投で読み手のストレス増

…などなど

個人のスキルといわれればそれまでですが、なぜ標準化できないのでしょうか。なぜ人によって伝わりやすい/にくいが生まれるのでしょうか。

そこで私なりに伝わりやすい、伝わりにくいものの特徴や書き方のコツを考えたので本記事のほうで紹介したいと思います。

みなさんのコミュニケーションの一助にでもなれれば幸いです。

1. チャットコミュニケーション

コミュニケーションといっても複数あると思います。
「チャット」「ビデオミーティング(Zoom等)」「対話」などなど。

そのうち本記事では「チャット」でのコミュニケーションを解説いたします。

どの現場でもいま一番頻度多く使われるコミュニケーション形態なので、ここを調整することで仕事に対しても大きな良い影響が出るはずです。
(※本当は他のも書きたかったのですが、記事ボリュームがすごいことになりそうなので今回は絞りました)

2、 チャットを書くコツ

あらためて、チャットコミュニケーションのコツについてご紹介していこうと思いますが、書き方のコツには大きく3つのフェーズに分けられると思います。

A、書く前
B、書いている間
C、書いた後

それぞれの工程で「こうすると伝わりやすい」のノウハウを書いていきます。慣れないうちは意識する必要がありますが、慣れてからはそれぞれの工程をまとめて対応してしまっても良いです。

A、書く前

(ア) 書く前に考えること
書く前に考えるべきは、まず「ゴール」を考えることです。

というのも、ビジネスチャットを打つ状況では「質問」するシーンが多いです。なにかわからないことや、相談をするためにチャットを打ちます。

Q&A などと言われるように、質問には答えがセットになります。

つまり、これから自分が送ろうと思っている質問には答えという「ゴール」が存在するわけです。

この「ゴール」がなんなのかを最初に考えてから文面を作成すると、

相手も「何を答えればよいか(ゴールはなんなのか)」の目線が合うのでコミュニケーションのズレが減ります。

具体的に書くなら、

  • 何を答えてほしいのか

  • 何を教えてほしいのか

  • 何を決めてほしいのか

を考えましょう。

自分が質問し、どういった回答が来たら、自分は納得(解決)するのか。

とりあえずわからないから質問…ではなく、相手からどういった回答が来てくれれば解決となるのかを見定めこれから作成する質問文を作成しましょう。

暗中模索で雑に出された質問よりも、答えへのルートが見える質問のほうが相手も回答しやすいはずです。

B、書いている間

(イ) 書いている間に注意すること

相手が答えるべき「ゴール」のイメージができたら、実際にチャットを書きましょう。
ここでは具体的にチャット文面を作成するときの小技を紹介します。

  1. 冒頭に「全容」を書く

    さまざまなビジネス書では「最初に結論を書く」とありますが、
    ここでは「最初に全容を書く」という点について気をつけましょう。

    前述のようにチャットの多くは「質問」で構成されています。
    冒頭へ結論を書け、と書かれてもその「結論」が無いのです。

    なので、質問をスムーズに浸透させるために「全容」を記載しましょう。
    別途、注意すべき点もあるので実例とともに紹介します。

【冒頭一文の例】
OK)案件Aにおける「Sスコア」の水準が高すぎる

NG)案件Aにおける「Sスコア」について
NG)「Sスコア」の水準が高すぎる件

OK例とNG例とで何がちがうのでしょうか?
それは文面を読んだことでの「情報特定度」がちがいます。

NG例はどちらも「~について」や「~の件」などと濁しています。
これでは実際に内容を読んでみないと「Sスコアがなんなのか」「どのSスコアなのか」かが特定できません。

OK例では最初から最後まで、何が問題かをしっかり特定できると思います。
冒頭には「全容」を書けば、その後の詳細を読まずとも質問を把握できます。

質問によってはネガティブな内容や、ミスを指摘するようなケースも有りついつい心情的には濁したくなる部分でもあります。

ですが、変に濁したりボカしたりすることで理解まで遠回りするくらいなら冒頭1行ですべてを伝えたほうが読み手はラクです。

とくに冒頭1行目には必ず全容を書いて、
読んだときに「質問~答え」までの導線がズレないようにしましょう。

② 選択肢にはメリット/デメリットを書く

もし、いくつか検討したうえで判断をいただきたいチャットを送る場合にはそれぞれのメリット・デメリットを忘れずに伝えましょう。

【具体例】
案件Aにおける「Sスコア」水準について、対応策を考えました。
 1)Sスコアの水準を下げる
メリット:合格者の母数が増えてみんなハッピー
デメリット:Sランク取っていた人の特権感が失われる

 2)Sスコアの報酬をグレードダウンさせる(スコアはそのまま)
メリット:特権感をキープできる
デメリット:スコアを取るためのモチベーションが下がる

というのも選択肢がある質問の場合、
回答者側は取捨選択+それ以外の選択肢がないかの思案が求められます。

メリット・デメリットを書くことで、思案する前の下準備・前情報の提供ができるため判断(ゴール)までの道筋がスムーズになります。

選択肢があるのかわからない。
メリット・デメリットがわからない。

という場合は、単に質問前の調査不足です。
「どうしましょう?」と聞くのではなく、「こうしましょうか?」と聞けるまでに調査するべきです。

というのも「どうすべきかもわからない。だから考えて」と丸投げすると、相手にはそれぞれの選択肢や、メリット・デメリットを検討する負担が発生します。

間違っていたとしても、自分なりにある程度の選択肢や答えを用意したうえで質問をして相手の調査負担を下げましょう。
調査負担が下がれば相手からの返答スピードも上がります。

仕事の時間はお互いに限られています。
お互いに損をするような時間の浪費になる質問形式は避けましょう。

③ 慇懃無礼なチャットは避ける

日本語は特に柔軟で、いくつもの表現や礼儀作法がある言語です。
現場で仕事をしていても必要以上の礼儀表現をよく見ます。
誤用はもちろんNGですが、必要以上の丁寧さは本題をかえって濁らせます。

以下に現場で見た具体例を書いていきます。

【例1】冒頭に「お疲れ様です」

もっとも多く見るケースで、必ずチャットの冒頭に「お疲れ様です」とつけるケースです。メールではよく使う表現ですが、チャットとしてはあまり良くないと考えます。

冒頭に「お疲れ様」を書くくらいなら、「全容」を書いたほうが良いからです。

映画などでも冒頭では印象的なシーンを挟む作品が多くあります。
最初に惹きつけないと、途中で飽きられてしまうからと思っています。
人間の集中力なんてそんなものです。最初が一番集中して見てくれます。

その一番集中してくれる場所を「お疲れ様です」という言葉に使うのはもったいないです。一番集中してくれる場所には、一番大事で情報量の多い一文。

すなわち全容を書きましょう。

【例2】丁寧語、謙譲語、敬語の誤用

こちらは、ビジネス文書に書き慣れていない方によく見られる誤用になります。
「~~でおられますか?」「~~ますでしょうか?」 …等

チャットは単に「結果が伝わればいい」ではなく、答えにどれだけ短く到達ができるかがポイントです。

丁寧語や敬語はビジネスで多く使われますが、使い慣れていないぶん相手へ理解するためには「ビジネス語→日本語」への変換が必要になります。

例)Aさんは本日出社されておられますでしょうか?

こちらは極端な例ですが、パッと一文読んだとき「おられる→いる→ Aさんは出社してる?」という脳内変換が行われています。

例)Aさんは本日出社されていますか?

こちらだとどうでしょう。少し読みやすく感じませんか?
最低限のですます調に抑えることで、読み手への負担を抑えています。
まわりくどい言い回しを使うほど、結論への道のりは遠くなります。

「ですます調で失礼にならないか」とチャットを過剰包装せずに、正しくムダのない表現で短く伝える努力をしていきましょう。

④ 接続詞を使う

本記事でも多く使っていますが、接続詞は文章の強弱やカテゴリをハッキリさせるのでおすすめです。

例)接続詞を使わない場合
ほんの例ですが接続詞を使わないことで、この文章がどういった意図を持つのかが実際に読まないとわからなくなります。

冒頭に接続詞を配置すると後続の文章が何についての文章なのかをわかりやすくしてくれる働きがあります。

例)接続詞を使った場合
ちなみに、これはほんの例ですが接続詞を使わないことで、この文章がどういった意図を持つのかが実際に読まないとわからなくなります。

なので、冒頭に接続詞を配置すると後続の文章が何についての文章なのかをわかりやすくしてくれる働きがあります。

文面でも「ちなみに」「なので」などの接続詞を使うことで、内容を読む前に「これは補足」「これは結論」とカテゴライズできます。

そのため、意識的に接続詞を使うことで文章の構成を整えることができ、相手にもスムーズに伝わります。

3、書き終わってから確認すること

いったん内容を書き終えたら今度は校正作業を行いましょう。
書いているときには文章を書くことに頭がフルに使われています。
書き終えた後のフラットな頭で読み返してみると、簡単に気付けるミスも見えてきます。

深夜に書いた文章が、翌朝見るとそのボロボロすぎてあきれる…というのは誰にでも経験あるかと思います。

ここでは具体的にどういった点を注意して文章の推敲を行えばよいかをまとめます。誤字脱字はあらためて書くほどでもないので省略します。

A)余計な敬語表現はないか?

書いている最中の注意事項としても挙げましたが、過剰な敬語や、ムダな装飾語は本筋をにぶらせてしまいます。

最低限のビジネス文章として成り立つのであれば、慇懃無礼な表現は消してスマートな内容にしましょう。

 例)
「ご確認のほどよろしくお願いいたします。」→「ご確認よろしくお願いします」
「何卒よろしくお願いいたします」→「よろしくお願いいたします」

丁寧かつ完璧で、思いやりのある整った文章を10分で作成するくらいなら、短くわかりやすい表現を2分で送ったほうが仕事は進みます。

契約書やメールの文書など「精緻な表現」が求められないチャット利用時には、変に凝った文章で相手の理解を妨げることは避けましょう。

B)強弱はついているか?

文章に含まれる情報は文字だけではありません。
「太字」「段落」「箇条書き」など、さまざまな「構成」により文字以外の情報を付加できます。

たとえば、段落にしておけばどこが何に紐づいている情報なのかわかりやすくなります。

ここからは別の項目だと構成だけで把握できます。
構成による情報があることを認識いただきたいです。

改めて文章を読んでみて、「この説明文はどこに紐づくのか」「これは後に説明した方が良い」と、相手がスムーズに情報を飲み込めるように、書いた文章は編集・校正しましょう。

C)冒頭と末尾の内容が一致しているか

文章を長く書いていると、「あれも伝えたい」「これも伝えたい」としているうちに冒頭に書いた"一番聞きたいこと"から逸脱するケースが多くあります。

改めて文章を読んでみて、冒頭と最後が一致しているか。
という点を確認し、説明のルートがおかしくなっていないかを確認しましょう。

4、まとめ

長く書きましたが、チャットのコミュニケーションは現在のビジネスにおける主要なコミュニケーションです。
お箸を上手にもてないとなかなか食事が進められないように、チャットの伝わりやすさは仕事の進行に直結します。

ここで紹介した手段や意識をもち、日々のチャットでの理解をよりスムーズできれば幸いです。
もし、うまくいかない場合には本記述は無視して「自分流」でいったん全部書いてみてください。
その後に整形するような形で徐々に慣らしていくと、書き方が慣れてくると思います。

一番避けるべきは、ちょっと書いてうまくいかないので消す…というのを繰り返すことです。

本記事で書かれているルールに従っていようがいまいが、まず100%書き出してから整形するほうが良いです。
0→100 にする作業を何度も繰り返すより、70→100 に近づける作業のほうがずっとラクですから。よろしければご参考にしてみてください。


執筆者プロフィール:立野 健人
2020年SHIFT入社。入社前はコンシューマータイトルのデバッグからプランナーへ転向。アプリゲームの開発から運営を経験し、現在はソーシャルゲームの運営サポートに従事。

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